独自ダンジョン攻略

sasina

文字の大きさ
上 下
43 / 125
未定

43.この地域は洞窟が多い

しおりを挟む

 
 やっと山の麓まで着いた。

 考え事しながら慶の後ろについて行っただけだから、時間の感覚はあまり無かったけどね。

 自転車を近くの駐車場に停める。

「やっと着いた」

「慶、すぐに山登りを始めるのか?」

「もう14時前だから、早く探しに行かないと時間が無いからな」

「じゃあ、自販機で飲み物を買ってからダンジョンの捜索を始めるって事で」

「あ、俺の分も適当に頼むわ」

「へいへい」

 俺は近くの自販機でスポーツドリンクを2本買い、慶の所に戻る。

 近づいて1本投げ渡すと、慶から小銭を投げ渡された。

「150円っと」

「ピッタリだった?」

「いや、それ170円するよ」

「足りなかったか。なんか高くないか?」

「まあ、山の近くだからな。山の上とかだと1本300円とかする所もあるからな」

「1本300円は高いな」

 慶に残りの20円を渡される。

 別に20円なんて律儀に返さなくてもいいのにな。
 ダンジョン捜索に誘ってもらったお礼に、奢っても良かったのにな。

「さて、登り始めるか!」

「慶、地図に載っている場所をちゃんと通って行けよ」

「分かってるって、ちゃんと光希に渡された地図を見ながら進んで行くから」

 そうして俺と慶は道無き山を分け入っていく。

ーーー

 山を登りながらダンジョンを探す。

 見た目では分からないから、洞窟の様に中に入れる場所を見つけては中に入ってモンスターを探していた。

 俺は神眼の鑑定能力で洞窟の壁を鑑定すれば、直ぐにダンジョンか分かるが、慶にも秘密なので黙って洞窟の中まで入る。

 今のところ洞窟自体は数カ所見つけたが、その全てが俺の描いた地図にも載っているものだ。

 新しく出来たと思われる洞窟は見つからなかった。

 スマホで時間を確認すると、もう16時を回っている。

「慶。あと1時間経ったらダンジョン捜索は切り上げて帰るぞ」

「もうそんな時間か。そうだな、あと1時間が限界かもな」

「ああ、18時までには下山して駐車場まで戻りたい」

「結局、未発見ダンジョン見つからないのか」

「まだ1時間あるからそれまでは捜索を続けるぞ。それに慶もそう簡単に見つかるとは思ってなかっただろ」

「分かってるけど。なんか1日時間を無駄にした気分なんだよ」

「はあ、じゃあ何で未発見ダンジョンを探すのをこの山にしたんだ」

「それは俺の調べた限りでは、まだこの山でダンジョンが見つかったって話は聞いた事が無かったから。流石にこの山に一つもダンジョンが無いなんて事はないだろ?」

 一応、調べてからこの山に探しに来ていたか。

 まあ、俺もこの山にダンジョンが一つも無いなんて事は無いと思うけど。
 流石に1日で見つけられる程、小さい山ではない。

「なら、あと1時間頑張ろう。どうせまた探しに来る事になるんだろ? なら少しでも先に進めとかないとな」

「はいはい、頑張る頑張るよ」

 巫山戯ている様に聞こえるが俺には神眼の空間把握で、慶が真面目にダンジョンを探しているのが分かる。

 しかし、それでもあと1時間でダンジョンを見つけるのは無理だろうけどな。

 今の所ダンジョン発見に効率的な方法は思いつかないので、ひたすら地道に探すしかなかった。

ーーー

 17時になりました。

 予想通り今日の所は未発見ダンジョンを見つける事が出来ませんでした。

 正確には、俺は佐久間家の屋敷にダンジョンがあると思っているから、全く見つからなかった訳じゃない。

「慶、17時になったから下山をするぞ」

「分かった。はあ、今日はもう帰ろう」

 あと1時間で大体日没だから、それまでに下山しないと神眼の無い慶には危険だ。

「なぁ光希。一応下山は今日通ってないルートを通って下山しないか?」

「別に良いけど、見つからないと思うぞ? 未発見ダンジョン」

「良いから良いから、唯下山するだけなのは詰まらないからさ」

 と言う事で、俺と慶は登りとは違う道で下山し始めた。

ーーー

 下山途中の事。下山している進行方向から右側90m先に神眼の気配感知に反応があった。

 この山の野生動物か? 

 でも二足歩行しているのが分かる。

 動物で二足歩行と言えば、思い付くのは猿か熊ぐらいだが、どちらとも気配が違う

 もしかして人か? 

 気配の大きさからいって人だと子供ぐらいの大きさだ。

 大体、身長1mちょいぐらいだと思う。
 流石に空間把握の範囲に入っていないから、これ以上の事は分からない。

 このぐらいの子供なら多分年齢は3、4歳ぐらいだろう。

 そんな歳の子が山の中腹に1人だけで居るなんて普通じゃない。

 こう言う場合、遭難と迷子どっちが正しいんだ?

 まあ、そんな事今はいいか。このまま進むと気配感知の効果範囲から出てしまう。

 どうやら慶の方は気づいてない様だから、上手く誘導しないと。

「止まってくれ慶」

「どうした?」

「今、向こうの方で人が山頂の方へ歩いているように見えた。この場合どうすれば良いと思う?」

 慶ならこんな時間から、山道でも無い道を登る人がいたら止めに入るだろう。

「えっと、見間違えじゃないか?」

 ん? 慶が俺の言ったことを最初から信じないなんて初めての事だ。

 少し面食らった。

「は? 俺がそんな見間違えするなんて事、ある訳ないだろ」

 実際にはあるけど、ここは強気でいく。

「でも、もうすぐ日が暮れるし」

 今の慶の様子は何かおかしい。少し挙動が不審だし、焦っている様に見えた。

 しょうがない。慶を誘導するのは諦めよう。

 俺はこの場に慶を置いて、気配の元へ近づいて行く。

「光希ちょっと待てよ! 分かったから!俺も着いて行くから待て!」

 慶がそう言うと、俺を走って追いつき並走する。
 慶は何か言いたそうにしていたが、何も言わなかったので俺はそのまま気配の元まで移動した。




しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,065pt お気に入り:846

僕たちは正義の味方

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:6

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,059pt お気に入り:33

ダンジョン世界で俺は無双出来ない。いや、無双しない

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:33

鉱夫剣を持つ 〜ツルハシ振ってたら人類最強の肉体を手に入れていた〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,002pt お気に入り:160

処理中です...