怠惰の魔王

sasina

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12.飛行機捨てます

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 7歳児の体になったのはどうでも良い。魔人の俺にとって姿は関係ないからな。魔法が普通に使えるなら特に問題はない。

 それよりも、俺を強制的に気絶させ、掛けた筈の魔法まで解けてしまった事の方が問題だ。

 こんな7歳児の見た目でも俺はイデアでは強い方だ。その俺をこんな目に遭わせた原因は突き止めないといけない。

 今は荷物が多いので、先ずはこれを片付けてから原因究明といこうかね。

 それじゃあ、改めて乗客の安否でも確認するか。一応【エリアヒール】を掛けたから、死んでなかったら大丈夫だと思うけど。

 コクピットの扉を外して飛行機の客室行き、乗客の安否を確認していくと全員生きていた。

【エリアヒール】

 念の為、もう一度【エリアヒール】を掛けておく。

 しかし、乗客の状態や飛行機の高度から言って、俺が気絶していたのはほんの短い時間だった様だな。

 動いていて思ったんだが、ぶかぶかの服では動き難い。

 7歳児に体が縮んだので、服が欲しいな。

 乗客に6、7歳の子供が丁度いたので、その子供の親の荷物だと思われる鞄から服を取り出して着替える。

 服を貰う代わりに、イデアで手に入れた人工ダイヤモンド (俺作)を鞄の中に入れておくかな。

 さて、着替えも安否確認も済んだ今する事は、この里帰りの旅を再開する事だな。

 先ずは日本に行かないとな。世界地図なら見た事がある、海外への旅番組では一々世界地図が出てくるからな。日本の位置も空から見下ろせばわかる筈だ。

「えーっと、あった」

 特に確認もせずにきたのに、近くにあって良かった。

 見ていて思ったんだが、イデアの方は繋がっている位置が動いていなかったのに、地球の方は自転に合わせて動いている様だったので下手をしたらかなり遠い場所に行っていたかもしれない。

 まあ、大半が日本人の飛行機が落ちて来てから直ぐだったので日本が近くにあるのは当たり前か。

 日本の方向に合わせて力を加えてやる。

圧力プレッシャー

 現れた魔法陣からの【圧力】で、日本の方へ進み始めた。

「本でも読むか」

収納ストレージ

 【収納】から本を取り出して、機長席に座り本を読む。

ーーー

「着いたか」

圧力プレッシャー】×2

 魔法陣で挟み込む様に【圧力】を掛けて飛行機を止めた。

 今は日本の上空にいる。
 今日は雲が無いので、もしかしたら下から空中に不自然に止まっている飛行機を見て不審に思っている人がいるかもな。

 コクピットの窓から下を覗き込み、飛行機を捨てる場所がないか探す。

 目に魔力を集めて強化し望遠鏡の様に遠くを見ると、同じ様な飛行機が複数ある所があった。

 あそこなら、飛行機を捨てておけば勝手に片づけてくれるだろう。

圧力プレッシャー

 空港らしき場所に向けて飛行機を重力魔法の【圧力】を掛けて押し出す。

ーーー

「そろそろ、地面だな」

 下の空港では、ゆっくりと(時速20キロ。地上が近くなったので安全運転)で落ちてくる飛行機を見つけたのか。消防車が何台も予想落下位置の近くに停まっていた。

 パトカーも数台停まっているのも見えるな。

「結構な騒ぎになっているみたいだな。しかし10年振りに見るのか」

 まあ、消防車は実物を見るのは初めてだがね。

圧力プレッシャー

 地面に着く前に【圧力】でスピードを緩めてから、地面ギリギリで【反重力】を解くと、飛行機の重力が戻ったので衝撃と共に飛行機が着陸した。

 無事着陸したので【安楽領域】を解いて救助活動が出来るようにする。

 【安楽領域】は解いておかないと、普通の人間は入ってきたら眠ってしまうからな。

収納ストレージ

 パイロットに渡す物は思い付かなかったので、ランク6相当の魔物の魔石を2つ置いていく。

 飛行機のパイロットは二人いるから、一人一つずつって事で。

 さて、俺は見つかる前にさっさと脱出するか。

転移テレポート

 さっきまで居た上空に【転移】する。下の人達は、落ちてきた飛行機に気が取られているので俺に気づいた人は居ない。

 魔力を固めて空を跳び、さっきの飛行機から離れた場所でもう一つの飛行機を出す。

収納ストレージ

 飛行機を出した瞬間に、凄い爆音を立てながら飛行機は爆発した。

自動防御オート プロテクション

 そう言えば、今にも爆発しそうな飛行機をしまったんだったな。忘れていたよ。

 勿論、俺は【自動防御】のお陰で爆発に巻き込まれても無傷だったけどね。

 こっちの爆発に気づいた人が近づいてくると思うので、さっさとここから離れるか。

転移テレポート

 【転移】は行った事のない場所でも視線が通れば、転移する事が出来るので空港の外に【転移】した。

 これでやっと荷物を捨てる事が出来た。







 

 



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