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Chapter Ⅳ:Stealth
No41.Calculated sweetness
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『ん?まぁ了承はするけど、僕と八は協力できないよ?』
俺は貴井と行うジャックに向けて、滲襲先輩に連絡していた。
「え?何故ですか!」
『こっちもちょっと面白い事思いついてな……。どうせなら別々で掻き回してやろう。それに……戦力を分散させられる事は良い事だ。健闘を祈るよ。』
すると、通話が切られた。
確かにそうだ。先輩方が何をやるかは知らないが、面倒な連中が集結するのだけは避けるべき。
滲襲先輩の統率力と矢匿の戦略性が合わされば、誰も手出しできない。
とにかく、俺はライブジャックの事を考えよう。まだ一週間準備期間がある。
慎重に立ち回らせてもらう。
僕が通話を切ると、入れ替わりで八が帰って来た。
「どうだった?」
「余裕で買収したった。これで内部から壊し放題だぞ。」
「流石だ。」
僕らの企みはシンプルかつ効果絶大な暗殺劇だ。
「失礼します。」
ある会社に八が訪れると、周りにいた社員は一斉に土下座した。
「ど、どうか…命だけは!」
「何いってんの……。」
社員の中でもそれなりに上に居そうな奴がそう言うと、八は呆れた視線を社員達に落とした。
「社長呼べる?滲襲甘採からの紹介だ。」
「は、はいぃ…!」
恐れた様子の社員が、足早にエレベーターへと向かった。
Leviathan。それは人前にほとんど姿を現さない怪談のような存在だが、見れば分かる。逆らったら命は無い……と。
「お呼びしましたぁ……。」
どうやら社長のお出ましのようだ。
「私がこの「株式会社ポピュラーラブ・スイートフラグ」の最高責任者。
田村と申します。」
「お会いできて光栄です。私は「抵抗推進機構プレデスタンス」所属の戦略部総監督。Leviathanの矢匿と申します。」
営業モードの八は、普段のラフさからは考えられないほどの敬語で挨拶を済ました。
「本日はどのようなご要件で…?」
「単刀直入に言います。ここを買収します。勿論ですが、貴方達が拒否すれば過去の過ちを掘り返します。」
営業モードから一変、普段の悪魔と化した八の言葉の銃弾がその場にいる者を襲った。
「……ちなみに理由を聞いても…」
「関係の無い話だ。どうせ金さえあればそれでいいんじゃないの?だからあの過ちを冒した。……違うかな?」
田村を黙らせるにはオーバーキルな冷酷な言葉が刺さり、八は大金をばら撒いた。
「経営は全て俺が行う。他の連中は出社するな。それだけで普段の倍の収入を差し上げよう。……いいな?」
やり過ぎな位のしかかる圧力に誰も異議を唱える事が出来ず、半ば強引に買収契約が成立した。
八は恐怖でうずくまる田中に目線を合わせて口を開いた。
「ここの系列で一番影響力のある店はどこだ?」
「………千葉市の出張店舗です。常設はしていませんが、各地を回っています。」
「分かった。感謝する。」
去り際に札束を押し付けて、八は会社を去って行った。
株式会社ポピュラーラブ・スイートフラグ。メイド喫茶やホストクラブなどの経営をサポートする日本最大級のエンターテイメント会社だ。
そこを買収して行う事は僕がこれまでに使ってきた暗殺方法の大規模版みたいなものだ。
「手始めに全系列店舗にバッチを導入させて。それにGPSと爆弾を埋め込み、釣れた政府関係者を爆破。ただ、店員も道連れだから誤爆しないように見張らせておいて。」
「甘採はどうする気だ?」
「僕は偵察をしつつ、これまでどうり関東の社会情勢を聞き出す。八は系列店舗の管理と映人らの戦況も気にかけておいて。」
「分かった。」
僕と八はハイタッチをして、それぞれの担当に移った。
種田と対談し、より自分に対しての謎が深まった俺は、気晴らしに旋梨と愁とボーリングに来ていた。
愁は出身が東京じゃないため任務以外で会う機会が少ないが、Mythologyの同年齢組としてプライベートでも仲良くしている。
「くぅ!全然ストライク決まらねぇ!」
そう悶絶しながら楽しむ旋梨の横でどんどん点が加算されていく愁。
俺は少し休憩しているが、見てるだけで面白い。現在、コーヒー代を賭けて勝負しているのだが、もう確定演出が降りきっている。
「次、スペア出したら紫藤の勝ちでいい。」
「マジ?じゃ、本気だすかぁ!」
心の中で最初から本気出せよと思ったのは、恐らく愁もだろう。
無口だが、勝負事には命賭けてる愁がこのチャンスを与えるなんて、どれだけ旋梨が下手なんだ。いや、愁が上手いだけである。
「いっけぇ!」
しかし結果は虚しく、スペアどころかストライクすらいかなかった。
表情すらあまり変化しない愁が苦笑いしている。あの威勢は何だったんだと。
「フラペチーノでお願い。」
「あ、俺はカフェラテで。」
「ちゃっかり便乗すんな!勝負を引き受けなかった歪は自腹だわ!」
作戦失敗である。こいつチョロいからワンちゃんと思ったが、流石に通用しないか。
とりあえず、俺達はコーヒー店に向かった。
俺は貴井と行うジャックに向けて、滲襲先輩に連絡していた。
「え?何故ですか!」
『こっちもちょっと面白い事思いついてな……。どうせなら別々で掻き回してやろう。それに……戦力を分散させられる事は良い事だ。健闘を祈るよ。』
すると、通話が切られた。
確かにそうだ。先輩方が何をやるかは知らないが、面倒な連中が集結するのだけは避けるべき。
滲襲先輩の統率力と矢匿の戦略性が合わされば、誰も手出しできない。
とにかく、俺はライブジャックの事を考えよう。まだ一週間準備期間がある。
慎重に立ち回らせてもらう。
僕が通話を切ると、入れ替わりで八が帰って来た。
「どうだった?」
「余裕で買収したった。これで内部から壊し放題だぞ。」
「流石だ。」
僕らの企みはシンプルかつ効果絶大な暗殺劇だ。
「失礼します。」
ある会社に八が訪れると、周りにいた社員は一斉に土下座した。
「ど、どうか…命だけは!」
「何いってんの……。」
社員の中でもそれなりに上に居そうな奴がそう言うと、八は呆れた視線を社員達に落とした。
「社長呼べる?滲襲甘採からの紹介だ。」
「は、はいぃ…!」
恐れた様子の社員が、足早にエレベーターへと向かった。
Leviathan。それは人前にほとんど姿を現さない怪談のような存在だが、見れば分かる。逆らったら命は無い……と。
「お呼びしましたぁ……。」
どうやら社長のお出ましのようだ。
「私がこの「株式会社ポピュラーラブ・スイートフラグ」の最高責任者。
田村と申します。」
「お会いできて光栄です。私は「抵抗推進機構プレデスタンス」所属の戦略部総監督。Leviathanの矢匿と申します。」
営業モードの八は、普段のラフさからは考えられないほどの敬語で挨拶を済ました。
「本日はどのようなご要件で…?」
「単刀直入に言います。ここを買収します。勿論ですが、貴方達が拒否すれば過去の過ちを掘り返します。」
営業モードから一変、普段の悪魔と化した八の言葉の銃弾がその場にいる者を襲った。
「……ちなみに理由を聞いても…」
「関係の無い話だ。どうせ金さえあればそれでいいんじゃないの?だからあの過ちを冒した。……違うかな?」
田村を黙らせるにはオーバーキルな冷酷な言葉が刺さり、八は大金をばら撒いた。
「経営は全て俺が行う。他の連中は出社するな。それだけで普段の倍の収入を差し上げよう。……いいな?」
やり過ぎな位のしかかる圧力に誰も異議を唱える事が出来ず、半ば強引に買収契約が成立した。
八は恐怖でうずくまる田中に目線を合わせて口を開いた。
「ここの系列で一番影響力のある店はどこだ?」
「………千葉市の出張店舗です。常設はしていませんが、各地を回っています。」
「分かった。感謝する。」
去り際に札束を押し付けて、八は会社を去って行った。
株式会社ポピュラーラブ・スイートフラグ。メイド喫茶やホストクラブなどの経営をサポートする日本最大級のエンターテイメント会社だ。
そこを買収して行う事は僕がこれまでに使ってきた暗殺方法の大規模版みたいなものだ。
「手始めに全系列店舗にバッチを導入させて。それにGPSと爆弾を埋め込み、釣れた政府関係者を爆破。ただ、店員も道連れだから誤爆しないように見張らせておいて。」
「甘採はどうする気だ?」
「僕は偵察をしつつ、これまでどうり関東の社会情勢を聞き出す。八は系列店舗の管理と映人らの戦況も気にかけておいて。」
「分かった。」
僕と八はハイタッチをして、それぞれの担当に移った。
種田と対談し、より自分に対しての謎が深まった俺は、気晴らしに旋梨と愁とボーリングに来ていた。
愁は出身が東京じゃないため任務以外で会う機会が少ないが、Mythologyの同年齢組としてプライベートでも仲良くしている。
「くぅ!全然ストライク決まらねぇ!」
そう悶絶しながら楽しむ旋梨の横でどんどん点が加算されていく愁。
俺は少し休憩しているが、見てるだけで面白い。現在、コーヒー代を賭けて勝負しているのだが、もう確定演出が降りきっている。
「次、スペア出したら紫藤の勝ちでいい。」
「マジ?じゃ、本気だすかぁ!」
心の中で最初から本気出せよと思ったのは、恐らく愁もだろう。
無口だが、勝負事には命賭けてる愁がこのチャンスを与えるなんて、どれだけ旋梨が下手なんだ。いや、愁が上手いだけである。
「いっけぇ!」
しかし結果は虚しく、スペアどころかストライクすらいかなかった。
表情すらあまり変化しない愁が苦笑いしている。あの威勢は何だったんだと。
「フラペチーノでお願い。」
「あ、俺はカフェラテで。」
「ちゃっかり便乗すんな!勝負を引き受けなかった歪は自腹だわ!」
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とりあえず、俺達はコーヒー店に向かった。
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