怠惰の魔王

sasina

文字の大きさ
22 / 33

22.聖奈、魔王討伐します

しおりを挟む


イデア怠惰の魔王領域

side聖奈

 複数ある魔王の領域の中で私達が選んだのは、私達が召喚された帝国に面している怠惰の魔王と呼ばれている魔王だ。

 この怠惰の魔王は魔王の中でもかなり若く、魔王の中では最弱だとも言われていたのでちょうど良かった。

 私達のパーティは、ランク9が1人、ランク8も1人でランク7が2人の計4人で怠惰の未開領域に行く。

 帝国にはあと3人の勇者が居るが、全員ランク6以下なので未開領域に連れて行くには危険過ぎる上に、魔王との戦いでは足手纏いになってしまう。だから未開領域に行く時は、基本的にランク7以上の4人で行く事にしている。

 という事で、怠惰の魔王討伐の為に未開領域に私達は入った。

 実は私には魔王討伐以外にも目的がある。それは本当に魔王がイデアの人々が言うような者なのかを確かめる事だ。

 確かに未開領域から出てきたドラゴンを倒しておいて、そんな事を言うのはおかしいかもしれない。でも日本にあった小説では魔王は話の通じない生物ではなかったりもするので、もしかしたら戦わないで済む方法があるかもしれない。
 だから怠惰の魔王に会ったら先ずは話をしてみよう。



 怠惰の領域に入ってから1ヶ月が経った頃、怠惰の未開領域内にポツンと一つの屋敷が建っているのを見つけた。

 その屋敷に近づいて慎重に窓を除くと、中は誰かが今も住んでいるかのように隅々まで掃除が行き届いていて、廊下の花瓶には今朝摘んできたかの様な花も生けてあった。

 私達はこの見つけた屋敷を、怠惰の魔王が住んでいる屋敷だと当たりをつけて侵入を試みる。

 トラップなどに気を配りながら正面玄関から屋敷内に入ると、突然に扉が閉まった。

 突然閉まった扉に気を取られていると、いつの間にか屋敷の奥へと続く扉の前には魔族が立っていた。

「いらっしゃいませ」

 その魔族は、女性なのに執事服を身を包み綺麗なお辞儀を披露していた。

「お休み中の主人に代わり、このトリシアが皆様のお相手をさせていただきます」

 そう言ってトリシアは袖から短剣を取り出す。

 最初は一瞬話が通じるんじゃないかな?と思ったけど駄目そうだね。

 このトリシアと言う魔族は、主人とやらの言う事しか聞かないんじゃないかなと思わせる雰囲気を出している。

 魔力の大きさからランクは9、魔族から進化して魔人になっているね。そして私よりも強い。

 でも、4人がかりで戦えば勝てない相手じゃない!

 瞬時に仲間とのアイコンタクトでタイミングを合わせる。一番速い私が背後、魔法使いがその場に残り、後の2人左右からの四方同時攻撃。

【エクスプロージョン】【スピリットソード】【六の太刀・氷花】【一閃】

金属操作メタル コントロール

 私の剣が何か硬い物に弾かれた!

 攻撃を当てた筈のトリシアがいた場所には金属の球体があり、その代わりにごっそりと床が無くなっていた。

 今にして思えば、西洋風の屋敷なのに床は金属の細かいタイルでおかしいとは思っていたが、このトリシアと言う魔族の魔法は金属を操作する事が出来るのか。

 この魔法は防御に秀でた魔法みたいで、金属の球体が崩れていき出てきたトリシアは無傷のままだった。

「皆様、それなりに出来る様ですね」

 ここで時間をかける訳にはいかない。私が単独で寝込みの怠惰の魔王を殺す。

 本当は対話をしたかったが、このトリシアは無理そうだ。そしてここでトリシアを殺してしまったら、どの道対話なんて出来ない、なら今の内に不意打ちで殺すしか勝つ方法はない。

 アイコンタクトでパーティメンバーに私だけが突破して先に行く事を伝えると、3人は返事もせずに頷くとトリシアへ連携しながら息もつかせない連続攻撃を繰り出しトリシアをその場所に釘付けにしてくれた。

 その間に私は魔力での身体強化で、屋敷の奥へと全力疾走する。

 魔力察知で居場所は分かっているので、最短ルートで魔王の所向かった。

 魔王がいると思われる部屋の前まで来た。中からは確実にランク9を余裕で超えている凄まじい魔力が感じられる。

 怖い、まともに戦えばまず勝ち目は無い。4人でなら勝てるかもしれないなんて唯の自惚れだった。

 でも、寝ている今だからこそ殺せるかもしれない。

 恐怖心を抑えてそっと扉を開ける。中は寝室になっていて広いその部屋には、その部屋の面積の半分を占める大きなベッドがあった。そのベッドの上では、私より年下と思われる容姿をした美少年が気持ちよさそうに眠っている。

 人間と全く変わらない容姿にこれは人殺しなるんじゃないかと一瞬気持ちが揺らいだが、肌で感じる魔力がこの少年が怠惰の魔王だと改めて教えてくれる。

 仲間の為にも、時間が無いので急ぎ決着をつける。

 私の中で最大の攻撃を使い一撃で倒す。この技は精神集中に時間がかかり使用後には体力と魔力が尽きるので、動けなくなる。実戦ではまず使えない技だ。

 精神を集中させ剣身に全魔力の半分を収束させると、剣身は青白く光り輝やく。

 残り半分の魔力を全て身体強化に回すと、あまりの大量の魔力を身体強化に使ったので体からも青白い魔力のオーラが滲み出ていた。

 準備が整い、私は怠惰の魔王の首に狙いを定め長剣を構える。

【断界】





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

好感度0になるまで終われません。

チョコパイ
恋愛
土屋千鶴子(享年98歳) 子供や孫、ひ孫に囲まれての大往生。 愛され続けて4度目の転生。 そろそろ……愛されるのに疲れたのですが… 登場人物の好感度0にならない限り終わらない溺愛の日々。 5度目の転生先は娘が遊んでいた乙女ゲームの世界。 いつもと違う展開に今度こそ永久の眠りにつける。 そう信じ、好きなことを、好きなようにやりたい放題… 自覚なし愛され公女と執着一途皇太子のすれ違いラブロマンス。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

神様の失敗作ガチャを引かされた俺(元SE)、ハズレ女神たちと寂れた異世界を「再創生(リ・ジェネシス)」する

月下花音
ファンタジー
過労死した社畜SE・天野創が転生したのは、創造神に見捨てられた「廃棄世界」。 そこで待っていたのは、ポンコツすぎて「失敗作」の烙印を押された三人の女神たちだった。 「麦が生えない? ……ああ、これ土壌パラメータの設定ミスですね」 「家が建たない? ……設計図(仕様書)がないからですよ」 創は持ち前の論理的思考と管理者権限を駆使し、彼女たちの「バグ(欠点)」を「仕様(個性)」へと書き換えていく。 これは、捨てられた世界と女神たちを、最強の楽園へと「再創生」する物語。

処理中です...