独自ダンジョン攻略

sasina

文字の大きさ
119 / 125
未定

119.何故そこに?

しおりを挟む
 

 一つ目の隠し部屋から移動して今二つ目の隠し部屋の前まで来た訳だが、どうした事か目の前にある筈の土壁は無かった。

 そこには出入り口が既に開けられている隠し部屋が存在している。

「これって慶さん達かな?」

「いや、慶じゃない」

 見回ってきてほしいと頼まれた慶が勝手に隠し部屋に入るとは考え難い。

 でも、達という処は間違っていないと思う。

 予想通りと言うか嫌な予感が当たったと言うべきか、この隠し部屋に勝手に入ったのは十中八九。

「美月達だな」

「3人が、本当に?」

「多分」

 いや、今確実になった。

 神眼の気配感知で隠し部屋の奥に複数の気配があるのを感知した。

 何故、ここに来るまで気付かなかったのか不思議なくらい近い。
 100mはある気配感知の範囲の内側、既に50m以内に気配があるのに気付けなかった。

 気配が非常に薄い。

 別に死に掛けだから気配が薄い訳ではない。その程度の事だったら流石に気付いている。

 この感覚は何か妨害と言うか、ある一定の空間だけ感知し難くなっている。

 丁度その場所に美月達が居るみたいだ。

 そして、俺はこの感知妨害の空間には心当たりがあった。

 その頃はまだ神眼ではなく天眼だったな。

 天眼の時は今のように気付く事すら出来なかった。

 あの時は扉を開け中に入ってみると、確かにあの圧倒的な気配と存在感のある化け物はそこに居た。

 試練の扉。

 終末の使徒レプリカ(スライム)

 その存在を思い出しながら隠し部屋の中に入ってみる。

 そこには結構頻繫に訪れているから懐かしくはないが、案の定俺のダンジョンにある隠し部屋同様、正面の壁にはレリーフの入った扉とその側には大きな杯が置いてあった。

「これって何?」

 何って? そう言えば春には試練の扉の表向きの考察は話していなかったな。

「裏ボスかな」

「裏ボス?」

「ああ、この壁の向こうにボスモンスターが居る筈だ。そして美月達は多分今そのボスモンスターと戦っている」

 神眼だから気付いたが、今回中に居るモンスターは、あの化け物の足元にも及ばない雑魚モンスターだ。

 まあ、それでも美月達が全員無事だとは限らないがな。

 それにしても試練の扉の考察の時に、試練の扉はダンジョンクリア後の追加コンテンツかもしれないと結論に至った筈だ。

 なのに何で、試練の扉に挑戦してしまっているんだ?

 馬鹿とかそんなレベルじゃない唯の自殺行為だ。

 今回は偶々ボスモンスターが弱かったからまだ死んでいないが、俺みたいに外れを引いていたら今頃はもうとっくに死んでいる。

 まあ、どうして勝手に入ったのか理由は後で聞くとして、今はどうやって中に3人を助けるかだ。

「どうして美月さん達が中で戦っているって分かるの?と言うかどうやって開けたの?」

「開け方自体はどうでもいい」

 いや、良くはないが説明する訳にはいかない。

「それよりもどうして美月達が中に居るのか分かるかと言うと、ここを見てみろ」

 俺は春に見えるようにレリーフの丁度真ん中を指差す。

「ん? あっ」

 春が俺の指を指している処を覗き込むと、そこには縦に銀色の線が見えた。

「これって何かの金属? でも、これと美月さん達が中に居る事と何が関係あるの?」

 勿論ある。この銀色の線がある場所だがここは丁度扉の境目がある場所だ。

 そして、この銀色の金属は扉の間に何かが挟まって潰れた事で金属が薄く延ばされて、その端がここから覗いているという訳だ。

 春には見えないだろうが神眼の透視と空間把握が使える俺には試練の扉の間には挟まれて紙よりも薄く延ばされた長剣の刀身の姿が見える。

「金属が何かは問題じゃない。問題は何故こんな処に金属が挟まっているかだ」

 多分この扉から入った後で、閉まっていく扉を目撃した3人の内の誰かが咄嗟にストッパーとして、丁度持っていた長剣を入れたんだろう。

 結果、長剣は薄く延ばされストッパーの意味は成していなかったが、運良く俺達へのメッセージにはなった。

「じゃあ、さっき言っていた裏ボスの話が本当ならこの壁が扉で、その間で潰れている金属がストッパー代わりにした何かのドロップアイテムって事?」

「ああ、間に金属しか見えないから、人と一緒に金属が挟まれたなんて最悪の事態ではないみたいだがな」

「エグッ」

 俺が言った光景を想像でもしたのか、春は顏を顰める。

「さて、じゃあ早速だが美月達を助け出すとするか」

「え、どうやって? こういうパターンのボス部屋って中のボスを倒すまでは出られないものじゃないの?」

【名前:試練の扉
 条件:供物の杯≪限定条件:自力≫
 効果:挑戦    】

【名前:供物の杯
 条件:0/200
 効果:扉の開閉  】

 いや、鑑定したら、今なら試練の扉を開ける事が出来そうだ。

 この試練の扉の限定条件が自力と表示されている。
 多分自力で扉を動かす事さえ出来れば、助けに行く事も可能という事だ。

「まあ、何とかなるだろ」

 
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。

山椒
ファンタジー
そのコンビニにいた人たち全員が異世界転移された。 異世界転移する前に神に世界を救うために呼んだと言われ特典のようなものを決めるように言われた。 その中の一人であるフリーターの優斗は異世界に行くのは納得しても世界を救う気などなくまったりと過ごすつもりだった。 攻撃、防御、速度、魔法、特殊の五項目に割り振るためのポイントは一億ポイントあったが、特殊に八割割り振り、魔法に二割割り振ったことでチートな箱庭をゲットする。 そのチートな箱庭は優斗が思った通りにできるチートな箱庭だった。 前の世界でやっている番組が見れるテレビが出せたり、両親に電話できるスマホを出せたりなど異世界にいることを嘲笑っているようであった。 そんなチートな箱庭でまったりと過ごしていれば迷い込んでくる女性たちがいた。 偽物の聖女が現れたせいで追放された本物の聖女やら国を乗っ取られて追放されたサキュバスの王女など。 チートな箱庭で作った現代技術たちを前に、女性たちは現代技術にどっぷりとはまっていく。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...