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ChapterⅤ:Crazy
No63.Determination for the future
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Leviathanとの戦闘から2日が経過した。渋谷を中心に甚大な被害が出たものの、一般人での死人はほとんどいない。標的も全滅したため、任務達成といって良いだろう。
夜空達が底沼を取り逃がしたそうだが、すぐには行動しないと思われる。
「聖薇先輩。」
司令から今回の件についての処理などの事を話され、司令室を後にすると、夜空が声を掛けてきた。
「先日はありがとうございました。ターゲットを仕留めきれなくてすみません……。」
彼はそう言って頭を下げるが、彼はよくやってくれたと思っている。夕憧と葉桜が増援として来てくれたらしいが、それまで一人で時間を稼ぎ、誰も死なせなかったとなれば上出来だ。
「頭上げろ。お前は十分に活躍してくれた。また現れた時にでもトドメを刺せば良いさ。」
「そうですね。これからも Mythologyの一員として精進します。」
そう言い残して、彼は行ってしまった。
特に用事も無いため、俺はある場所に向かう事にした。何せ色々あって顔を見せられていなかったから。
それまでのような圧力はすっかりと抜け切ったある芸能事務所。彼はやはり才能の塊だったのかもしれない。
「こんにちは。種田マネージャー。」
「普通に呼んで。いらっしゃい歪君。」
「上手く回っていますか?多忙ですよね。」
「撫戯のお陰で好調ですよ。彼はやっぱり凄い。」
経営に関しては良好のようだった。学歴、知識、性格の全てが高水準な種田さんと、実力もあり寄り添い方を完璧に把握している撫戯のコンビは強い。
分かりきっていた事ではあるが、前任より印象も良ければ実力派だ。
「それで……どのようなご用件で?顔見せ半分なのは分かりますが、聞きたい事があるんじゃないでしょうか?」
勿論ただ単に暇だったから来ただけでは無い。俺の知らない俺を知っているであろう種田さんに直接伺いに来たのだ。
彼からだけじゃない。他にも脳内解釈が一致しない発言を耳にしている。やはり、絶対に何かあるはずだ。
「僕からでいいんですか?自分で思い出すか、鍵となる人物に聞く方が混乱せずに済むと思いますが……。」
多分これは遠回しに拒否しているな。
「すみません。やっぱり何でもないです。」
「ヒント位は教えますよ。………彼は消息不明でした。表向きには……。撫戯は会っていたそうです。」
正直全く分からない。ただ、自分の納得できる解答を導き出すには、解読しなければいけない。この意味を。
「では、俺はこの辺りで。また近々来ますね。」
「はい。ぜひとも。」
そして俺はその場を後にした。鮮明では無いが、徐々に知らない記憶が浮かび上がってくる事がある。
きっと時間が解決するだろう。
仙台。Leviathanの生き残りは死を選び、俺は遺品と共に帰還していた。もうこのコレクションを追加したくは無い。
「Leviathanも壊れたか……。サイレンスは政府の傘下にでもなったのか?」
「流石に無い。利用し尽くして捨てるだろう。………本格的にあいつの手が借りたい。」
俺は影響力者になれなかった。だからこそ、記憶の闇に葬られたのだ。強烈な記憶でさえもいとも簡単に消すあの技術…。あれの存在に気付く我々が抗わなければ、奴らの思う壺だ。
「決めた。トリガーへ誘導するぞ。」
「どうやって?葵は永久睡眠状態なんだぞ。最終手段の……。」
「歪は断片的に切り取られた。何かの拍子に戻る可能性がある。協力してくれるよな。黄牙。」
「そりゃするけど……。お前の専属だしな。」
一時目標は定まった。サイレンスは我々反政府を蹂躙する一方、政府的にもイレギュラーになりつつあるはずだ。
彼らが日常に戻り油断する時こそ、またあの惨劇を起こすだろう。
ギリギリまで耐え抜かせる。それが青春を闇に染められた我々ができる手助けだ。
日常に戻ったが、非日常な気がしてならない。自分は何処か居心地の悪さを感じていた。
戦闘員としての一面を知られてしまったからかそれともアレが原因かは定かでは無いが、話す気力がとにかく起きなかった。
そんな中、一通のメールが送られてきた。
『放課後、屋上で…』
夜空達が底沼を取り逃がしたそうだが、すぐには行動しないと思われる。
「聖薇先輩。」
司令から今回の件についての処理などの事を話され、司令室を後にすると、夜空が声を掛けてきた。
「先日はありがとうございました。ターゲットを仕留めきれなくてすみません……。」
彼はそう言って頭を下げるが、彼はよくやってくれたと思っている。夕憧と葉桜が増援として来てくれたらしいが、それまで一人で時間を稼ぎ、誰も死なせなかったとなれば上出来だ。
「頭上げろ。お前は十分に活躍してくれた。また現れた時にでもトドメを刺せば良いさ。」
「そうですね。これからも Mythologyの一員として精進します。」
そう言い残して、彼は行ってしまった。
特に用事も無いため、俺はある場所に向かう事にした。何せ色々あって顔を見せられていなかったから。
それまでのような圧力はすっかりと抜け切ったある芸能事務所。彼はやはり才能の塊だったのかもしれない。
「こんにちは。種田マネージャー。」
「普通に呼んで。いらっしゃい歪君。」
「上手く回っていますか?多忙ですよね。」
「撫戯のお陰で好調ですよ。彼はやっぱり凄い。」
経営に関しては良好のようだった。学歴、知識、性格の全てが高水準な種田さんと、実力もあり寄り添い方を完璧に把握している撫戯のコンビは強い。
分かりきっていた事ではあるが、前任より印象も良ければ実力派だ。
「それで……どのようなご用件で?顔見せ半分なのは分かりますが、聞きたい事があるんじゃないでしょうか?」
勿論ただ単に暇だったから来ただけでは無い。俺の知らない俺を知っているであろう種田さんに直接伺いに来たのだ。
彼からだけじゃない。他にも脳内解釈が一致しない発言を耳にしている。やはり、絶対に何かあるはずだ。
「僕からでいいんですか?自分で思い出すか、鍵となる人物に聞く方が混乱せずに済むと思いますが……。」
多分これは遠回しに拒否しているな。
「すみません。やっぱり何でもないです。」
「ヒント位は教えますよ。………彼は消息不明でした。表向きには……。撫戯は会っていたそうです。」
正直全く分からない。ただ、自分の納得できる解答を導き出すには、解読しなければいけない。この意味を。
「では、俺はこの辺りで。また近々来ますね。」
「はい。ぜひとも。」
そして俺はその場を後にした。鮮明では無いが、徐々に知らない記憶が浮かび上がってくる事がある。
きっと時間が解決するだろう。
仙台。Leviathanの生き残りは死を選び、俺は遺品と共に帰還していた。もうこのコレクションを追加したくは無い。
「Leviathanも壊れたか……。サイレンスは政府の傘下にでもなったのか?」
「流石に無い。利用し尽くして捨てるだろう。………本格的にあいつの手が借りたい。」
俺は影響力者になれなかった。だからこそ、記憶の闇に葬られたのだ。強烈な記憶でさえもいとも簡単に消すあの技術…。あれの存在に気付く我々が抗わなければ、奴らの思う壺だ。
「決めた。トリガーへ誘導するぞ。」
「どうやって?葵は永久睡眠状態なんだぞ。最終手段の……。」
「歪は断片的に切り取られた。何かの拍子に戻る可能性がある。協力してくれるよな。黄牙。」
「そりゃするけど……。お前の専属だしな。」
一時目標は定まった。サイレンスは我々反政府を蹂躙する一方、政府的にもイレギュラーになりつつあるはずだ。
彼らが日常に戻り油断する時こそ、またあの惨劇を起こすだろう。
ギリギリまで耐え抜かせる。それが青春を闇に染められた我々ができる手助けだ。
日常に戻ったが、非日常な気がしてならない。自分は何処か居心地の悪さを感じていた。
戦闘員としての一面を知られてしまったからかそれともアレが原因かは定かでは無いが、話す気力がとにかく起きなかった。
そんな中、一通のメールが送られてきた。
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