独自ダンジョン攻略

sasina

文字の大きさ
114 / 125
未定

114.みんな遅刻

しおりを挟む


 ダンジョンの前で毒針を投げて遊び始めて、50m先の的に命中させる事が出来る様になった頃。

 やっと春がダンジョンにやってきた。

「お待たせ~ってまだお姉ちゃんしか来てないの?」

「いや、春を待っていただけで他の4人は先にダンジョンに入っている」

「へえ~」

 しかし、結構時間が経っているのに誰も返ってこないな。

 1階層で死ぬ様な奴らでないから、そこまで心配はしていないけど。

「あれ? でも今日って隠し部屋に行くって聞いて来たんだけど、みんなは行かないの?」

「いや、皆で行く。だから慶達が帰ってくるまで春もその辺で待っていてくれ」

 先に入った3人は兎も角、慶は俺が待っている事を知っているんだから、一度くらい帰ってきていてもいい筈なんだが。

 いや、先に入った3人にも今日の予定は決まっていたんだから、待っていて欲しかったけどな。

 もしかしたら慶は先に入った3人を探していて見つけられていないのかもしれない。

 隠し部屋付近を見回ってほしいと頼んでいたが、何処かですれ違いがあったのかもな。

 俺が探しに行ってすれ違いになるかもしれないので、もう少しだけ待ってみるか。

「ふ~ん、じゃあ素振りでもしておきたいんだけど、私の剣って今何処にあるの?」

「ここにある」
 
 俺はそう言ってマジックポーチから春が使っていた長剣を取り出して見せる。

「え?」

「これの事だろ。そう言えば素振りをやれと言っていたのに、結局ずっと俺が持っていて悪かったな」

「いや、いやいやいやそれよりも!え?今の何⁉︎」

 何驚いているんだ?

 俺は唯春が使った長剣を取り出しただけだ。それともこれは違う長剣だったか?

 いや、同じ剣だ。
 このオリーブオイルの匂いがするのは、確かに俺が春の使った後に手入れした長剣の筈だ。

 春は何が気に入らないんだ?

「何とはなんだ。春、お前の兄はテレパシーや読心術は使えないんだ。いや、スクロールによってはそのうち使える様にもなるかもしれないけどな。兎に角、今は使えない。だから春が何をそんなに驚いているのかちゃんと言葉で説明してくれ」

「だって! えっ? それって、その腰に着いているポーチって、ファンタジーで言う処のマジックバックだよね!?」

 あれ? そんな事なのか。

 良かった。この長剣が気に要らなかった訳ではないんだな。

 このオリーブオイル臭い長剣は匂いが気になって、俺はあまり使いたくないなと思っていた。

 まあ、この剣でモンスターを斬れば、どの道匂いなんて関係無くなるだろう。。

 鼻で息したら吐き気がする程、獣の血肉の匂いはキツいからな。

 特に凛は辛いだろうな。

 王獣化(猫)の獣化は、獣に近い変化をして五感が鋭くなるからな。
 その強化された嗅覚で凛はダンジョン探索している。

 今度から凛にはダンジョンに入る前にエチケット袋をこっそり渡しておこう。

 おっと、マジックポーチの話だったな。

 そう言えば、マジックポーチの話は今朝美月達に話したのが最初か。

 なら、春や慶がマジックポーチについて知らないのは当たり前だな。

 てっきり美月達に聞いて知っていると思っていたと言うのは美月に悪いな。3度目だ。

 だから春からして見れば、俺がいきなり腰のポーチから物理的に絶対に入らない長さの長剣を取り出したのを見たから、あんなに驚いていたんだな。

 まあ、そのポーチから取り出す光景を見て手品では無く、真っ先にマジックバックだと疑ったのは、かなりダンジョンに染まってきていた。

 まだダンジョンが民間に開放されていない段階で、もうそんなにダンジョンに染まってしまって大丈夫か?

 何処かで美月みたいなボロを出さないと良いがな。

 うちの学校なら兎も角、春の中学校だと隠し通すのは難しい。

「まあ、そうだな。バックじゃなくてポーチだが、大凡春の考えているマジックバックで合っている」

「そうなんだ。良いな、私も欲しい~」

 春はマジックポーチを羨ましそうに眺める。 

 そんな目で見られてもな。

「ねえ~お兄ちゃん。そのマジックポーチ頂戴!」

 久しぶりに兄と呼ばれたが、春の満面の作った笑みと上目遣いのあざとさで嬉しさは全く無い。

「あざとい、却下。こんな時だけ兄呼びしても無駄だ。欲しかったら自分で取ってこい」

 やる訳が無い。俺にとってこのマジックポーチはそこら辺のスクロールよりも、余程貴重な物だ。

「(チッ!お姉ちゃんのくせに)取ってこいって何処にあるの?」

 小声で何か言ったな。舌打ちは聞こえていたぞ、春。

「俺のマジックポーチは隠し部屋の宝箱から出てきた物だ。だから心配しないでも今日中にマジックバックが手に入る可能性もあるぞ」

 俺がマジックポーチを何処で手に入れたのかを春に教えてやると、春は落胆した様な表情をした。

「それって唯の運ゲーじゃん」


 
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。

山椒
ファンタジー
そのコンビニにいた人たち全員が異世界転移された。 異世界転移する前に神に世界を救うために呼んだと言われ特典のようなものを決めるように言われた。 その中の一人であるフリーターの優斗は異世界に行くのは納得しても世界を救う気などなくまったりと過ごすつもりだった。 攻撃、防御、速度、魔法、特殊の五項目に割り振るためのポイントは一億ポイントあったが、特殊に八割割り振り、魔法に二割割り振ったことでチートな箱庭をゲットする。 そのチートな箱庭は優斗が思った通りにできるチートな箱庭だった。 前の世界でやっている番組が見れるテレビが出せたり、両親に電話できるスマホを出せたりなど異世界にいることを嘲笑っているようであった。 そんなチートな箱庭でまったりと過ごしていれば迷い込んでくる女性たちがいた。 偽物の聖女が現れたせいで追放された本物の聖女やら国を乗っ取られて追放されたサキュバスの王女など。 チートな箱庭で作った現代技術たちを前に、女性たちは現代技術にどっぷりとはまっていく。

俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~

仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。 ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。 ガチャ好きすぎて書いてしまった。

処理中です...