【完結】 I は夏風と共に、詩を綴る

やみくも

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3章:夏風キャンピング

#13.テント

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 受付を済ませた僕達はキャンプ場にテントを建て始めていた。

 「奏翔、反対側の支柱お願い。」

 「分かった。」

 美咲と奏翔が主体となってテント設置が進んでいて、僕達はもう一つのテントを少しのんびりと進めていた。

 「2対3なのにあっちの方が速いとは……気合いの入り方が違うな。」

 「まぁ僕達が特段遅いわけじゃないんだしいいじゃん。来る前から一段上に乗り気だった二人だしね。…てか、奏翔が働いてるの見るの新鮮だな……」

 「かもな……あいつならいつも働いているはずなんだけど、結果しか見えない作業をしているから。」

 「ええと……奏翔さんは普段何をしている方なんです?」

 すると早彩はそう尋ねてきた。その質問に琉威が答えた。

 「奏翔は本校のサーバーの管理を任されている。アップデートからファイル整理まで、コンピューター関連の事は全部彼の管轄なんだ。あとは趣味でパソコンいじってるぐらい。」

 「全部ですか……凄いですね!」

 「彼も好きでやってる事だから文句も言わず………いや、言ってんな。」

 「うん、言ってるね。まぁ四六時中何かしらの作業をしているからストレスも溜まってるんでしょ。ぶっちゃけそれも動機な気がしてる。」

 「大変そうですね……今日はのんびりリフレッシュしてほしいです。」

 「そうだね。じゃあくつろげる時間を作るために早く建てようか!」

 「ですね!」

 遅くなっていた手を動かし、僕達の方も効率を上げてテントを建て始めた。







 先に建て終わった二人も加わり、予定より早い時間で、使用する全てのテントが建て終わった。
 
 「けっこう早かったね~これも私達のお陰かな!」

 「実際そうなんだよね……」

 「ああ……三分のニくらいみさかなで終わらせたぞ…」

 僕達も仕事はしているけど、ほぼフォローに近しかった。
 そう驚きで固まっていると、早彩は美咲に尋ねた。

 「美咲ちゃんはよくキャンプに行ったりするの?手慣れているように見えたけど……」

 「いや?初めてだよ。入れ知恵を使ったらできちゃった!」

 「それ大丈夫か……」

 「心配いらないよ琉威。俺がしっかり点検したから。こう見えてもキャンプ経験あるからね……」

 「そうだねっ!」
  
 幼馴染同士の二人の会話をそっと見守りながら、僕達は椅子などの小物を準備していた。



 道中で買った弁当を食べて、しばらくは各々の時間を過ごすことになった。
 琉威はシートに寝転んで読書をしており、美咲は軽くジョギングをしており、それを奏翔が見守りながらくつろいでいたりした。
 僕はというと、早彩に連れられて辺りを散策していた。

 「ちょうどいい風ですね……」

 「そうだね。田舎の方ではあるけど、ここまでちゃんと自然が広がっているわけじゃないもんね。」

 空気も澄んでいて風もある。ここまで適した日は中々ない。その点は恵まれたと思う。
 ぼんやりとそう考えながら散歩していると、早彩が話しかけてきた。

 「こういう自然の中に過ごすのも、たまにはいいですね……何というか、悩みを一度忘れられて……」

 「………分かるよ。コミュニケーションの中で、悩み事ってどうしても生まれてしまうから。人気の少ない自然は気持ちをリセットできていいよね。」

 「爽真君………もしかして、悩み事があるの?」

 「人間だし、一つや二つはあるよ。中々相談できないものなんだよね……」

 「…そっか。いつか話してほしいな。私もいつかは話そうと思ってる。」

 「分かった、約束する。」

 そう約束を交わして話題が変わり、僕達は散策を続けていた。
 彼女にも悩みはあるようだ。それはお互いさまだし、人間誰しもあるとは思う。
 だけど、少し引っ掛かる空気感があった。だからといって詮索するつもりはない。それは誰も幸せにしないと知っているから。







 「カレー作りだぁっ!」
  
 三時頃、全員が調理場に集まり、夕食の準備に取り掛かるために話し合っていた。

 「どういう分担にします?」

 「はいはい!私、煮込みたい!」

 「それじゃあ美咲ちゃんと奏翔さんに煮込みはお願いしますね。」

 「東風さんも俺と美咲を一括りにするようになったかぁ……」

 そう言いながらも先を行く美咲に置いて行かれないように、素早く奏翔も行動した。



 「僕達は食材を切ったりしようか。」

 「はい、そうしましょうか。」

 役割を分担し、各々調理道具などの準備を始めた。



 「よし、人参とブロッコリーは切り終わった。爽真と早彩の方は?」

 「僕のじゃがいもと牛肉は終わってる。」
 
 「私の茄子もです。あと、お米も炊いておきました。」

 「ああ、助かる。お前らの番だぞー!」

 二つ隣の台所で灰汁取りをしていたみさかなを琉威が呼んだ。
 すると奏翔がやって来た。

 「ご苦労さま。あとは任せて。」

 「あとはよろしくな。」

 具材が入ったボウルを琉威が手渡し、受け取った奏翔は台所へと戻って行った。

 「お疲れ様。俺らの仕事はここまで。俺は読書する。」

 そう言って琉威は先にテントに戻った。

 「うーん……まだ時間があるみたいだし、少し散歩しよっか?夕暮れだとまた違った風に見えるんじゃない。」

 「そうかもね…行こ。」

 手の空いた僕達は、暇を潰すために辺りを散歩し始めた。

 
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