21 / 33
21.召喚理由が分かります
しおりを挟む召喚が失敗していたのか。
確かに自分達からわざわざ勇者だと名乗ったとか言っていたな。召喚したんだからイデア側から英雄様とか使徒様とか、呼ばれていてもおかしくはないのにね。
「失敗?」
俺が首を傾げると、陽地は少し困った様に頬をかきながら答える。
「まあ、失敗と言っても成功するかどうかすら怪しいものだった様ですよ。その召喚魔法は」
「唯の実験だったの?」
「いえ、聖教国が中心となって成功させる気だったらしいです。まあ、周りの国は実験感覚で協力していたのかもしれませんが、それでも本気で成功させようとしていたのは確かだよ」
「で、結局失敗しちゃったと」
「うん、だから私達が召喚されたんだよ」
「それでそれはどういう実験だったの!」
柚乃母さんが始めて会話に入ってきた。確かに何を召喚しようとしていたのかは俺も気になるな。
失敗だったとは言え、ランク8や9を複数人呼ぶ事が出来た召喚魔法だ。
一体何を召喚したくて、そして何をしてもらおうとしていたのかね?
「私が聞いた話では、聖教国を中心にして周囲の5カ国が五芒星の魔法陣を描いて巨体な召喚魔法陣を築き、人よりも上位存在である天使を召喚させようとしていたみたいです」
天使ですか。
まあ、聖教国が召喚を成功させようとしていたって時点で何と無く予想は付いていたけどね。
イデアではその存在は信じられているが実際に降臨したとかは聞いた事が無い。言って見れば空想上の存在な筈なんだけどな。
そして、案の定失敗してその魔法陣で召喚したのは他世界の地球人って事か。しかも何故か日本人だけ。
しかし、良かったのか悪かったのか分からないな。
そんなデカイ魔法陣で召喚魔法を使ったら、下手をすればランク9より更に上のランクEX、厄災種が未開領域から召喚されてもおかしくは無かった。
ランクEXはランク9より上って意味だから、ランクEXにもピンからキリまであるが、どんなに弱くてもランクEXならランク9の陽地ではソロ討伐は不可能だろうな。
まあ、もし召喚されていたとしても人類が滅びそうならカラミタ母さんが討伐しに行くだろうから人類全滅は避けられるだろう。
文明が残るかは分からないけどね。
だから、厄災種が召喚されなかったのは良かったが、日本人が召喚されたのは悪かっただろう、日本から突然誘拐された訳だからな。
「成る程! ん? で、何でそんな居るか居ないか分からない存在に頼らないといけない事って何なの⁉︎」
「確かに、天使なんて大それた者を召喚しないといけなかったの?」
「ん」
そうだな、何をやりたいのか知らないが天使を召喚しないと解決出来ない問題ってなんだ。
俺達家族3人はその事が気になったので、陽地にその事について聞く。
すると、陽地なんでもない様にさらっと言う。
「ああ、それは魔王を倒す為ですよ」
え? 魔王を倒す為にそんな事をしていたの?
マジか、そんな危険を冒してまで倒したいのか?
しかも、召喚が成功していたとしてもカラミタ母さんに勝てる訳が無いんだけど。
「魔王って確かゲーム出て来る敵だったわよね!」
「そうですね。昔の日本ゲームだと大抵ボスキャラが多かったよね、琴音」
「そうだね~。最近はゲームでは見かけないけど、小説や漫画なら結構出てくるのもあるね」
「う~ん、やっぱり私の居ない2年で色々と出ているんだろうな~」
「大丈夫、私の部屋に来れば色々あるから、後で来たらいいよ」
「分かった、絶対行く」
「それにしても、やっぱり異世界には魔王って居るんだね。聖奈は戦ったの?」
そう聞かれて、陽地は困った顔をなって俺の顔を見る。
俺を顔を見て、魔王の事でも思い出しているのかね。
俺は相変わらず憶えていないけど。
「戦ったって言えるのかな?」
「どう言う事?」
「少し長くなるけどいい?」
「分かった!」「うん」「ん」
ーーーーー
side聖奈
私がイデアに召喚されてから1年以上が経ち、一緒に召喚された人達とパーティを組んで、魔物を倒す日々を過ごしていた。
私達は魔王を倒す為に召喚されたので(実際は失敗して私達が召喚されたんだけど)この1年間、魔王を倒す為に力を付けてきた。
そして、今ではランク9クラスのドラゴンをソロで倒せるぐらいに成長する事が出来た。
イデアの魔王は複数存在し、それぞれの領域を所有している。
イデアの国々の話では、魔王は人類の支配を目的としており、時より手下である魔物を使って人類の領地に侵攻して来るそうだ。
実際に私もそう言ったドラゴンを倒した事があるので知っている。
このままでは、人類の領地は魔王に攻められてドンドン住む場所が少なくなっていく事が予想される。
今、人類が魔王の侵攻に耐えられているのは、魔王同士が敵対関係にあり偶に争ったりして牽制し合っているから、大規模な侵攻は出来ないんじゃないかと言われている。
その証拠に偶にだが、未開領域の方で激しいぶつかり合いが起きるのが、人類領域からも見える事もある。
ある日私もその光景を見る機会があった。
その時の光景は凄まじかった。私が見たのは激しい魔法のぶつかり合いで、地形が変わっているんじゃないかと言うぐらいの激しい魔法の攻防だった。
距離は遠くだったので、何とか戦っている人のシルエットが見えたぐらいで魔王かどうかは分からなかったが、街の人はあれが魔王だと言っていたのでそうなんだろう。
私はその光景を見て、パーティ全員が死ぬ気で戦えば倒す事が出来るかもしれない、とこの時は思ってしまった。
1
あなたにおすすめの小説
【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~
Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。
それでも、組織の理不尽には勝てなかった。
——そして、使い潰されて死んだ。
目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。
強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、
因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。
武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。
だが、邪魔する上司も腐った組織もない。
今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。
石炭と化学による国力強化。
情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。
準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。
これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、
「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、
滅びの未来を書き換えようとする建国譚。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
好感度0になるまで終われません。
チョコパイ
恋愛
土屋千鶴子(享年98歳)
子供や孫、ひ孫に囲まれての大往生。
愛され続けて4度目の転生。
そろそろ……愛されるのに疲れたのですが…
登場人物の好感度0にならない限り終わらない溺愛の日々。
5度目の転生先は娘が遊んでいた乙女ゲームの世界。
いつもと違う展開に今度こそ永久の眠りにつける。
そう信じ、好きなことを、好きなようにやりたい放題…
自覚なし愛され公女と執着一途皇太子のすれ違いラブロマンス。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
神様の失敗作ガチャを引かされた俺(元SE)、ハズレ女神たちと寂れた異世界を「再創生(リ・ジェネシス)」する
月下花音
ファンタジー
過労死した社畜SE・天野創が転生したのは、創造神に見捨てられた「廃棄世界」。
そこで待っていたのは、ポンコツすぎて「失敗作」の烙印を押された三人の女神たちだった。
「麦が生えない? ……ああ、これ土壌パラメータの設定ミスですね」
「家が建たない? ……設計図(仕様書)がないからですよ」
創は持ち前の論理的思考と管理者権限を駆使し、彼女たちの「バグ(欠点)」を「仕様(個性)」へと書き換えていく。
これは、捨てられた世界と女神たちを、最強の楽園へと「再創生」する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる