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3章:追憶の雷雨
29日目.仲間
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実家に到着した俺は、風邪を引かないようにひとまずシャワーを浴びた。
そのついでに着替えをして、リビングで時計をちらちら見ながらくつろいでいた。
「あ、お兄ちゃんだ!咲淋お姉ちゃーん、お兄ちゃん帰ってきたよ!」
丁度リビングを訪れた結と目が合うと、結はそう言って咲淋を呼んだ。
すると慌てた様子で咲淋はリビングに飛び出してきた。
「連絡が途絶えて心配していたよ蓮斗!」
「心配かけてごめん……。一応、俺のすべき事は遂行出来たよ。」
「蓮斗の……すべき事…?」
そういえば、咲淋に俺の事情を話していなかった。てっきり夕焚が情報を共有してくれていると思い込んでいたが、流石に彼も忙しかったか。
折角話題にも上がったため、俺はあの空間や花のことについて咲淋に伝えた。
「そんな事があったのね。」
話が終わると、彼女は普通に受け流すようにそう返してきた。
「なんだ、驚かないのか?」
「いや?蓮斗なら不思議なことに巻き込まれていてもおかしくないかなぁって。それに、君の中で因果関係について見解があるのでしょう?なら、私から言う事はあんまりないと思うの。」
「それもそうだね……。まぁ、行方不明になってる時は何処かで倒れているだろうから捜索して欲しいとだけ伝えておくよ。」
「ええ。それは任せて。」
話がまとまったところで、俺が時計を確認するとそろそろ出た方が良い時間になっていた。
「じゃあ、時間も良いしそろそろ行ってくる。また帰ってきたら雷雨の観測結果について色々聞かせてもらうよ。」
「うん。久しぶりの再会を楽しんできてね。」
そうして、俺は徒歩で今朝指定された待ち合わせ場所に向かった。
地域の飲食店。昔ここに集まっていた訳ではないけど、この辺りが校区内なので馴染み深い場所ではある。
歩いているうちに店が視界に入り、昔の友人の姿が見えた。
「久しぶり。蓮斗。」
「久しぶりだね。唱。」
彼は釧路唱。常に冷静沈着で周りがよく見えている男だ。彼とどうやって仲良くなったか覚えていないほど、気付いたら絡んでいた。
「唱も今着いたところ?」
「いや、しばらく外で待っていたよ。ここの方が解放的で好きなんだ。」
「変わらないなぁ。変わってなくて安心したよ。最後に会ったの六年前の卒業式だったからね。」
今、既にすごく懐かしい気持ちになっていた。進路も行き先もバラバラだった。連絡先はあるけど正直、もう会うことはないんじゃないかと思っていた。
高校二年から、関係はとてもじゃないけど円滑とは言えなかったから。
「メールで聞いたよ、弁護士になったんだってね。」
「互いに夢を叶えられてほっとした。それと……蓮斗が上手くやれてるようでほっとした。」
「何それ……親目線じゃん。唱って割と気にかけてくれるよね。普段はクールぶってるけど。」
「そこまで意外なこと?まぁいいや。それより遅いな二人とも。」
「どうする?先入ってるか?」
「外が好きだから待機で。」
「分かった。」
来てない友人を待ちながら、しばらく二人で世間話をしていた。
あれから十五分後、実も合流して時間にもなっていたため、まだ揃っていないがお先に注文した。
「蓮斗、帰郷早々事故りかけたのか……。」
「ほんとびっくりしたよ。連君が居たことも含めてね。」
本人を目の前にしてそんな会話を展開する二人。全くどういう神経しているのか。
遠慮が必要ないほど仲が良い。それは何年会って無くても不変なのだと実感した。
“あはは…”と窓の方に目を逸らすと、見覚えのある車……というか、今日乗せられていた車が駐車場に停まっていた。
「車種が同じだけだよな……?まぁ気のせいだな。」
誰にも聞こえないほどの声でそう呟いて二人の方に視線を戻そうとした時、かなり近い距離である人がこちらを見つめていたことに気がついた。
「うわっ!……いつの間に来てた?聖穂。」
「丁度今来たところ!遅くなってごめん。」
彼女は椎名聖穂。超が付くほどの天然ちゃん。学校でも世間でも愛されキャラを貫き通した。
「聖穂!顔を合わせるのも二年ぶりくらい?」
「そうじゃん!時の流れってほんと早いよね~!」
ムードメーカーである実と聖穂は会って早々会話を弾ませ始めたが、この二人のみの会話は相変わらず俺達にはついていけないテンションだ。
元々、彼女らと仲良くなったきっかけは那緒と仲が良かったからだ。
「こうなると止まらないんだよね…この二人。」
唱の方に近寄ってそう言った。すると彼はこう返した。
「彼女らにとって挨拶みたいなものだし、すぐに落ち着くでしょ。しばらくは見守っておこう。」
「そうだね。」
「そういえば、蓮君が急に帰って来てるってみのりんから聞いてびっくりしたよ~!元気にしてた?」
挨拶が終わったのか、唐突に聖穂はそう話を振ってきた。
「元気にはしていたよ。大学でも、今の仕事でもね。」
「良かった~。蓮君、同窓会とかにも顔を見せないし、ずっと連絡がつかなかったから心配してたよ~!」
どうやら三人とも、音信不通の俺のことを心配してくれていたようだった。
「実、聖穂、唱、ありがとう。心配してくれて……。」
改めてそう感謝を伝えると、まず実が言った。
「友達として、当然のことをしたまでよ。当時、貴方が相当傷んでいたことは分かっていたし……。」
すると、そこに聖穂が付け足す。
「私はその時にはいなかったけど、話は聞いたよ。だからこそ、元気でやってるか心配だったの。でも、今の蓮君を見て安心したよ~!」
その横で、唱は何も言わずにそっと頷く。
本当にいい仲間を持ったと思える。そんな瞬間だった。
そのついでに着替えをして、リビングで時計をちらちら見ながらくつろいでいた。
「あ、お兄ちゃんだ!咲淋お姉ちゃーん、お兄ちゃん帰ってきたよ!」
丁度リビングを訪れた結と目が合うと、結はそう言って咲淋を呼んだ。
すると慌てた様子で咲淋はリビングに飛び出してきた。
「連絡が途絶えて心配していたよ蓮斗!」
「心配かけてごめん……。一応、俺のすべき事は遂行出来たよ。」
「蓮斗の……すべき事…?」
そういえば、咲淋に俺の事情を話していなかった。てっきり夕焚が情報を共有してくれていると思い込んでいたが、流石に彼も忙しかったか。
折角話題にも上がったため、俺はあの空間や花のことについて咲淋に伝えた。
「そんな事があったのね。」
話が終わると、彼女は普通に受け流すようにそう返してきた。
「なんだ、驚かないのか?」
「いや?蓮斗なら不思議なことに巻き込まれていてもおかしくないかなぁって。それに、君の中で因果関係について見解があるのでしょう?なら、私から言う事はあんまりないと思うの。」
「それもそうだね……。まぁ、行方不明になってる時は何処かで倒れているだろうから捜索して欲しいとだけ伝えておくよ。」
「ええ。それは任せて。」
話がまとまったところで、俺が時計を確認するとそろそろ出た方が良い時間になっていた。
「じゃあ、時間も良いしそろそろ行ってくる。また帰ってきたら雷雨の観測結果について色々聞かせてもらうよ。」
「うん。久しぶりの再会を楽しんできてね。」
そうして、俺は徒歩で今朝指定された待ち合わせ場所に向かった。
地域の飲食店。昔ここに集まっていた訳ではないけど、この辺りが校区内なので馴染み深い場所ではある。
歩いているうちに店が視界に入り、昔の友人の姿が見えた。
「久しぶり。蓮斗。」
「久しぶりだね。唱。」
彼は釧路唱。常に冷静沈着で周りがよく見えている男だ。彼とどうやって仲良くなったか覚えていないほど、気付いたら絡んでいた。
「唱も今着いたところ?」
「いや、しばらく外で待っていたよ。ここの方が解放的で好きなんだ。」
「変わらないなぁ。変わってなくて安心したよ。最後に会ったの六年前の卒業式だったからね。」
今、既にすごく懐かしい気持ちになっていた。進路も行き先もバラバラだった。連絡先はあるけど正直、もう会うことはないんじゃないかと思っていた。
高校二年から、関係はとてもじゃないけど円滑とは言えなかったから。
「メールで聞いたよ、弁護士になったんだってね。」
「互いに夢を叶えられてほっとした。それと……蓮斗が上手くやれてるようでほっとした。」
「何それ……親目線じゃん。唱って割と気にかけてくれるよね。普段はクールぶってるけど。」
「そこまで意外なこと?まぁいいや。それより遅いな二人とも。」
「どうする?先入ってるか?」
「外が好きだから待機で。」
「分かった。」
来てない友人を待ちながら、しばらく二人で世間話をしていた。
あれから十五分後、実も合流して時間にもなっていたため、まだ揃っていないがお先に注文した。
「蓮斗、帰郷早々事故りかけたのか……。」
「ほんとびっくりしたよ。連君が居たことも含めてね。」
本人を目の前にしてそんな会話を展開する二人。全くどういう神経しているのか。
遠慮が必要ないほど仲が良い。それは何年会って無くても不変なのだと実感した。
“あはは…”と窓の方に目を逸らすと、見覚えのある車……というか、今日乗せられていた車が駐車場に停まっていた。
「車種が同じだけだよな……?まぁ気のせいだな。」
誰にも聞こえないほどの声でそう呟いて二人の方に視線を戻そうとした時、かなり近い距離である人がこちらを見つめていたことに気がついた。
「うわっ!……いつの間に来てた?聖穂。」
「丁度今来たところ!遅くなってごめん。」
彼女は椎名聖穂。超が付くほどの天然ちゃん。学校でも世間でも愛されキャラを貫き通した。
「聖穂!顔を合わせるのも二年ぶりくらい?」
「そうじゃん!時の流れってほんと早いよね~!」
ムードメーカーである実と聖穂は会って早々会話を弾ませ始めたが、この二人のみの会話は相変わらず俺達にはついていけないテンションだ。
元々、彼女らと仲良くなったきっかけは那緒と仲が良かったからだ。
「こうなると止まらないんだよね…この二人。」
唱の方に近寄ってそう言った。すると彼はこう返した。
「彼女らにとって挨拶みたいなものだし、すぐに落ち着くでしょ。しばらくは見守っておこう。」
「そうだね。」
「そういえば、蓮君が急に帰って来てるってみのりんから聞いてびっくりしたよ~!元気にしてた?」
挨拶が終わったのか、唐突に聖穂はそう話を振ってきた。
「元気にはしていたよ。大学でも、今の仕事でもね。」
「良かった~。蓮君、同窓会とかにも顔を見せないし、ずっと連絡がつかなかったから心配してたよ~!」
どうやら三人とも、音信不通の俺のことを心配してくれていたようだった。
「実、聖穂、唱、ありがとう。心配してくれて……。」
改めてそう感謝を伝えると、まず実が言った。
「友達として、当然のことをしたまでよ。当時、貴方が相当傷んでいたことは分かっていたし……。」
すると、そこに聖穂が付け足す。
「私はその時にはいなかったけど、話は聞いたよ。だからこそ、元気でやってるか心配だったの。でも、今の蓮君を見て安心したよ~!」
その横で、唱は何も言わずにそっと頷く。
本当にいい仲間を持ったと思える。そんな瞬間だった。
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