29 / 33
29.クラスメイトと接触します
しおりを挟む開いた扉から入って来たのは、金髪の美少女だった。
先生じゃないのか。寝よう。
「おはよう」
しかし、ウチのクラス金髪の子なんているのか。昨日は見かけていないから今日が初めてって事だな。
金髪のまま学校に来ているって事は地毛だよな。
「おはよう」
イデアでは珍しくもない髪色だが日本では地毛の金髪なんて初めて見たよ。あとイデアではどっちかと言うと真っ黒な髪の方が珍しかったな。
「おはようございます」
瞳は黒だったから日本人とのハーフだったりするのかね?
「ねー起きてるんでしょ」
さっきから俺の右隣から誰かに向けての挨拶があったが、その声に主が俺の体を揺すってきた。
「ん」
揺すられたので顔を上げて声の主を見ると、さっき教室に入ってきた金髪の美少女だった。
周りには誰も居ない事から考えるとさっきから挨拶をしていた相手も俺だったのか?
「何?」
それで俺に何の用ですか?
「初めまして清水 アリサです。お隣同士よろしくお願いしまひ、ふぇ~」
可哀想に小学一年生とは思えない綺麗な礼と挨拶をしていたのに最後の最後で噛んでしまった。
そして、舌を噛んだ痛みかそれとも羞恥心からか、涙目になりあと少し何か衝撃を与えれば決壊しそうだ。
やはりまだまだ子供だな。
「天月 鈴、宜しく」
挨拶を返して手を差し出すと、亜里沙は直ぐに握手だと分かったのか鼻をすすってから満面の笑みを浮かべて手を握り返してきた。
「よろしく、鈴君」
「ん」
隣同士って事は、と思い隣の席を見ると机にはカタカナで名札にアリサと書いてあるランドセルが置いてあった。
このアリサと言う少女が俺のお隣さんって事か。
もしこのアリサがボッチだったならボッチはボッチ同士仲良くしよう。
でももし君に友達が居るんだったら俺とは関わらない方がいい。きっと君にもボッチが移ってしまうからね。
しかし、さっきの挨拶からして、このアリサと言う少女は良い所のお嬢様か親の教育が厳しいのかもしれないな。
そして、挨拶の後は特に何も無かった。
アリサはさっきの事もあったからか顔を赤くしているだけで特に反応も無かったから、俺は睡眠に戻る。
ーーー
「鈴君、先生が来ましたよ」
「ん、ありがとう」
教室の机で寝ていたら先生が来た様でアリサが起こしてくれた。
「皆さん、おはようございます」
「「「「おはようございます」」」」
先生が挨拶をすると生徒が挨拶を返す。
保育園でもお決まりのアレが小学校でもあるのか。
「みんな席について下さい」
そして、挨拶が終わると出席確認がされた。昨日よりは人数が多かったがそれでも20人を超えないぐらいしか生徒が学校に来ていない。
それでもチャイムが鳴り授業時間は始まった。
「それでは授業を始めます。授業と言っても最初はお勉強では無く自己紹介をしてもらいます。先ずは出席番号一番の天月君から」
俺からなのか。しょうがない頑張ってみるか。
「名前、歳、好きな物、好きな事を順番で話してね」
「天月 鈴、ろ」
と間違えた。俺って6歳じゃなかったな。だってつい数日前に誕生日があったからな。俺にとっては10年前だけど。
って事は今の俺は7歳だ。危ない危ない間違える所だった。
そう、俺は4月生まれだから他のクラスメイトよりも歳が上の7歳だった。
「7歳、小説、昼寝」
「へえ~もう字が読めるんだ凄いね~皆んな拍手」
コメントし難くてごめんね。
俺は謎の拍手が送られた後で席に座る。
それから、自己紹介が進んでいきお隣のアリサの番になった。
「はい次、清水さん」
「はい、清水 アリサ、6歳です。好きな物は雌犬で好きな事は調教です」
え?
「え?え~そうですか。清水さんはワンちゃんが好きなのね」
「違います。雌犬です。雄は激しいので好きではありません」
「えーと、清水さん」
「はい」
「雌犬とかは誰に教えてもらったの?」
「お姉ちゃんが教えてくれました」
アリサの姉の仕業か。妹になんて言葉を教えているんだ。
妹の人生もとい学校生活を終わらせる気か?幸い相手は小学生、意味が分かっているのは俺と担任の先生ぐらいだった。
雌犬はそのまま女の子の犬、調教はお世話、激しいは気性が荒いって処かな?多分。
アリサの家は犬を飼っているのかもな。雌と雄の両方共。
それにしても、アリサの第一印象が物凄い勢いで崩れていく。最初は育ちの良さそうだがおっちょこちょいな所もある子だと思っていたんだがな。
アリサ姉の所為で印象が変わりまくりなんだけど。
「そうですか。分かりました。では次の」
これで親の呼び出し確定っと。
先生は頭を抑えながらクラスの自己紹介を進める。
小学校初日で親の呼び出しとか凄くね。
有り得ない早さなんだけど。過去最速記録だったんじゃない?授業すら始まっていない自己紹介で親の呼び出しが決定した事には。流石に俺もびっくりしたわ。
まあ、そんな訳で地球に帰ってきてから一番の衝撃な事件もあったけど、クラスの自己紹介はそのまま順調に進んでいった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
二度目の勇者は救わない
銀猫
ファンタジー
異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。
しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。
それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。
復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?
昔なろうで投稿していたものになります。
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる