怠惰の魔王

sasina

文字の大きさ
20 / 33

20.家族に紹介します

しおりを挟む


「あの~呼ばれていますよ?」

 コスプレ少女に声を掛けられたので目が覚めた。

 コスプレ少女は俺を揺すって起こそうとしていた処で、俺が起きたのでコスプレ少女の手が俺に触れる直前だった。

「もう、大丈夫」

 そう言ってから、俺はベットから起き上がり部屋を出て声がするリビングに行く。

「呼んだ?」

 リビングに入ると、既に仕事から帰ってきていた柚乃母さんに聞く。

「琴音ちゃんがもうご飯だって!」

「声がデカイ」

 寝起きの耳に響く声だな柚乃母さんは。

 俺はテレビを見ている柚乃母さんの後ろを通って台所に向かい、琴音姉さんに頼む。

「もう一人分、用意してくれない?」

「もう一人分って晩御飯を?」

「うん、人を泊める事になった」

「今日はカレーだから良いけど、そう言う事は前もって言ってくれないと用意出来ないよ」

「うん」

 確かにそうだよね。【収納】に出来立ての料理を入れている事が多かったから忘れていたよ。

「それで、その人は今何処に?」

「部屋」

「部屋って、鈴の部屋にもう上がっているの?これから来るとかじゃなくて?」

「うん」

「はぁ、まあいっか。その子もリビングに連れてきて、一緒に晩御飯にしましょう。お母さんには私から言っておくから鈴は呼んできて」

「わかった」



ーーー



「連れてきた」

「お邪魔しています」

 コスプレ少女を部屋からリビングに連れてきた。

「えっと、鈴。彼女が今日泊まっていく子?」

「そう」

 やはり、7歳児が自分の倍以上は年が離れている人を家に泊めたいって言うのはおかしいか。
 嘘でも彼女ですって紹介した方が良かったか?

 琴音姉さんは、俺が連れてきたのが自分と同じ年頃の女の子と知り驚いているようだった。

「そっかそっか!どういう風にそうなったのか知らないけど鈴が連れて来たなら大丈夫でしょ!詳しい話はご飯を食べなからでも!」

 それに比べて柚乃母さんは、俺に対して妙な信頼感でもあるのか、あっさりとこのコスプレ少女が泊まる事を許可した。

「ちょっとお母さん! も~しょうがないな~」

 そんな柚乃母さんを見て、琴音姉さんも諦めたようだ。

 と言う事で、泊める許可ももらったところで全員テーブルの席に着く。

 コスプレ少女の席は、4人掛けのテーブルなので空席になっている柚乃母さんの隣で俺の正面に座る。

 さて、晩御飯を食べようか。手を合わせて。

「いただきます」×4



ーーー



「それでどうしてその子?って名前を聞いてなかったわね。鈴紹介して?」

「知らな」

「あの! 自分で言います」

 俺が知らないと答えようとしたら、コスプレ少女が慌てたようにその言葉を遮ってきた。

「私の名前は陽地やち 聖奈せいなです。月城市にアパートを借りて住んでました。2年前まで」

「2年前? 陽地さんは今はどこに住んでいるの?」

「えっと、2年前から今日まであっちで暮らしてました」

 そう言って、コスプレ少女改めて陽地は上を指差した。

「上?って事はあっちの世界で暮らしていたの⁉︎」
 
 琴音姉さん、興奮しすぎだ。

 琴音姉さんは陽地の言っている事を理解した瞬間、机を乗りだしながら目を輝かせていた。

「はい」

「陽地さんは、転移、召喚、転生のどれだったの?」

「私は召喚ですね、えっと」

 陽地は琴音姉さんの顔を見ながら言葉を詰まらせた。

「あ、私は琴音」

「琴音さんも、ラノベとかに詳しいんですか?」

「うん、漫画、ゲーム、ラノベ何でも好きだよ。それと聖奈って名前で呼んで良い? 私も呼び捨てで良いから」

「はい、琴音」

 いきなり、仲良くなったなこの2人は。まあ、趣味的に話は合うとは思っていたし、当たり前と言えば当たり前か。

 柚乃母さんは、話を聞くみたいな事を言っていたが、今はニコニコしているだけで会話には入ろうとしてないな。

「それで、聖奈はどんな感じで異世界に召喚されたの?」

「そうですね。あちらの世界はイデアと呼ばれていて、そのイデアにある複数の国が協力して召喚したのが私達です」

「達って事は、複数人? クラス召喚って事?」

「いえ、召喚されたのは日本全国バラバラで、各国に数人ずつ召喚されたそうでした。そして召喚された者の誰かが自分達は英雄を超えた勇者だ!とか名乗ったそうで私達はイデアでは勇者と呼ばれています」

「聖奈は、何処の国に召喚されたの?」

「私が召喚されたのは力を絶対とする帝国です。幸い私達は英雄を超えるとはいきませんが、力はあったので帝国での扱いは悪くはありませんでしたが」

「扱いが国によって変わるのか」

 琴音姉さんが期待していたような面白可笑しい話では無かったが、実際にイデアを体験してきた陽地の話は興味深いのか真剣になって聞いている。

 なんかリアルって感じだな。まあ、現実の話なんだけどね。

「はい、帝国のように分かりやすい国は良いですが、エルフや獣人の国では、人間に対して排他的な者も居たようでそういった国から帝国に逃げてきた勇者も居ましたね」

「聖奈、不思議なんだけど。何でわざわざ呼んだ人を差別したりしたの?そんな事なら呼ばなければ良かったじゃない」

「ええ、全くもってその通りなんですが、私達が最初から勇者と呼ばれていなかったのは、私達がイデアの国々にとっての想定外だったからです。実は召喚は失敗していたんですよ」













 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

好感度0になるまで終われません。

チョコパイ
恋愛
土屋千鶴子(享年98歳) 子供や孫、ひ孫に囲まれての大往生。 愛され続けて4度目の転生。 そろそろ……愛されるのに疲れたのですが… 登場人物の好感度0にならない限り終わらない溺愛の日々。 5度目の転生先は娘が遊んでいた乙女ゲームの世界。 いつもと違う展開に今度こそ永久の眠りにつける。 そう信じ、好きなことを、好きなようにやりたい放題… 自覚なし愛され公女と執着一途皇太子のすれ違いラブロマンス。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

神様の失敗作ガチャを引かされた俺(元SE)、ハズレ女神たちと寂れた異世界を「再創生(リ・ジェネシス)」する

月下花音
ファンタジー
過労死した社畜SE・天野創が転生したのは、創造神に見捨てられた「廃棄世界」。 そこで待っていたのは、ポンコツすぎて「失敗作」の烙印を押された三人の女神たちだった。 「麦が生えない? ……ああ、これ土壌パラメータの設定ミスですね」 「家が建たない? ……設計図(仕様書)がないからですよ」 創は持ち前の論理的思考と管理者権限を駆使し、彼女たちの「バグ(欠点)」を「仕様(個性)」へと書き換えていく。 これは、捨てられた世界と女神たちを、最強の楽園へと「再創生」する物語。

処理中です...