【完結】花守の騎士は隣国の獣人王に嫁ぎ懐刀となる

狗宮 寝子

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第2章

§19‐2 苗植えに珍客来襲

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「何故そうなるのです」
「だってぇ、ライゼルのこと気に入っちゃったし~」
「神の眷属がそう易々と契約してよろしいのですか」
「水の神も太鼓判を押してくれたよぉ」


 急遽グレンの執務室にお邪魔して話し合いの場が持たれた。
 
 改めて自己紹介ね!と、カウカ様が自身について説明してくれたので、水の神の眷属であると確定した。

 昨日に引き続き神の眷属とお会いすることになるとは夢にも思っておらず、一生分の運を使っているような気がする。


「ハハハ、あののんびり屋の水龍がわざわざ昼寝から目覚めて、しかもすぐに契約したいって言い出すとは、俺ちゃんも思わなかったな~!」


 そしてどうやら今日の騒動の元らしいサノメもグレンに召喚されている。俺とグレンが頭が痛い思いをしていることなど知ったこっちゃないという様子だ。


「……もう少し詳しくライゼルと契約したいと思われた経緯を伺わせてください」
「ん~戦いに備えて、かな?」
「……どのような戦いが起こると予想されているのですか」


 グレンの空気が変わった。

 俺も戦いと聞いては穏やかでいられない。ついこの間ノグタムの侵攻で国を失う危機に直面した際のヒリヒリと胸が焼けるような気持ちを思い出す。


「ユーディア王国の内戦だよ。恐らく100年前とは比にならないくらいの大きな規模になる。神たちもその準備に追われているんだよぉ」
「あぁ、そういえば火の神もそんな話をしてたなア。グレンに言うの忘れてた」
「サノメ……」 
「僕は100年前にちょっと力を使いすぎちゃったからお昼寝してたんだ~。でもサノメに起こされて、ちょうど水の神にも備えるようにって言われてさぁ。誰かと契約した方が色々な力の使い方ができるからねぇ」
「それで、ライゼルと契約したいと」
「うん、そういうことだよぉ~」


 のんびりとした口調だが、伝えられた内容は全くもって穏やかじゃない。


「いつ頃起こる話なのですか」
「遠い話じゃないということは聞いているよぉ」
「……お聞かせくださりありがとうございます。私としてはカウカ様とライゼルが契約を交わすことに異論はございませんが、本人の意思を尊重していただけますと有難いです」
「僕もそのつもりだよぉ。ということでライゼル、どうかな~?」


 自分の身体にどんな変化が起きるのか、不安がないと言ったら嘘になる。

 けれど俺が少しでも国や民のために役に立てるのならば、迷うことはない。拳を強く握りしめた。
 

「……謹んで、お受けいたします」


 俺の返事を聞いたカウカ様は「やったぁ」と羽をひらひら動かして小躍りしている。……可愛い。

 契約の準備のため、俺は椅子に座らされる。特にやることはなく、カウカ様に意識を集中させるのが大事らしい。


「じゃあライゼル、手を出して」
「はい」


 俺は言われるがまま右手を差し出す。カウカ様は俺の手に自分の手を重ねて目を閉じる。青い魔力がカウカ様から流れ始める。


 


 しかし突如、執務室の窓ガラスが割れ、茶色い何かが入り込んでくる。


「ライゼルッ!! 大丈夫か!!」
「……アリュール……?」


 そこにいたのは愛馬、アリュールだった。
 
 しかし何かがおかしい。喋ったし、翼が生えている。


「これは……」       
「はっはーん、ようやくお出ましだねぇ」
「カウカ貴様ッ! よくも我を差し置いてライゼルと契約しようとしたなッ!!」
「アリュール……だよな?」


 アリュールの姿をしているが白い翼が生えていて言葉を話す生物が、カウカ様に喰ってかかっている。俺は一体何が起きているのか分からず頭が痛くなってきた。

 アリュールか分からない生物が俺のことを見やり、気まずそうな表情をする。


「ライゼル……隠していてすまない」         
「喋ってる。アリュールが」
「ああ喋っている。お前のアリュールだ」
「どういうことだ……?」
「俺は、土の神の眷属なんだ」
「んん゛!?」    


 驚きすぎて変な声が出た。まさか子供の頃からずっと一緒にいたアリュールが、そんな恐れ多い存在だったなんて信じられない……!


「お前と出会って名前をもらった時に仮の契約は済んでいるが、本当の契約はまだだ。そこにいる水の神の眷属が我を差し置いて契約しようとしたのを察知して思わず飛んできてしまった」
「土の……今はアリュールと言うんだね。なんでまた今までちゃんと契約していなかったのさ?」


 確かに俺も気になった。アリュールはしおらしく耳をパタパタ動かして話を続ける。


「ライゼルは、兄たちと同じように精霊と契約したいのかと思ってな……」 
「……!」


 上目遣いで俺の方を見るアリュール。


 
   
     

 




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