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11.里帰りします
しおりを挟む【安楽領域】で環境も整えたし、さっさと地球に里帰りするか。
飛行機に乗り込み、最初に引き剥がした扉を無理矢理嵌めて入り口を閉じる。
そして、今度はコクピットの扉を引き剥がして、中に居る睡眠状態のパイロットを操縦席から降ろして客室の方に適当に投げておく。
さっきと同じ様にコクピットの扉も無理矢理嵌めて閉じる。
そして俺は操縦席に座ってから、機体に触れ。
【反重力】
魔法陣が地面に現れて、俺も含めて飛行機全体の重力をゼロにする。
これで、飛行機は無重力空間にいる状態と同じになり、何処かに力が加われば慣性の法則でその方向に進み続ける宇宙空間と同じ様な状態になっている。
だから、空に向けて
【圧力】
機体の外では地面に飛行機より大きな魔法陣が現れているが、別にオーガエンペラーを倒した時よりも威力がある訳じゃない。威力は機体が壊れない様に軽く、そして機体全体に力が加わる様に、【圧力】を下から空に機体を打ち上げる様に発動した。
飛行機は予定通り空に打ち上がり、地球に向かっていった。
スピードは安全重視なので時速100キロって所だから、大体1時間ぐらいで地球に到着する事になるな。
さて、今更だが何故俺が飛行機の外ではなく、わざわざ室内に入ったかだがこれには理由がある。
その理由とは、俺は飛行機に乗った事がないからだ!
まあ、勿論それもあるけど、本当は目撃されたくないからだね。
世界イデアの人間が地球人を知らない様に、地球人もイデアの住人を知らない。そんな中でいきなり空を飛んでいる所を人を見られても騒ぎになるだけだし、俺も目立ちたくはないから、飛行機内に入って見えない様にしている。
その方が魔法の制御が楽なのも多分にあるが、俺の魔法には姿を消したりするものは無いので、そっちの方が主な理由だな。
ーーー
もうすぐ出発してから30分ぐらい経ち、イデアから地球に入る頃にふと思ったんだが、何でこの飛行機はエンジンが切ってあったんだろうか?
墜落してきたとは言え、エンジンが止まっていたとは考えにくい。という事は墜落した後にエンジンが切られたって事になり、それをやったのはさっき投げたパイロットって事になる。
飛行機本体は俺が上手く降ろしたが、それでもエンジンが止まらなかったら俺はどうしようも無かった筈だ。そんな状態を回避してくれたパイロットを雑な扱いをしてしまったよ。
何かお詫びした方が良いのかな?
そうだな、イデア産の物を何かあげようかな?あげるなら地球には無いものが良いだろうが何が良い…だろ……う…………
ーーー
「ん、ここ何処だっけ? って落ちてる!」
目を覚ますと飛行機が地球に落下している最中だった。
しかも掛けていた魔法も全て解けているみたいだし、どのくらい気絶していたかは分からないが早くどうにかしないと俺以外が死んでしまう。
【安楽領域】
【エリアヒール】
【反重力】
【圧力】×2
【安楽領域】で機体内の空気を正常化して、一応【エリアヒール】を掛けて死んでない人を回復させる。
そして、切れていた【反重力】の魔法を掛け直して重力をゼロにした後、それでも慣性で地球に落ちていっている機体を、蛍を手の平で包むかの様に軽く【圧力】の魔法で優しく挟み動きを止める。
「ふう、これで一先ずは大丈夫だろう」
しかし、何で俺は気絶していたんだ?
最後の記憶は、ファインプレーをしたパイロットに何かあげようかな?と考えていた時か。
そう言えば、確かあの時はもうすぐイデアから地球に入る時だったな。
イデアから地球に入った時に何かあったのか?
世界を渡る事によって何かあったとか?
もし、そうなら乗客たちにも何かあったかもしれないので生死の確認がてら見てくるか。
まあ、気絶していた間は【安楽領域】が切れていたみたいだから、時間によっては最悪全滅かもしれないけど。
しかし、気絶したぐらいで俺の魔法が切れるなんて思いも寄らなかったよ。帰りも気をつけないとな。
乗客を確認しようとコクピットの扉を開けようとした時、何故か扉が最初よりデカくなっている気がした。
試しに扉を触ろうと手を伸ばすと、視界に入ってきたのは子供の手だった。
「これが俺の手か?」
手を振ってみると同じように子供の手も動く。ピースをすれば子供の手もピースし、手を握れば同じように握った。
「本当に俺の手みたいだな」
【収納】
黒い空間から取り出したのは手鏡で、それで今の自分の顔を見ると、そこには10年前の俺の顔が映っていた。
鏡を見ながら顔を触るとやはり鏡に写っている俺も同じように動くって事はもう確実だな。
「原因は分からないが今の俺はイデアに来た時の7歳児の体に戻っているみたいだな」
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