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呪いのスキル
2.洞窟で見つける
しおりを挟む俺は洞窟の中に入ってからすぐに違和感を感じ、しゃがんで地面を見た後、壁に触れて観察してみた。
この洞窟は、地面が土を踏み固めたかの様に凹凸が少なく、壁もそれなりに凹凸があるが、まるで誰かの手で削られた様に人工的なものに見えた。天井も壁と同じ様な状態だ。
「ん~人工物にしては全体的に粗さがあるけど、流石にこんな洞窟が自然にできるとも思えない」
これまでも色々な洞窟を見つけては探索してみたが、ここまで探索しやすい洞窟は初めてだった。
ヘッドライトで洞窟の先を照らすが、洞窟はどこまで続いているかは分からないくらい奥へと続いていた。
「これは、もしかしたらこれまでで1番広い洞窟かもしれないな」
どのくらい広いかはまだ分からないが、一応地図を描きながら進もう。
多分迷ったら死ぬしな。
ーーー
一本道の洞窟を進んでいくと、地面に透明なゲル状の物体を見つけた。
よく見ると、そのゲル状の物体はゆっくりとだが動いていた。如何やら生き物のようだ。
見た目はアメーバをそのまま大きくした様な感じで、少しずつではあるが確実に動いていた。
もしかしたら新種の生き物かもしれないな。
だってこんな生き物見た事ないもん。いや分からないけど。
後でネットで調べてみよう。
そして、まだどの様な生き物かも分からないから、不用意に触ったりはしない様にしよう。
毒とか危険な細菌でも持っていたら危険だからな。
まあ、それ以前に初見でこのゲル状の生き物を触ろうとする勇者はいないと思うけど。
このゲル状の生き物を俺は無視して壁沿いに避けて先へと進むと、またもさっきと同じゲル状の生き物を見つけた。
この洞窟はゲル状の生き物の巣なのか?
それとも、ここの洞窟の環境がゲル状生物にとって繁殖しやすい環境なのかもしれない。
その後も度々、ゲル状の生き物を見かける事があったが無視をして進むと、道が分かれていた。
しかも十字の分かれ道。
これはもう人工物としか思えなかった。
こんな綺麗な十字路が自然に出来る筈がない。
しかし、そうするとこの洞窟は誰が何の目的で作ったんだろう?
もしかして、何かのテーマパークの迷路が、建設途中に放棄されたものとかかもしれない。
凄く森の中だけど。
それにそんな計画があったなんて全く聞いた事がなかった。
今考えても答えは出ないか。
この先で何か手掛かりを見つけるか、あとでゲル状の生き物と一緒にそんな開発計画があったのかも調べてみよう。
ひとまず先に進んで洞窟の地図を完成させよう。
さて、3つに分かれている道のどこを進もうか?
どの道、全部周るからどうでもいいけんだけど。
地面に地図を描いていたペンを立てて指を離すと、右側の通路の方に倒れた。
「よし、右に進もう」
これからの分かれ道も全部右の壁沿いに進む事に今決めた。
確か、大抵の迷路はこの方法でゴールできたはずだから多分大丈夫だと思う。
もし駄目でもちゃんと地図を描いているから同じ所をグルグルとループする事はないので大丈夫だ。
「さて、方針も決まったし先に進むか」
ーーー
洞窟の地図を埋めながら進むこと30分、相変わらずゲル状の生物を度々見かけながら進んでいると、行き止まりに突き当たった。
「行き止まりか?」
何もこれが初めての行き止まりだという事ではない。
既に5回以上は行き止まりに突き当たり、通路を引き返しているが、今回の行き止まりは地図を見てみると違和感があった。
俺が地図を描く時は、歩幅を0.75mとして計算して描いている。
その計算でいくと、目の前の行き止まりのこの壁は10cm程度と他の壁に比べて非常に薄かった。
と、いう事はもしかして。
「セイ!」
試しに行き止まりの壁に蹴りを入れてみると、思ったよりも簡単に足が壁を突き抜けて崩れる。
これで向こう側の通路と道が繋がった。
ふむ、こんな風に壁が簡単に崩れる所もあるのか。
もしかしたら、こんな風に崩れる壁があってそこに隠し部屋とかが隠されているかもしれない。
怪しいと思った壁には、取りあえず蹴りを入れてみるか。
ーーー
洞窟を探索すること、更に2時間半が経過して、洞窟の9割方の地図が完成した。
その結果、見つかった物と言えば、地下へと続く階段と相変わらずのゲル状の生き物だけだった。
最初に発見した様な通路を繋げる簡単に崩れる壁は10ヶ所以上あり、全て蹴り壊しておいた。
しかし、その中で一つだけ本当の行き止まりがあったみたいで、蹴りを入れたら骨が折れるかもという痛みが走り、その場で5分くらい悶絶した。
壁の厚さ自体は他の脆い壁と変わらなかったのに、まるで壁の中に石の板でも入っている様な感触だった。
もしかしたら、計算間違いをしていたのかもしれない。
それにしても、今居るこの階だけでもかなり広かったが、その上、地下へと続く階段があるという事はまだまだ先があるんだろうな。
本当にどうやってこんな洞窟が出来たんだか。
人工的に作られた物だとしても基礎工事もされていない天然の場所を、こんな入り組んだ迷路の様に掘りまくったら、直ぐにでも崩落してしまいそうだけど。
謎は深まるばかりだ。
そして、そんな危険な場所を探索して、しかも脆い壁を何枚も蹴り壊すなんて馬鹿だ。
今更、気付いたよ。
今のところ、崩落した跡は見かけていないし、これまで崩れなかったって事は見かけ以上に頑丈な洞窟なのかもしれない。
今日明日にも崩れるなんて事はないだろう。
なら、せめてこの階だけでも地図を完成させてから洞窟を出たいな。
そして、その先の下に降りる階段を進むかは、また後日ゆっくりと検討する事にしよう。
さて9割方完成した地図の残り1割を埋めようか。
この残り1割という割合は、まだ調べていない通路があるとかではない。
ただ単純に隠し部屋があってほしいな~という俺の冒険心からくる願望みたいなものだ。
それでもある程度目星は付けてある。実は地図を描いている時にふと思った事があった。
この洞窟は通路が無駄なく綺麗に配置されているが、3ヶ所だけ何故か広い空間が空いている場所がある。そのうち2ヶ所は小さいが、残り1ヶ所はかなり広いと思う。
「普通に怪しいよな」
という事で、まずは小さい2ヶ所から行こう。
俺は食事をする時に好きな物を最後に残す派だから、一番広い場所は最後のお楽しみに取っておこう。
ーーー
隠し部屋らしき場所に移動し始めて5分、目的地に着いた。
「一見、行き止まりの様に見えるが、俺の考えが正しければここも壊せる壁の筈だ」
もし違っていたら、次はこの空間に隣接する通路の壁を手当たり次第に探らなくてはいけなくなる。
「ハッ!」
蹴りを入れると、通路同士を塞いでいた壁と同じ様に壁が崩れる。
「よし! 隠し部屋発見」
予想通り、隠し部屋が見つかった。
「うん? これは木の箱か」
隠し部屋の中には、木の箱が置いてあった。
木の箱というより、木製の宝箱という感じかな。
触ってみると、質感も木そのものだった。
これは予想通り、途中で開発が中止になったテーマパークの迷路かもな。
宝箱は差し詰め景品って所かな?
しかも、これは意外と最近のものだ。
湿気のあるこんな洞窟で、特に何の加工もされてない木製の宝箱が新品同然の状態だ。
普通なら腐っていたり、多少なりともカビが生えていてもおかしくないからな。
「外側が腐っていないなら、中身も無事かもしれない」
まあ、入ってたらの話だけど。
「開けてみるか」
蓋に手を掛け木の宝箱を開けると、中には一つのスクロールが入っていた。
厚い和紙が丸められ、麻紐で結んであった。
「スクロールか。宝箱ときて次は宝の地図かな? もしくはこの迷路の地図かもな、救済措置的な意味の」
ひとまず、麻紐を解いて開いて確認してみるか。
宝箱の地図であって欲しいな。それか、階段下の地図でも良い。
だけどもうほとんど完成している一階の地図だけ要らないからやめろ。
そんな事を願いながらスクロールを開くと、そこには見たことの無い文字と魔法陣の様な物がスクロールに描いてあった。
「何故に魔法陣?」
次の瞬間、魔法陣が光り輝きスクロールの文字と魔法陣は空中に浮き上がり、そのまま勢いよく胸の中に吸い込まれていった。
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