君の話。

sera

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あいつの話。

4、騒がしい朝

朝陽あさひくん」

誰かが僕のこと呼んでる?

「朝陽くん手貸して」

ん~ちかかな、真っ暗で何も見えない。

「朝陽くん、もっとこっち来て」

でもちかは僕のこと朝陽くんなんて呼ばないよな

「朝陽くん」

「俺のことどう思ってるの?」

「んえ……?」
脳内の視界の中で映ったのは間違いなくあいつ、城川しろかわくんだった。

バッと布団から起き上がり、目が覚める。
「し、城川くんの夢…?」
ど、どう思ってるって、なんだよ。

「朝陽~起きてるの~!!遅刻するよ~!!」
下のリビングから母さんの呼ぶ声が聞こえる。
今の時刻は7時ちょっと過ぎ。
別に遅刻はしない時間だが、絶対「遅刻するよ」と言ってくる。毎朝恒例。
「起きてる~!」
いつもより少し大きな声で返事をした。

下に降りると、トーストに目玉焼きが乗った美味そうな朝ご飯が用意されていた。
テレビには天気予報が流れていて、今日1日お天気日和だとかなんとか。
母さんとたわいもない会話をしながら、醤油のかかった卵焼きの黄身を潰してかぶりついた。
うん、美味い。

8時を過ぎたあたりで玄関のドアを開け、今日の1日が始まった。
雲ひとつない晴天。どこからともなく鳥の鳴く声が聞こえてきて、全身で春を感じた。
向かいの家、ちかの部屋を見るとカーテンは閉まったまま。
今日もまだ起きてないんだろう。
1人でのんびりと歩き始めた。

15分ほどして学校に到着。
教室のドアを開けて、まず見るのは左側。
1番廊下側の前から3番目。
まだ来てない。
ふと、夢のことを思い出して、足早に自分の席に向かった。
なんであんな変な夢見たんだ。
城川くんが僕のこと「朝陽」って呼んでた。
昨日は名前を呼ばれたことに浮かれてたせいかこんな夢見たんだ。
城川くんの笑った顔とか指先とか、髪とか綺麗な字とか全部はっきり覚えてる。
やめろよ、僕、恥ずかしい。

「おはよ!あさひ!」
ふと、後ろの方から声がした。
振り向くとそこには、僕の気持ちなんて微塵も知らない満面の笑みの奏斗かなとがいた。
「おはよー奏斗」
宮崎奏斗みやざきかなと、中学一年の時に同じクラスになったことで仲良くなったやつ。
奏斗のことを話すとしたらまず言わなくちゃいけないことがひとつある。
それはなんと言っても身長だ。
こいつはでかい、デカすぎる。
「今日も見下ろしてんねー奏斗」
「いや~気づいたら、こんなになってて、自分でもびっくりするわ~恥ずかし~」
とか、ニヤニヤしながらでかいことに自信を持ってるところもある。
公表すると奏斗は中学2年にして178cmもある。
ずば抜けてるし、もうこれ以上伸びたらほんとに目立ちすぎて恥ずかしいんじゃないかと思う。

そんな時、クラスの廊下の方でなんやら騒がしい声が響いていた。
「んー?なんか騒がしいな、なんかあったんか?」
そのままでもでかいのにさらに背伸びをして、廊下の方を見ていた。
「なんだろーなー」
それほど興味がなかった僕は適当に返事をして、1時間目の社会の教科書をパラパラとめくっていた。

「あ、城川だ」

ちょうど御恩と奉公にラインマーカーが引かれているページで手が止まった。
ちらりと横目でドアの方を見ると、城川くんが教室に入ってきていた。
すると、バチンと音が鳴ったかのように、城川くんと目が合った。
それは一瞬のことで、城川くんはもう違う人のことを見ている。
実は合っていないのかもしれない、でも合ったかもしれない。
赤くなった顔を隠すために、僕は窓の方に頭を振った。

「告白だろ!絶対!」
「なに?城川、ラブレター貰ったん!!」
「おい、何回目だよ~」

とか教室中で城川くんをはやし立てる会話が聞こえてきた。
「なんか城川、靴箱に呼び出しの手紙入ってたっぽいねー」
と奏斗が僕に伝書鳩のように伝えてくれた。
全部ちゃんと聞こえてたよ。
あー告白されるんだ、城川くん。
モテてたのは知ってたよ、だってかっこいいもん。
「羨ましいね」
気づいたらそう、口に出していた。
「ほんとだよー俺もこれでも高身長男子なんだし、もうちょっとモテてもいいよなぁー!」

羨ましい。そう、羨ましいな。
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