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31.便りが届きます
しおりを挟むさて、【収納】に入れる事で全く反動を受けずに贈り物を受け取る事に成功した。
屋根から降りて庭に着地する。
さて、送られてきた物を取り出すか。
【収納】
【収納】から入れた時と同じスピードで飛び出してきた贈り物に触れる。
【反重力】
これで重力を消したので後は慣性で吹っ飛んでくる贈り物を受け止めるだけだ。
「重っ」
飛び出した贈り物を胸で受け止めるが結構勢いがあったらしく数メートル引きずられ後退させられた。
別にこのくらいのスピードなら後退させられずに受け止めるぐらい余裕だったが、そんな事すれば贈り物の方が砕けてしまうのでわざわざふわっと優しく受け止めた。
さて、この石はどんな贈り物なのかね。
見た目に特に変わった所は無い。唯の丸い石に見えるな。
「ん?」
裏側が凸凹している。何か彫ってあるのか。
石を回転させて見ると、裏には文字が彫ってあった。
手紙か。いや、全然紙じゃないけど。
思い出した、そう言えば俺がイデアに異世界転移して2年目ぐらいの時。
ーーー
8年前
今の怠惰の領域にある屋敷、あそこはまだカラミタ母さんが怠惰の領域を管理していたが屋敷の方は既にプレゼントされたので使っていたんだ。
ある日、その屋敷で寝ていると高速で接近してくる魔力反応があったので【転移】で屋敷の外に退避した。
【転移】
その直ぐ後に轟音とともに屋敷へ何かが直撃して屋敷は半壊。
何が直撃したのかを確認すると、そこのは球状のアダマンタイト鉱石が半壊した屋敷に地面に減り込んでいた。
「何でこんな物が」
そのアダマンタイトボールを拾って見ると表面には文字が彫ってあった。
(ベル、魔王領域外の未開領域に遊びに行こうぜ!グラド)
手紙代わりか?
って言うかそれよりも!
よくもカラミタ母さんに貰った屋敷を半壊させてくれたな!
暴食の魔王グラド!!
それからはグラド兄さんの領域に行きガチ喧嘩をカラミタ母さんに止められるまで続けた。
ーーー
まあ、昔そんな事があってグラド兄さんも通信手段が無いからと言ってこの方法を取る事はやめた筈なんだけどな。
多分、俺がルシア姉さんと約束をしたので、その影響で俺への連絡手段がこれしか思い付かなかったのかな?
まあ、トリシアからのメッセージだろうし読んでみるか。
(エルダーグランドドラゴンが怠惰の領域内に侵入しました。明日の昼には人類領地にたどり着きます)
エルダーグランドドラゴンね。まだトリシアでは対処出来ないかもな。
これは一旦イデアの方に帰らないといけないかな?
エルダーグランドドラゴンは移動速度が遅いので時間が無いって訳でも無いけど、イデアに行って直ぐ帰ってこれる程雑魚と言う訳でもない。
柚乃母さんや琴音姉さんにバレないように帰ってくるにはどうすれば良いだろうか?
考えている間も時間は進んでいく。
ーーー
「ただいま」
「ん」
琴音姉さんの声が玄関の方から聞こえてきた。
もう帰ってきたのか、と思い時計を見ると既に5時を過ぎていた。
考えがまとまらないなら、今考えてもしょうがないか。
自分の部屋から出て琴音姉さんを出迎える事にする。
「おかえり」
「鈴、ただいま」
「ただいまー!」
どうやら柚乃母さんも一緒に帰ってきていたようで玄関を扉を勢いよく開けて入ってきた。
「おかえり」
「鈴ちゃん、良い子にしてた~!」
柚乃母さんは俺に気がつくといつかのように抱きかかえ頬ずりしてきた。
「今日は大丈夫そうね!少し土の匂いがするけど、それ以外は普通だわ!」
安心された。って土の匂いなんてするか?
今日は特に土の匂いがする様な事なんてしてないと思うけど。
あ、そう言えばトリシアからの手紙もとい手石?を受け止める時に軽く庭を引きずられたな。
その時の匂いか? でも引きずられたと言っても地面と接触面は足の裏だけなんだけどな。
鼻が良すぎだろ柚乃母さん。
「少し遊んだ」
「一人で?」
何その聞き方。俺が一人で遊んだって前提で話すのはやめてほしいよ。
まあ、実際に一人で過ごしていたんだけどね。
「うん」
「そう。まあ、その内鈴ちゃんにもお友達は出来るわよ!」
オムライスのメッセージ通りボッチだって事を柚乃母さんが心配している様に見えるな。
これは仮でも良いから友達ってものを作ってみた方が良いかもな。
ーーー
その後はいつも通り晩御飯を食べて風呂に入ったのであとは寝るだけだ。
「もう寝る」
俺はそう言ってリビングを出て自室に行く。
「おやすみ、鈴」
「鈴ちゃん、おやすみ!」
「おやすみ」
ーーー
さて、自室に戻ってきた訳だが時間が無い。
早くイデアに戻らないといけないが、二人にバレない様に行って帰ってくるには、今夜中に倒して戻ってくる。これしか無いな。
そうと決まったら、早速出発しますか。
【転移】
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