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Chapter Ⅱ:Vicious
No18.Prediction of pain
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本部に到着すると、中々揃わない顔ぶれが勢揃いしていた。
「聖薇、紫藤。」
「よ、愁。」
降車すると、壁に身体を預けている愁が声を掛けてきた。彼は視線で何かを訴えかけており、そちらの方向を見ると、俺と旋梨は驚愕した。
「………莉緒菜。」
視線の先の少女を「柊 莉緒菜」。柊司令の娘であり、技術の先駆者だ。
Orderとしてエース級の活躍をしているが、姿をほとんど現さず、その実態は謎が多かった。
「俺もこいつが何処で何をしているかは把握出来てない。あんたと同じでトップシークレットだ。」
すると、後ろから絆がそう声を掛けてきた。
「この前はありがとな。」
「Orderのリーダーとしての自覚だ。大した招集じゃないと思っていたが、二台トップチームである MythologyとOrderが勢揃いなんてな。深刻そうだ。」
その後司令が到着し、本題に入った。
「では早速本題を喋っていくが、君達もご存知の通り、現在失踪事件が相次いでいる。私はこれが何者かによる宣戦布告だと思うのだが、君達の意見を聞かせてくれるかな?」
すると、愛沙が真っ先に口を開いた。
「今回の事件。内部で起こっている可能性はないんでしょうか?頻繁にバリケードを超えていた、すぐに発見出来ると思うのですが……。」
「一理あるな。前例があるとは言え、妙に穏便過ぎる。嵐の前の静けさみたいで少し怖いが。」
絆も共感している様子だ。実際俺もただ者じゃないとは感じる。このメンバーをわざわざ集めたという事は、それは共通の感覚だろう。
すると、司令は資料を見せた。
「これは……発生場所と時刻。失踪者の概要…ですか。」
「そうだ。明らかに共通点が存在する。つまり、釣れる。」
司令の言う事は間違いでは無いだろう。しかし、いとも簡単にバリケードを超えられるような奴だ。中々の手練れであるのは確かだ。
ショゴスが壊滅した今だからこそ、新勢力のデモンストレーションだって考える事もできる。
「秩序を乱すなんて許された行為では無い。ここは俺が……」
「ん?誰に囮になれだって?……毒舌で優しいリーダーさん♡」
「……マジで覚えとけよ。」
絆としては我々の守護する民の失踪を見て見ぬふりしたくなくて乗り気のようだが、彩良の圧に屈したようだ。
当然トップシークレットである莉緒菜はこの手の戦略には使えないので、Orderは今回出る幕が無さそうだ。
そうなると必然的に 我々Mythologyで手を打たなければならないが、引き受ける人はいなさそうだ。
…と思っていたが、凄く闘志に満ちた目をした人物が居た。それは潜入、洗脳のスペシャリストである女、そう愛沙だ。
「私が連中の懐に潜り込みます。」
「いや、しかし……。」
「司令。我々は大丈夫です。」
俺がそう助言すると、司令は“分かった”と頷いた。
それから作戦の内容を聞くために愛沙は司令室に残り、俺達は解散した。
「………紅月。」
俺が本部から出ようとすると、莉緒菜が声を掛けて引き止めた。
「どうした。」
「紅月と不性(彩良)は、何で僕を見つけに来てくれたの…?」
「司令に怒られるから……違うな。仲間だからだ。」
クズ加減が見え隠れしているが、そんなの周知の事実だ。このチームOrderの関係は複雑だ。仲良く無い。そこにあるのは実力と偽りだらけの仲間愛だけだ。
秩序に望ましいものは不変。だが、それだけとは思わない。しかし、励領絆と言う名のリーダーは、その答えを出せない。
私は、足音が聞こえなくなった事を確認し、鍵を掛けて葉桜に資料を渡した。
「……これは。」
「私が接触している内通者が撮影した写真だ。まだ確信に至れていないため共有はしていないが、彼らが暗躍している可能性だって考えられる。」
葉桜は、現実と思いたくないような絶望の表情を浮かべている。
「………真実にならなければ良いが…。すまない。君には衝撃的だっただろう。」
「……い、いいえ。平気…です。」
彼女は声を震わせながらそう言った。当然の反応であり、私もタイミングを誤ったと反省している。
同期が敵陣の重要人物になる。それは彼女にとってどれだけ苦痛かは、私も経験しているため、痛い程分かる。
私は逃げるように本題へと移し、葉桜も逃げるように話を聞き始めた。
「聖薇、紫藤。」
「よ、愁。」
降車すると、壁に身体を預けている愁が声を掛けてきた。彼は視線で何かを訴えかけており、そちらの方向を見ると、俺と旋梨は驚愕した。
「………莉緒菜。」
視線の先の少女を「柊 莉緒菜」。柊司令の娘であり、技術の先駆者だ。
Orderとしてエース級の活躍をしているが、姿をほとんど現さず、その実態は謎が多かった。
「俺もこいつが何処で何をしているかは把握出来てない。あんたと同じでトップシークレットだ。」
すると、後ろから絆がそう声を掛けてきた。
「この前はありがとな。」
「Orderのリーダーとしての自覚だ。大した招集じゃないと思っていたが、二台トップチームである MythologyとOrderが勢揃いなんてな。深刻そうだ。」
その後司令が到着し、本題に入った。
「では早速本題を喋っていくが、君達もご存知の通り、現在失踪事件が相次いでいる。私はこれが何者かによる宣戦布告だと思うのだが、君達の意見を聞かせてくれるかな?」
すると、愛沙が真っ先に口を開いた。
「今回の事件。内部で起こっている可能性はないんでしょうか?頻繁にバリケードを超えていた、すぐに発見出来ると思うのですが……。」
「一理あるな。前例があるとは言え、妙に穏便過ぎる。嵐の前の静けさみたいで少し怖いが。」
絆も共感している様子だ。実際俺もただ者じゃないとは感じる。このメンバーをわざわざ集めたという事は、それは共通の感覚だろう。
すると、司令は資料を見せた。
「これは……発生場所と時刻。失踪者の概要…ですか。」
「そうだ。明らかに共通点が存在する。つまり、釣れる。」
司令の言う事は間違いでは無いだろう。しかし、いとも簡単にバリケードを超えられるような奴だ。中々の手練れであるのは確かだ。
ショゴスが壊滅した今だからこそ、新勢力のデモンストレーションだって考える事もできる。
「秩序を乱すなんて許された行為では無い。ここは俺が……」
「ん?誰に囮になれだって?……毒舌で優しいリーダーさん♡」
「……マジで覚えとけよ。」
絆としては我々の守護する民の失踪を見て見ぬふりしたくなくて乗り気のようだが、彩良の圧に屈したようだ。
当然トップシークレットである莉緒菜はこの手の戦略には使えないので、Orderは今回出る幕が無さそうだ。
そうなると必然的に 我々Mythologyで手を打たなければならないが、引き受ける人はいなさそうだ。
…と思っていたが、凄く闘志に満ちた目をした人物が居た。それは潜入、洗脳のスペシャリストである女、そう愛沙だ。
「私が連中の懐に潜り込みます。」
「いや、しかし……。」
「司令。我々は大丈夫です。」
俺がそう助言すると、司令は“分かった”と頷いた。
それから作戦の内容を聞くために愛沙は司令室に残り、俺達は解散した。
「………紅月。」
俺が本部から出ようとすると、莉緒菜が声を掛けて引き止めた。
「どうした。」
「紅月と不性(彩良)は、何で僕を見つけに来てくれたの…?」
「司令に怒られるから……違うな。仲間だからだ。」
クズ加減が見え隠れしているが、そんなの周知の事実だ。このチームOrderの関係は複雑だ。仲良く無い。そこにあるのは実力と偽りだらけの仲間愛だけだ。
秩序に望ましいものは不変。だが、それだけとは思わない。しかし、励領絆と言う名のリーダーは、その答えを出せない。
私は、足音が聞こえなくなった事を確認し、鍵を掛けて葉桜に資料を渡した。
「……これは。」
「私が接触している内通者が撮影した写真だ。まだ確信に至れていないため共有はしていないが、彼らが暗躍している可能性だって考えられる。」
葉桜は、現実と思いたくないような絶望の表情を浮かべている。
「………真実にならなければ良いが…。すまない。君には衝撃的だっただろう。」
「……い、いいえ。平気…です。」
彼女は声を震わせながらそう言った。当然の反応であり、私もタイミングを誤ったと反省している。
同期が敵陣の重要人物になる。それは彼女にとってどれだけ苦痛かは、私も経験しているため、痛い程分かる。
私は逃げるように本題へと移し、葉桜も逃げるように話を聞き始めた。
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