81 / 125
未定
81.貴様だけは許さない
しおりを挟むダンジョンの会を結成したと同時に今日はお開きにする事を伝える。
「ダンジョンの会って何だよ?」
「いや、これまでは俺と慶の二人だけだったが、今日で一気にメンバーの人数が5人になったからな。勇者パーティとは言えないが名前を付けてみた。名前が気に入らないなら変えても良い。今適当に考えてつけた名前だからな」
「俺は別に良いけど、メンバー集めも難しかったからさ」
まあ、上手く秘密を共有出来るメンバーを集めるのは難しいだろう。
勇者パーティなんて言ったが、メンバーは基本的にこれ以上増やさない方針で行った方がいいだろう。
「私達も名前にこだわりはありません」
「ん」「はい」
全員の同意も取れたので、この集まりの名前はダンジョンの会に決定。
「それよりも今解散ですか? まだお昼の時間はありますよ?」
美月は不思議そうにそう聞いてきた。
「ああ、俺と慶には約束があるからな」
「本当にやるんだな」
慶はそうやって怠そうに聞いてくるが。
「お前が咲良達に余計な事を言わなかったら、やめようと思ってたんだよ!」
慶は俺の言葉を聞いて、咲良の方を見る。
「咲良。光希に言っちゃったの?」
「ん、言ってない」
「すみません。喋ったのは私なんです」
この子は謝る人が違うだろ? 普通俺に謝るよな。
まあ、人を教育するとか言ってしまう様な子だから、そんな子に常識を求めても無駄か。
「凛ちゃんか。そう言えば、口止めしてなかったね」
美月達なら口止めしなくても、俺にその事を伝えたらどうなるかくらい察しがついているからな。
「すいません」
「いやいや、気にしなくても良いよ。これは俺のミスだからさ」
「ありがとうございます」
いや、ミスとか関係無く、俺に悪いと思え!
どうせ俺が時間が経ってやる気が無くなっていたから、焚きつける為にわざとやったんだろうけど。
慶は自分からバラしたと言う筈が、小池さんが俺に話すとは思わなかった様だ。
俺が久し振りにやる気になったから、慶も遊びたいのかもしれない。
「さて、早速始めるか」
「わかった」
俺が勝負を促すと慶は手足を解してながら、屋上の真ん中で俺と向かい合う。
屋上にいる周りの生徒達も雰囲気から、何かをする事は分かり場所広げる様に中央から離れて観戦する位置取りを決め始めた。
ルールは、2つ。
一つはlvアップの恩恵を使わない。
もう一つはスキルをオフにしての機能停止。
この二つなら慶に言わなくても分かるだろ。
「光希、ルールを守れよ」
「念を押さなくても、当たり前だ」
後はいつも通りやれば、怪我は無いだろう。
「じゃあ行くぞ、慶」
「来い、光希」
先ずは俺から慶に肉薄して、顎あたりに拳を放つ。
唯の不良なら、これで気絶まで持っていけるが、慶相手にそれは不可能だ。
慶は最小限の動きで首を逸らして避ける。
俺は避けられてもそのまま攻撃を続けるが全て避けられてしまう。偶に反撃の拳も飛んでくるが、俺も何とか避けて攻撃を続けた。
俺や慶が足を攻撃に使わないのは、蹴りには一撃必殺の威力があるがその分隙が大きいからだ。
俺が慶相手に蹴りを使おうものなら、その瞬間手痛い反撃に受けて負けるだろう。
だから足は基本的にステップや踏み込みなどの攻撃や回避のサポート中心に使っている。
段々と慶の反撃が増えていき、組手の様な攻守の攻防が互角に繰り広げられる。
普段のじゃれ合いでは、先に集中力の切れた方が負けると言いたいが、俺は慶より技術で劣っているので、集中力が切れる前に押し切られる事が多く、これまで正面から戦って勝った試しが無い。
それに今日は慶の動きが鋭い気がする。
lvアップの恩恵は使ってない筈だから、ダンジョンでの実戦経験が影響しているのかもしれない。
lvの高いモンスターなら、人間には不可能なスピードで動く相手も居るだろうから、それが慶の良い経験になったのかもな。
まあ、それと同時に俺も、神眼を使った神槍の再現、適応の稽古をしたお陰で、体の動かし方が以前より正確になり、攻撃は兎も角回避だけなら集中力が続く限り当たる気がしなかった。
もちろん、俺もエクストラスキルの神眼は能力をオフにしている。
使っていたら流石に負ける事は無いと思う。
ーーー
こうして戦ってみて分かったが、普段慶と戦っている時は手加減されていたんだなと今更気が付いた。
俺はそこまでの差は無いと思っていたが、神眼で慶を見てみると、慶の動きには明らかに余裕があった。
俺は既に身体のスペックを全力で使っているが、慶の身体はまだ余力があり、あと2つはギアが上げられそうだ。
これが無駄の無い動きというものか。
慶の戦っている姿を初めて神眼で見たが、凄く勉強になる。
しかし、ルールはルール。神眼でいつまでも見てはいけないので、神眼を使うのをやめる。
そのまま攻防を続けるが、lvアップの恩恵を使わないと言っても、それは身体能力を抑えるだけで体力までは変えられない。
2人共、疲れもなく集中力が切れそうにも無かった。
慶はギアを上げる気は無さそうで、段々とこれは終わらないヤツだと気づいた。
俺が視線を合わせると、慶もその事に気付いていると分かる。
慶からのアイコンタクトで、観客も居るからクロスカウンターで引き分けに持ち込むと提案があったので、俺もそれに乗る事にした。
そして、俺と慶がタイミングを合わせてクロスカウンターで決めようとした瞬間。
「喧嘩をやめろ!」
そう言って人影が俺と慶の間に入り拳を受け止めようした。
俺は咄嗟に掴まれまいと飛び退き、慶も俺と同じ様に飛び退いていた。
間に入ってきた人影を見ると、それは山田 大地だった。
春休みにコンビニでバイトをしていた奴で、ダンジョンにも入っている事も分かっている観察対象。
そんな奴がいきなりどうしたんだ?
しかも、さっきのスピードは明らかに人間の限界を超えた速さだった。
こんなに周りにギャラリーが居る状態でそんな真似をしたら、ダンジョンに入っている事を宣伝している様なものだろう。
本当に何考えてんだ?
12
あなたにおすすめの小説
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~
仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。
ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。
ガチャ好きすぎて書いてしまった。
実家にガチャが来たそしてダンジョンが出来た ~スキルを沢山獲得してこの世界で最強になるようです~
仮実谷 望
ファンタジー
とあるサイトを眺めていると隠しリンクを踏んでしまう。主人公はそのサイトでガチャを廻してしまうとサイトからガチャが家に来た。突然の不可思議現象に戸惑うがすぐに納得する。そしてガチャから引いたダンジョンの芽がダンジョンになりダンジョンに入ることになる。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる