怠惰の魔王

sasina

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21.召喚理由が分かります


 
 召喚が失敗していたのか。

 確かに自分達からわざわざ勇者だと名乗ったとか言っていたな。召喚したんだからイデア側から英雄様とか使徒様とか、呼ばれていてもおかしくはないのにね。

「失敗?」

 俺が首を傾げると、陽地は少し困った様に頬をかきながら答える。

「まあ、失敗と言っても成功するかどうかすら怪しいものだった様ですよ。その召喚魔法は」

「唯の実験だったの?」

「いえ、聖教国が中心となって成功させる気だったらしいです。まあ、周りの国は実験感覚で協力していたのかもしれませんが、それでも本気で成功させようとしていたのは確かだよ」

「で、結局失敗しちゃったと」

「うん、だから私達が召喚されたんだよ」

「それでそれはどういう実験だったの!」

 柚乃母さんが始めて会話に入ってきた。確かに何を召喚しようとしていたのかは俺も気になるな。

 失敗だったとは言え、ランク8や9を複数人呼ぶ事が出来た召喚魔法だ。

 一体何を召喚したくて、そして何をしてもらおうとしていたのかね?

「私が聞いた話では、聖教国を中心にして周囲の5カ国が五芒星の魔法陣を描いて巨体な召喚魔法陣を築き、人よりも上位存在である天使を召喚させようとしていたみたいです」

 天使ですか。

 まあ、聖教国が召喚を成功させようとしていたって時点で何と無く予想は付いていたけどね。

 イデアではその存在は信じられているが実際に降臨したとかは聞いた事が無い。言って見れば空想上の存在な筈なんだけどな。

 そして、案の定失敗してその魔法陣で召喚したのは他世界の地球人って事か。しかも何故か日本人だけ。

 しかし、良かったのか悪かったのか分からないな。

 そんなデカイ魔法陣で召喚魔法を使ったら、下手をすればランク9より更に上のランクEX、厄災種が未開領域から召喚されてもおかしくは無かった。

 ランクEXはランク9より上って意味だから、ランクEXにもピンからキリまであるが、どんなに弱くてもランクEXならランク9の陽地ではソロ討伐は不可能だろうな。

 まあ、もし召喚されていたとしても人類が滅びそうならカラミタ母さんが討伐しに行くだろうから人類全滅は避けられるだろう。

 文明が残るかは分からないけどね。

 だから、厄災種が召喚されなかったのは良かったが、日本人が召喚されたのは悪かっただろう、日本から突然誘拐された訳だからな。

「成る程! ん? で、何でそんな居るか居ないか分からない存在に頼らないといけない事って何なの⁉︎」

「確かに、天使なんて大それた者を召喚しないといけなかったの?」

「ん」

 そうだな、何をやりたいのか知らないが天使を召喚しないと解決出来ない問題ってなんだ。

 俺達家族3人はその事が気になったので、陽地にその事について聞く。

 すると、陽地なんでもない様にさらっと言う。

「ああ、それは魔王を倒す為ですよ」

 え? 魔王を倒す為にそんな事をしていたの?

 マジか、そんな危険を冒してまで倒したいのか?

 しかも、召喚が成功していたとしてもカラミタ母さんに勝てる訳が無いんだけど。

「魔王って確かゲーム出て来る敵だったわよね!」

「そうですね。昔の日本ゲームだと大抵ボスキャラが多かったよね、琴音」

「そうだね~。最近はゲームでは見かけないけど、小説や漫画なら結構出てくるのもあるね」

「う~ん、やっぱり私の居ない2年で色々と出ているんだろうな~」

「大丈夫、私の部屋に来れば色々あるから、後で来たらいいよ」

「分かった、絶対行く」

「それにしても、やっぱり異世界には魔王って居るんだね。聖奈は戦ったの?」

 そう聞かれて、陽地は困った顔をなって俺の顔を見る。

 俺を顔を見て、魔王の事でも思い出しているのかね。
 俺は相変わらず憶えていないけど。

「戦ったって言えるのかな?」

「どう言う事?」

「少し長くなるけどいい?」

「分かった!」「うん」「ん」



ーーーーー



side聖奈

 私がイデアに召喚されてから1年以上が経ち、一緒に召喚された人達とパーティを組んで、魔物を倒す日々を過ごしていた。

 私達は魔王を倒す為に召喚されたので(実際は失敗して私達が召喚されたんだけど)この1年間、魔王を倒す為に力を付けてきた。

 そして、今ではランク9クラスのドラゴンをソロで倒せるぐらいに成長する事が出来た。

 イデアの魔王は複数存在し、それぞれの領域を所有している。

 イデアの国々の話では、魔王は人類の支配を目的としており、時より手下である魔物を使って人類の領地に侵攻して来るそうだ。

 実際に私もそう言ったドラゴンを倒した事があるので知っている。

 このままでは、人類の領地は魔王に攻められてドンドン住む場所が少なくなっていく事が予想される。

 今、人類が魔王の侵攻に耐えられているのは、魔王同士が敵対関係にあり偶に争ったりして牽制し合っているから、大規模な侵攻は出来ないんじゃないかと言われている。

 その証拠に偶にだが、未開領域の方で激しいぶつかり合いが起きるのが、人類領域からも見える事もある。



 ある日私もその光景を見る機会があった。

 その時の光景は凄まじかった。私が見たのは激しい魔法のぶつかり合いで、地形が変わっているんじゃないかと言うぐらいの激しい魔法の攻防だった。

 距離は遠くだったので、何とか戦っている人のシルエットが見えたぐらいで魔王かどうかは分からなかったが、街の人はあれが魔王だと言っていたのでそうなんだろう。

 私はその光景を見て、パーティ全員が死ぬ気で戦えば倒す事が出来るかもしれない、とこの時は思ってしまった。






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