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28.小学校へ初登校します
しおりを挟む「鈴ちゃんの小学校に着いたわ!」
車の心地良い振動で眠たくなっていると、柚乃母さんの大きな声での到着報告で目が覚めた。
「うん」
柚乃母さんと一緒に車を降りて昇降口にある受付で出席を確認して貰った後、指定された教室に上級生と思われる生徒2人に案内された。
教室までの道中は、上級生と言っても11、2歳の子供だからか聞こえない様にしていると思っているのか、俺の事を「ジト目」とか「可愛いのに可愛くない」とか「小さい」みたいな事を2人でコソコソと話していた。
まあ、別に悪口を言っている様には見えないのでいいけど。
そして結局その上級生達とは会話らしい会話も無く目的の教室に着いた。
「ここが新入生の教室になるの」
そう言って上級生の1人が教室の扉を開けたので一緒に中に入る。
「天月君は出席番号一番だから机ここになるね」
上級生は俺の名札と黒板に書かれている苗字を見て俺の席を窓側の一番前だと言うので俺はその机にランドセルを置いてから席に座る。
「それじゃあ、私達はこれでバイバイ天月君」
「バイバイ」
そう言ってここまで案内してくれた上級生2人は教室を出ていくみたいなので、俺の一応手を振り返しておいた。
それにしても新入生が少ないな。席は30近くあるのに既に来ている生徒はたったの9人。
俺を合わしてやっと10人か。
まあ、空に異なる世界が見えているのに子供を入学式に行かせようと思う親がウチ以外に9軒もある事の方が驚きなのかもしれないな。
その中には何人か知っている様な顔もあったが、保育園では特に親しかった者もいなかったので声を掛けられる事も無かった。だから俺はランドセルにこっそりと入れておいた琴音姉さんのライトノベルを読んで時間を潰す事にした。
ーーー
それから結局登校してくる新入生は増えずに流石にこの人数では入学式も出来ないとの事で延期になった。
教科書などの配布物や担任の先生からの話を親同伴で聞き、今日処は解散となった。
記念撮影の集合写真も一緒に延期になったが、明日から普通に小学校が始まるそうなので、今日から俺は小学一年生になった。
ーーー
解散になったので、柚乃母さんと車で家に帰る。
「折角仕事を休みにしたのに入学式が延期になるとはね!」
「しょうがない」
「これからお母さんは琴音ちゃんの方に行こうと思っているけど、鈴はどうする⁉︎」
「帰る」
「分かったわ!」
と言う事で、柚乃母さんは俺を家に降ろしてから琴音姉さんの入学式に向かった。
俺は柚乃母さんを見送ってから家に入り自室に行く。
しかし、丁度良かった。俺は今朝使った【復元】所為で疲れていたので本当に眠たかったんだ。
陽地に魔法が使える事を気づかれない様に陽地が帰るまでは窓を直さなかったが、流石に丸一日も時間が経った物を直すのは疲れる。
だから俺は寝る。
ーーー
9/11
入学式はやっていないが今日が登校初日って事になるのかな?
教育機関と言うものが初めてなのでどう言った場所かは分からないが、夢と希望が詰まっていないって事だけは何と無くだが分かる。
正確には俺みたいな周囲に溶け込めない様な人間にはって意味だけどね。
俺が学校に行って何を学べば良いんだろうか?
学校へは一般常識を学びに行くと言う人もいるが、今まさに今までの常識がイデアと言う世界と繋がった事で変わろうとしているのに何を学べば良いんだよ。
せめて、学校の科目に現代魔法があれば喜んで行くんだけどな。俺は現代魔法が苦手だからね。
はぁ、何でまだ小学校にすら行ってないガキが現実逃避をしなくちゃいけないんだ。
「学校行こ」
ーーー
まだ低学年だから近所の子と一緒に集団登校するのかもしれないが俺は1人でも大丈夫なので1人で登校します。
決してボッチだからとかじゃないんです。俺は魔王だから危険なんてないから1人でも大丈夫なだけだよ。
「行ってらっしゃい!」
「行ってきます」
「ん」
柚乃母さんの見送りを受けて琴音姉さんと一緒に家を出る。
「鈴、小学校まで送って行こうか?」
ぐっ まさか気を使われているのか?俺が誰とも一緒に登校しないから。
「駅まで」
「分かった、駅までね」
まあ、これからもどうせ1人で登校するんだから別にいいよ。
それにここの小学校は家からも近いからな。怠惰の魔王である俺でも問題なく登校出来るぐらいの距離だ。
「じゃあ、学校頑張って」
「そっちも」
通学路の途中にある駅で琴音姉さんと別れて小学校に向かう。
ーーー
辛く厳しい道のりだった。
昨日行った教室に行き、昨日座った席に座り俺は脱力した。
「疲れた~」
そして、既に家に帰りたい。【転移】で今すぐに帰ってベッドで横になりたい。
大した距離では無かったが日差しが思ったよりもキツかった。
ここ10年程インドアな生活を送っていたので、日に当たり過ぎると精神にダメージがいくみたいだ。
もうダメかもしれない。今日のやる気を全て使いきった様に体が重くなってきた。
もう寝て良いかな?寝て良いよね。と言うか寝る。
おやすみなさい。
あと3秒あれば寝る事が出来ると思っていた時に教室の扉が開いた。
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