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ChapterⅥ:Signpost
No89.Don't miss anyone
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ターゲット座標に到着した。仙台国家秘密研究区域。一般人お断りのこの地域は、警備が非常に厳しい。しかし、俺にかかれば余裕だ。僅か三時間で、研究所に到着した。
研究所は非常に巨大な建造物であり、ロボットが巡回していた。しかし、建物はコンクリート性の普通なものである。
「………行きますか……住処へ。」
調べた情報によると、この研究所にはHadesと呼ばれる防衛集団が常駐しているらしい。
その中でも元殺し屋の Asmodeus彼岸がリーダー格だ。任務目標は葵の奪還だが、そいつの撃破も避けては通れぬ道だろう。
相手は国の機関だ。しかし、俺が怖気づく事は無い。相棒を殺され、想い人を攫われ、挙句の果てに貴重で大切な時間を奪ったこいつを……生かす価値などない。
俺は仲間達の片割れに過ぎない。慈穏に慈悲の感情が宿されているなら、片割れの俺は無慈悲。つまり“負”の感情を担う事になる。
それ以外でもだ。先日、弟の記憶が消去されたという情報を耳にした。兄弟の片割れにもなってしまった。
この“対魂”というコードネームは、俺の負の未来を暗示していたように感じた。相方の魂の片割れという意味での命名だったはずが、今や“誰かの正反対の魂”。
合わさっているから均衡を保てるのであって、片方が潰れれば不安定になる不良品。
ならば……不良品らしく私怨を暴走させ、屈辱を晴らしてやる。そして、心残りなくこの名を捨てるまでだ。
「対魂。最終任務遂行。」
拳銃を構え、腰のロープをいつでも使える態勢を整え、俺は屋根から飛び降りた。
「敵襲!敵襲!直ちに射撃を行え!」
威嚇に一発煙幕を放つと、次々とHadesの下っ端共が射撃を開始した。
精度はそれなりに鍛えられている。だが。
「足元にも及ばないわ。……下等人。」
俺は壁を蹴りながら複雑に軌道を変えながら動き、奴らの攻撃を回避した。
そして、一発グレネードを投げ込むと、三十人余りの分隊は一瞬で命を落とした。
「目立ち過ぎたか。……いや、これは暗殺じゃねぇ。“虐殺だ。”」
その場を走り抜け、窓ガラスを銃弾で割り、内部へと侵入した。
研究所の内部は危険物だらけのため、無闇に爆破とかは出来ない。まとめて一掃する事はできないが、一人一人、確実に仕留めれば良いだけだ。
今回、潰すのはHadesだけじゃない。ここに居る奴漏なく全員だ。
「敵だ!撃て!」
三人の下っ端が廊下の死角から出てきて銃を構えるが、奴らが引き金を引くより先に、俺の弾が連中の一人の脳を破損させて。
「お、怖気づくな!」
一歩後退したものの、そう言って一人が発砲した。しかし、意外性が無さ過ぎる上、全く読めていない。
俺は隙かさず奴を撃ち抜いた。
「ヒィ!」
残りの一人は恐怖したのか、尻餅をついた。そして恐怖のあまりか、俺に震える手で銃口を突き付けた。
「重力が働く限り、遅延がある。なぁ、お前達はどこ狙って撃っている?相手の動きを予測して、偏差撃ちしなければ俺の心臓は貫けねぇよ。……お前達みたいに棒立ちの的じゃないんだからさ。」
ゼロ距離でスコープで狙いを定め、怯える最後の下っ端を撃ち抜いた。
にしても拍子抜けな奴らだ。こいつら弱いのか。それとも俺が強いのか。
どちらにせよ、ハッキングで抜いた情報だと、この程度の奴らとは思えない。まだ対面出来ていない。奴と。
戦闘員は数を減らし、研究員は逃げ惑い始めたが、当然逃がす気は無い。
既に二百メートルほど離れた奴であっても、俺の射撃からは逃れられない。速射可能スコープ式のリボルバーという敷居の高い機関銃だが、俺の腕にはすっかり馴染んでいる。最早第三の手だ。
気配を感じ取っては射抜き、抵抗者が現れたら回避して射抜く。これを繰り返しながら広い研究所内を探索し、遂に目的の場所に着いた。
正六角形の部屋。壁はガラスとなっており、様々な生物のキメラが液体の中で眠っていた。そんな中、ある一角に姿があった。
「葵……。」
禍々しい紫色の液体に閉じ込められている裸姿の葵。生死は確認できない。
施設内からはすっかり人の気配は消えていた。ここに辿り着くまでに、千七百の命が零れ落ちた。
しかし、まだ一つ気配はある。数時間前からずっと付き纏っているのに、中々アクションを起こさない奴が一人。
「そろそろ出て来いよ。ずっと気づいているぞ。」
部屋が自分の声を反響させる。すると、最後の気配の持ち主が天井の骨組みの上から飛び降りてきた。
「ここに来て油断したところを殺る気だったが……気づいていたか。」
「気色悪い奴だ。奇襲を警戒していたが、何もしてこないから逆に恐ろしかったな。……お前が彼岸か。」
「何故知っている?そう言えば、蝙蝠がサーバーにハッキングされた形跡があると言っていた。貴様の仕業か。」
「俺が直接やったわけじゃないが、まぁ、そんなところ。はぁ……テメェには聞きたい事が山程あるんだが……手合わせが先でいいな?」
「俺様は蹂躙のプロフェッショナルだ。ただ、貴様はどうやら退屈させないそうじゃないか!互いに半殺しで拷問権を得る。それでいこうか。」
「……臨む。」
互いに睨みつけ合い、俺は拳銃、彼岸はハンマーを構えた。
さぁ…“何倍にして返してやろうか”。
研究所は非常に巨大な建造物であり、ロボットが巡回していた。しかし、建物はコンクリート性の普通なものである。
「………行きますか……住処へ。」
調べた情報によると、この研究所にはHadesと呼ばれる防衛集団が常駐しているらしい。
その中でも元殺し屋の Asmodeus彼岸がリーダー格だ。任務目標は葵の奪還だが、そいつの撃破も避けては通れぬ道だろう。
相手は国の機関だ。しかし、俺が怖気づく事は無い。相棒を殺され、想い人を攫われ、挙句の果てに貴重で大切な時間を奪ったこいつを……生かす価値などない。
俺は仲間達の片割れに過ぎない。慈穏に慈悲の感情が宿されているなら、片割れの俺は無慈悲。つまり“負”の感情を担う事になる。
それ以外でもだ。先日、弟の記憶が消去されたという情報を耳にした。兄弟の片割れにもなってしまった。
この“対魂”というコードネームは、俺の負の未来を暗示していたように感じた。相方の魂の片割れという意味での命名だったはずが、今や“誰かの正反対の魂”。
合わさっているから均衡を保てるのであって、片方が潰れれば不安定になる不良品。
ならば……不良品らしく私怨を暴走させ、屈辱を晴らしてやる。そして、心残りなくこの名を捨てるまでだ。
「対魂。最終任務遂行。」
拳銃を構え、腰のロープをいつでも使える態勢を整え、俺は屋根から飛び降りた。
「敵襲!敵襲!直ちに射撃を行え!」
威嚇に一発煙幕を放つと、次々とHadesの下っ端共が射撃を開始した。
精度はそれなりに鍛えられている。だが。
「足元にも及ばないわ。……下等人。」
俺は壁を蹴りながら複雑に軌道を変えながら動き、奴らの攻撃を回避した。
そして、一発グレネードを投げ込むと、三十人余りの分隊は一瞬で命を落とした。
「目立ち過ぎたか。……いや、これは暗殺じゃねぇ。“虐殺だ。”」
その場を走り抜け、窓ガラスを銃弾で割り、内部へと侵入した。
研究所の内部は危険物だらけのため、無闇に爆破とかは出来ない。まとめて一掃する事はできないが、一人一人、確実に仕留めれば良いだけだ。
今回、潰すのはHadesだけじゃない。ここに居る奴漏なく全員だ。
「敵だ!撃て!」
三人の下っ端が廊下の死角から出てきて銃を構えるが、奴らが引き金を引くより先に、俺の弾が連中の一人の脳を破損させて。
「お、怖気づくな!」
一歩後退したものの、そう言って一人が発砲した。しかし、意外性が無さ過ぎる上、全く読めていない。
俺は隙かさず奴を撃ち抜いた。
「ヒィ!」
残りの一人は恐怖したのか、尻餅をついた。そして恐怖のあまりか、俺に震える手で銃口を突き付けた。
「重力が働く限り、遅延がある。なぁ、お前達はどこ狙って撃っている?相手の動きを予測して、偏差撃ちしなければ俺の心臓は貫けねぇよ。……お前達みたいに棒立ちの的じゃないんだからさ。」
ゼロ距離でスコープで狙いを定め、怯える最後の下っ端を撃ち抜いた。
にしても拍子抜けな奴らだ。こいつら弱いのか。それとも俺が強いのか。
どちらにせよ、ハッキングで抜いた情報だと、この程度の奴らとは思えない。まだ対面出来ていない。奴と。
戦闘員は数を減らし、研究員は逃げ惑い始めたが、当然逃がす気は無い。
既に二百メートルほど離れた奴であっても、俺の射撃からは逃れられない。速射可能スコープ式のリボルバーという敷居の高い機関銃だが、俺の腕にはすっかり馴染んでいる。最早第三の手だ。
気配を感じ取っては射抜き、抵抗者が現れたら回避して射抜く。これを繰り返しながら広い研究所内を探索し、遂に目的の場所に着いた。
正六角形の部屋。壁はガラスとなっており、様々な生物のキメラが液体の中で眠っていた。そんな中、ある一角に姿があった。
「葵……。」
禍々しい紫色の液体に閉じ込められている裸姿の葵。生死は確認できない。
施設内からはすっかり人の気配は消えていた。ここに辿り着くまでに、千七百の命が零れ落ちた。
しかし、まだ一つ気配はある。数時間前からずっと付き纏っているのに、中々アクションを起こさない奴が一人。
「そろそろ出て来いよ。ずっと気づいているぞ。」
部屋が自分の声を反響させる。すると、最後の気配の持ち主が天井の骨組みの上から飛び降りてきた。
「ここに来て油断したところを殺る気だったが……気づいていたか。」
「気色悪い奴だ。奇襲を警戒していたが、何もしてこないから逆に恐ろしかったな。……お前が彼岸か。」
「何故知っている?そう言えば、蝙蝠がサーバーにハッキングされた形跡があると言っていた。貴様の仕業か。」
「俺が直接やったわけじゃないが、まぁ、そんなところ。はぁ……テメェには聞きたい事が山程あるんだが……手合わせが先でいいな?」
「俺様は蹂躙のプロフェッショナルだ。ただ、貴様はどうやら退屈させないそうじゃないか!互いに半殺しで拷問権を得る。それでいこうか。」
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