17 / 150
Chapter Ⅱ:Vicious
No17.Footsteps on the night road
しおりを挟む
しばらく練習して、全員寝落ちしてしまった。俺が最初に目を覚まし、朝になっていた。
「あの店長はさぁぁ。なんで起こさないかな!」
ご丁寧に閉店はしているのに練習室の鍵は開いている。確信犯だ。それに店長……羽崎の靴が置いてある。住居と一体になってる店では無いので、完全に保護者ポジだ。
「むにゃ。うーん。……ぁあ寝ちゃってたなぁ。」
ドラムに顔を伏せて寝ていた凛が起きたようだ。前に寝起きを見た時も思ったが、無防備な可愛さがある。
「おはよう。」
「歪君。おはよう。」
彼女は起き上がり、スマホから爬虫類の鳴き声の音声を真依と波瑠の耳元で流した。
「ひゃあ!」
「はい!ど、どどどどうしました!」
真依が半ば悲鳴のような声を出し、波瑠がそれにびっくりして起きた。こんな面白過ぎるやりとりをしている間に旋梨は普通に起きたようだ。
「……凛?分かってるよね?」
「うん?何のこと?」
彼女は本気で理解してなさそうな表情を浮かべた。天然小悪魔が強過ぎる。
「はぁ……許す。」
そんな会話を聞いていると、旋梨が店長を連れてどこかから戻って来た。
「来やがったな元凶鬼畜趣味活店長。」
「酷い言われようだな。否定は出来ないが。」
「そこは否定してくれ。」
珍しく旋梨が真面目なツッコミを入れたため、俺は録音していなかった事を悔やんだ。Mythologyのメンバーに見せてやりたかったのに。
色々あったが、とりあえず我々はその場を解散した。
ある日の静かなる夜。一人の女性が歩いていた。時間帯的には塾帰りといったところだろうか。
「………。」
妙な視線を感じる。この先を行けばコンビニエンスストアなどがある道に出るので、私は足を早めた。
すると、背後から足音が聞こえてきたが、私は振り返らずに足を早めた。すると音は消えたみたいだ。
「……ッチ。こちらXXX。取り逃がした。」
ノイズまみれの無線ごしに会話をする声が聞こえ、私はコンビニエンスストアに逃げ込むように走った。
しかし、死角となる曲がり角で誰かにぶつかったようだ。大体二十代位の男性といったところか。
「任務達成。」
「え?こ、来ないで!」
男は女性を抱えて近くに停まっていた黒い車体に押し入れた。
「そろ帰るぞ。長居はリスクが高い。」
「今日の収穫は四人。ノルマまで良いペースじゃないか。」
黒い車体は静かなエンジンで颯爽と町を走り、かの有名な無法地帯へと向かった。
休日が明け、あのテロ以来変わりない日常を送っていた。俺はある日、新聞のとある内容が目に飛び込んだ。
「……失踪事件?」
それは失踪事件についての記事だ。しかも何件も“この付近”で起こっている。
この付近は主な住宅街となっており、東京郊外なのでガードも少し甘い。
これまでにこんなケースは無いので断定は出来ないが、テロの一環でない事を信じたい。
そんな少し嫌な朝を迎えながら、登校の準備をした。
無法地帯のとある建物。そこに黒薔薇と一緒に居た男が入って行った。
「お疲れ様です。山田会長。」
「おう。お疲れ。計画は順調か?」
「はい。にしても会長は悪い人ですねぇ。まさか、政府に喧嘩を売りながら商売にまで手を出すなんて!政府陣の人格と反政府陣の人格を巧みにコントロールする会長は我々の尊者ですよ。」
「サンキュ。では、この辺りで。ノルマ達成して店を開いた日から一ヶ月後に売り上げ確認に来る。」
「了解しました。」
山田は建物を出て、光沢の美しいバイクでスラムを駆け抜けて行った。
ホームルームでも例の失踪事件については触れられていた。前例の通りだと、失踪しているのは十代後半から二十代前半の女性が中心のようだ。勿論誤差はあるが。なので注意するように伝えられ解散となった。
基本夜遅くまでバンドの練習をしているため、今日は無しにするように伝えて俺は帰路…ではなく、とある場所に旋梨と共に向かっていた。
「こんな緊急招集は久々だなぁ。やっぱり例の失踪事件の事本部は怪しんでるよな。歪はどう思う?」
「立て続けに同じような条件の人が失踪している時点で誘拐の線が一番濃厚だろう。問題は目的だ。良からぬ事に利用されなければ良いが……。」
そうこう話して集合場所に行くと、政府陣の車でいつもの運転手が待っていた。
「あ、聖薇さん。紫藤さん。本部に向かいますよ。」
俺達は車に乗り、本部へと向かった。
「あの店長はさぁぁ。なんで起こさないかな!」
ご丁寧に閉店はしているのに練習室の鍵は開いている。確信犯だ。それに店長……羽崎の靴が置いてある。住居と一体になってる店では無いので、完全に保護者ポジだ。
「むにゃ。うーん。……ぁあ寝ちゃってたなぁ。」
ドラムに顔を伏せて寝ていた凛が起きたようだ。前に寝起きを見た時も思ったが、無防備な可愛さがある。
「おはよう。」
「歪君。おはよう。」
彼女は起き上がり、スマホから爬虫類の鳴き声の音声を真依と波瑠の耳元で流した。
「ひゃあ!」
「はい!ど、どどどどうしました!」
真依が半ば悲鳴のような声を出し、波瑠がそれにびっくりして起きた。こんな面白過ぎるやりとりをしている間に旋梨は普通に起きたようだ。
「……凛?分かってるよね?」
「うん?何のこと?」
彼女は本気で理解してなさそうな表情を浮かべた。天然小悪魔が強過ぎる。
「はぁ……許す。」
そんな会話を聞いていると、旋梨が店長を連れてどこかから戻って来た。
「来やがったな元凶鬼畜趣味活店長。」
「酷い言われようだな。否定は出来ないが。」
「そこは否定してくれ。」
珍しく旋梨が真面目なツッコミを入れたため、俺は録音していなかった事を悔やんだ。Mythologyのメンバーに見せてやりたかったのに。
色々あったが、とりあえず我々はその場を解散した。
ある日の静かなる夜。一人の女性が歩いていた。時間帯的には塾帰りといったところだろうか。
「………。」
妙な視線を感じる。この先を行けばコンビニエンスストアなどがある道に出るので、私は足を早めた。
すると、背後から足音が聞こえてきたが、私は振り返らずに足を早めた。すると音は消えたみたいだ。
「……ッチ。こちらXXX。取り逃がした。」
ノイズまみれの無線ごしに会話をする声が聞こえ、私はコンビニエンスストアに逃げ込むように走った。
しかし、死角となる曲がり角で誰かにぶつかったようだ。大体二十代位の男性といったところか。
「任務達成。」
「え?こ、来ないで!」
男は女性を抱えて近くに停まっていた黒い車体に押し入れた。
「そろ帰るぞ。長居はリスクが高い。」
「今日の収穫は四人。ノルマまで良いペースじゃないか。」
黒い車体は静かなエンジンで颯爽と町を走り、かの有名な無法地帯へと向かった。
休日が明け、あのテロ以来変わりない日常を送っていた。俺はある日、新聞のとある内容が目に飛び込んだ。
「……失踪事件?」
それは失踪事件についての記事だ。しかも何件も“この付近”で起こっている。
この付近は主な住宅街となっており、東京郊外なのでガードも少し甘い。
これまでにこんなケースは無いので断定は出来ないが、テロの一環でない事を信じたい。
そんな少し嫌な朝を迎えながら、登校の準備をした。
無法地帯のとある建物。そこに黒薔薇と一緒に居た男が入って行った。
「お疲れ様です。山田会長。」
「おう。お疲れ。計画は順調か?」
「はい。にしても会長は悪い人ですねぇ。まさか、政府に喧嘩を売りながら商売にまで手を出すなんて!政府陣の人格と反政府陣の人格を巧みにコントロールする会長は我々の尊者ですよ。」
「サンキュ。では、この辺りで。ノルマ達成して店を開いた日から一ヶ月後に売り上げ確認に来る。」
「了解しました。」
山田は建物を出て、光沢の美しいバイクでスラムを駆け抜けて行った。
ホームルームでも例の失踪事件については触れられていた。前例の通りだと、失踪しているのは十代後半から二十代前半の女性が中心のようだ。勿論誤差はあるが。なので注意するように伝えられ解散となった。
基本夜遅くまでバンドの練習をしているため、今日は無しにするように伝えて俺は帰路…ではなく、とある場所に旋梨と共に向かっていた。
「こんな緊急招集は久々だなぁ。やっぱり例の失踪事件の事本部は怪しんでるよな。歪はどう思う?」
「立て続けに同じような条件の人が失踪している時点で誘拐の線が一番濃厚だろう。問題は目的だ。良からぬ事に利用されなければ良いが……。」
そうこう話して集合場所に行くと、政府陣の車でいつもの運転手が待っていた。
「あ、聖薇さん。紫藤さん。本部に向かいますよ。」
俺達は車に乗り、本部へと向かった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる