怠惰の魔王

sasina

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16.買い物に行きます

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 俺にとっては何事も無く、翌朝を迎えた。

 が、特にする事も無かったので、朝御飯を食べた後、何かが起こるまでは部屋で寝ていようか。

 唯、何も無い日常って良いよね。

 昨日は誕生日も含めて色々あり過ぎた。

 今日は何かが起こっても精々昨日出た程度の魔物とかだったら楽なのにね。

 人同士の関わり合いは家族を除き基本面倒だがらやりたくない。

 と言う事で、おやすみなさい。



ーーー



「鈴起きて」

 おはようございます。

 琴音姉さんに揺すられて起きたのは、現在12時43分です。

 まだ、今日は終わってない。

「何?」

「買い物行くから付いてきて」

「母さんは?」

「仕事」

「歩き?」

「当たり前」

「負んぶして」

「分かったから行くわよ」

 車が出ないという事なので、靴を履いてから琴音姉さんに負んぶされてスーパーに行く。

 と思ったが、家から出て暫くすると降ろされた。

 琴音姉さんは俺を置いてそのまま歩いていく。

 ふむ、今の状況は騙されたって事になるのか?

 いや、騙されてはいないか。負んぶしてとは言ったがいつまでとは明言していなかったな。

 琴音姉さんは、今更帰るには遠いと思ってしまう様な距離で降ろしたので、俺が付いてくると思っているかもしれないが俺は10年前とは違うのだよ。

 という訳で付いていきます。

 そう、今の俺は10年前よりも面倒くさがりだが、その分大人でもある。

 まだ、イデアと繋がって1日しか経っていないのに、自分より年下の姉(15歳)を一人で出歩かせるのも心配だからな。

 と言うか、今にも落ちてきそうな世界が上にあると言うのに出掛けるって凄いな。柚乃母さんも仕事に行っているしな。日本の社畜って奴はこんな時でも仕事に行かないといけないのかな?

「鈴、遅れるわよ」

「遅れるって何に?」

「タイムセールによ、遅れないで」

「分かった」

 急かしてくるので琴音姉さんに追いついて並んで歩く。

 ウチは別にお金に困っている訳でもないのに琴音姉さんがタイムセールにこだわるのは、琴音姉さんが趣味にお金を注ぎ込んでいるので、他の事で出来るだけ節約しようと思っているみたいだ。

 別に趣味の為に、時間以外を犠牲にしている訳じゃない。唯タイムセール方が安く買えるとか、お一人様一つの物を二人で行って二つ買うみたいなちょっとした節約ってだけだ。

 って事は、お一人様一つの何かを買う為に俺を連れ出されたのか。

 まあ、7歳児を荷物持ちに連れて行く奴はいないよな。



ーーー



 スーパーに着いたが臨時休業でした。

 まあ、何と無く予想は付いていたけどね。このスーパーに着くまでも殆どの店が閉まっていたから、多分そうだろうな、と思っていたら案の定店は閉まっていたよ。

「帰ろうか」

「うん」

 タイムセールは広告チラシでも見たから来たんだろうが、まあ、こんな状況でも店や仕事を当たり前の様にやっている方が凄いのであって、休んでいるのが普通だろうな。

 そんな訳で家に帰ります。

 やはり、車を動かせる時に来た方が色々な場所を回れて良いと思うよ。こんな時だからこそね。

 さあ、さっさと帰って家でゆっくりとしようじゃないか。なんなら10年振りのゲームでもして遊ぶのなんてもの良いかもね。

 俺もそろそろ自分のスマホが欲しい年頃ですよ、柚乃母さん。



ーーー



「ん」

 家に帰る途中にある公園に通りがかった時、俺は空を見上げる。

「琴音姉さん先帰って」

「わかった」

 上手くいったな、ラリアが使う【色欲の言霊】を真似てやってみたが上手くいった。

 俺が使ったのは、舌に魔法陣を作ることによって言葉に魔力では無く魔法を乗せる事で、魔力抵抗の低い者にしか効かない軽い認識操作を使った。

 俺がここに残ると言っても、琴音姉さんは不思議にも思わずに一人で家に帰ると言う選択をしたので、今頃公園を出て家に向かっている頃だろう。

 この認識操作の凄いところは、ちょっとした事なら掛けられた事にも気付かない魔法で、魔法をかけた痕跡すら残らない結構高等な魔法だ。

 まあ、その代わり、自分以外の誰かに指摘されたり、強い衝撃があったりすれば簡単に解けてしまう、あまりに相手の意思に反した認識操作でも簡単に抵抗されてしまう、魔法と言うよりは暗示に近いかもしれない。

 ラリアの場合はもっと凶悪な能力だけどね。

 俺がここに残ったのは、空からと言うよりイデアから何かが来るのを感じ取ったからだ。

 数は複数だが、降りて来るのは日本の別々の場所みたいだな。そしてその一つがこのまま行けば、この公園に降りてくる。

 魔力の大きさから言って、ランク9が2つ、ランク8が4つ、ランク7が5つ、そしてランク6以下がざっと30と言ったところか。

 同じ集団みたいなので、一人確認出来れば良いだろう。それにこの公園に降りてくる一人はランク9の英雄級の魔力の持ち主だから、ちょうど良い。

 魔物だったら、面倒だが全部始末しに行かないとな。
 もしかしたら冒険者の連合かもしれない、新大陸の調査的な事で英雄級を二人も国外に出せる国は無いだろうしな。
 その場合は狼藉を働いた奴から首だけイデアに送り返すのも良いかもしれない。全員倒すのも面倒だしね。

 まだ、時間が掛かりそうなのでブランコに揺られながら魔力の主を待つ。

 轟音が鳴り、地面が揺れるのを感じて目が覚めた。

「ん、揺れが心地良くてつい寝てしまったか」

 目が覚めたので轟音がした方を見ると、そこにはコスプレ少女が立っていた。




 

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