13 / 15
第一章
第十二節:私の魔法は毒舌です?
しおりを挟む
夕暮れどき、学院の裏手にある魔導研究棟の最奥。
リティシア・クロードは、ふたたび重厚な扉をノックした。
「どうぞー、入ってー。できれば手土産ありでね」
「……いい加減、学生から搾取するのをやめてください」
あきれたような声とともに、リティシアは包みを差し出す。今日の菓子は、エミリアが作ってくれた蜂蜜とレモンのケーキだった。
「いやあ、素晴らしい。こういうのがあるから教育ってやめられないんだよね」
まったく悪びれもせず、セシル・ルクレールは笑う。黒髪に金線を走らせた軍礼服、そして相変わらず底の見えない紫の瞳。
この男が学院の特別講師であり、王宮魔導騎士見習い──いや、おそらく“それ以上”の存在だと、リティシアはうっすら感じ始めていた。
研究机の上には既に、幾枚かの魔導式紙と、薄く光を帯びた羽ペンが置かれている。
「さて、今日は実践。君の“言葉”がどこまで意識的に世界へ作用するのかを確かめたい」
「つまり……わたくしが喋れば、何かが起きるかもしれないと?」
「そう。前回は無意識だった。けれど、魔術というのは“意志の再現”だ。君が何を願い、何を描くのか……それが、力の出力を左右する」
セシルは軽く手を振ると、部屋の隅から薄い紙の束を取り出した。
そのうち一枚をリティシアの前に広げ、言った。
「たとえば──こう言ってみて。“灯れ”と」
「灯れ……?」
リティシアは小さく息を吸い、唇を開く。
「……灯れ」
「……“灯れ”」
リティシアの声は、静かに響いた。
けれど──何も起こらなかった。
紙の上は白いまま、空気もぴくりとすら反応しない。
「……あれ?」
彼女は小さく眉をひそめた。先ほどまで練習していたはずの“言葉の魔術”。あの不思議な現象が、今はまったく再現されない。
「うん、まあそううまくはいかないよね」
セシル・ルクレールは椅子にもたれかかりながら、苦笑する。
「どうやら、単なる命令や呪文のような言い回しではダメみたいだ。もっと強い感情、もしくは明確な意思……あるいは対象との関係性が必要かもしれない」
彼は卓上の羽ペンを回しながら、思案するように問いかけた。
「そういえば、これまで君の力が“発動した”って覚えている場面はある?」
リティシアは、少し考えたのち、ぽつりと答える。
「──あります。入学して日が浅い日……ある方に、『品性にかけますね』と申し上げたとき」
「ふむ。誰に?」
「伯爵家のご息女の方です。同級生に対する狼藉が見るに堪えずについ言ってしまいました……」
リティシアはやや赤面しながら呟いた。
「なるほど……」
セシルは口元を緩めた。
「つまり、“強烈な毒舌”をかましたときに、相手にダメージが入ったわけだ」
「……そういう言い方はどうかと」
「じゃあ、試してみようか」
セシルはすっと立ち上がると、リティシアの正面に歩み寄る。
「僕に向かって、何か言ってごらん。心から思ったことを、遠慮なしに」
「えっ、いきなり……?」
「さあ、リティシア・クロード。君の毒舌の威力を見せてもらおうじゃないか」
彼は芝居がかった調子で胸に手を当て、言葉を待つ構えを取った。
リティシアは、しばし逡巡したのち──目を伏せ、そっと呟く。
「……さすがです。主席で卒業されたほどの方が、学生相手に甘味をねだるなんて……格式というものは、案外お腹には勝てないのですね」
次の瞬間。
「……ぐっ」
セシルはわずかに顔をしかめ、胸元を押さえた。
「……っはは、当たったね。わりとグサッと」
「い、今のが……?」
「たぶんね。君の言葉には、ただの皮肉以上の“力”が乗る。特に、君自身が強くそう思ったときに。それが、相手の“心”に影響を与える……場合によっては、物理的に近い反応も引き起こしてるんだ」
彼は笑いながら椅子に戻ると、頬をさすった。
「ただし、いくつかの条件があるっぽい。今のところ、無機物には影響なし。そして、おそらく感情が伴っていないと言葉に力は宿らない。君がただ命じるだけでは世界は動かない。“思いの強さ”が鍵なんだろうね」
リティシアは静かに頷いた。
なるほど。思えばこれまで、何かが起こったのは──いつも、自分の“想い”が噴き出した瞬間だった。
「……つまり、わたしの力は、わたし自身が制御できていない?」
「そうとも言えるし──“まだ”ってだけでもある」
セシルは立ち上がり、机の奥から一冊の古文書を取り出した。
「じゃあ、次は仮説タイムだ。……この記述を見てほしい」
そう言って広げられたページには、古代の文様とともに、こう記されていた。
『言葉こそ、理(ことわり)を織る始まりなり』
******
夕日が落ち始める街並み。
石畳を歩く足元に、ほんのりと甘い香りが漂っていた。エミリアは手提げ袋を抱えながら、老舗の菓子店の前で足を止めた。
──リティシア様、今日もきっと疲れて戻られるわ。甘いもので少しでも元気になってもらえたら。
小さく頬を緩め、焼き菓子をひとつ包んでもらったそのときだった。
「まあ……奇遇ね。こんなところで会うなんて」
その声に、エミリアの笑みが凍りついた。
振り返れば、整った金髪を風になびかせたアンジェリカ・ローゼンが、取り巻きの少女二人を従えて立っていた。にこやかだが、瞳の奥には明確な敵意が宿っている。
「アンジェリカ様……」
「あなたもお買い物? 意外と、お菓子がお好きなのね。平民貴族の方にも、そんな余裕があるなんて驚いたわ」
「あの……これは、同室の方と食べようかと」
「まぁ。まさか、あのリティシア様に?」
アンジェリカは笑った。軽やかなその声音に、どこか乾いた棘が混じっている。
「──エミリアさん。あなた、ほんとうに分かっているのかしら。自分がどれほど危うい立場にあるかってこと」
「……どういう、意味でしょうか」
「お父様は、たしか辺境の男爵でしたわよね。爵位は継承しているけれど、領地の財政は火の車。そんな折に、もし“不適切な交友関係”が王太子殿下の耳に入ったら──どうなると思う?」
「……」
「エリス様は今、王太子殿下のもっとも近しい存在。つまり、あなたの行動ひとつが、殿下のご機嫌を損ねる可能性すらあるの。……たとえば、わたくしがその旨をエリス様に伝えて、殿下に取りなしてもらうことだって、できるのよ?」
その言葉に、エミリアの顔色がわずかに変わった。
「……それは、脅しですか」
「忠告よ。……あなたがリティシア様から距離を取るだけで、誰も困らないし、誰も傷つかない。むしろ、貴族社会でのあなたの立場は格段によくなるわ。わたくしも、あなたが“分別のある方”なら、見直すと思うもの」
「……」
エミリアは目を伏せかけたが、すぐに顔を上げた。その瞳には、微塵も曇りがなかった。
「父は──わたしにこう言って育ててくれました。“誇りを捨てて得たものは、必ずあなたを裏切る”と」
「……!」
アンジェリカの口元がわずかにひきつった。
「ですから、どれほど“都合のいい関係”を差し出されようと、私は誰も裏切りません。たとえ、その代償を支払うことになっても、です」
その瞬間、アンジェリカの笑みが崩れた。
「──気に入らない」
低くつぶやき、手をひらりと振る。
その合図に、取り巻きの少女たちが無言のまま、エミリアの背後へとまわりこむ。
「わたくしに歯向かって無事に済むと、思わないでちょうだい?」
エミリアの目の前で、袋に入った焼き菓子が路上に転がり、砕け散った。
午後の喧騒の中で、助けを呼ぶ声は誰の耳にも届かない。
そのまま、エミリアは彼女たちに連れ去られていった──。
__________________
__________________
★あとがき
補講は、ただでさえ面倒です。
それなのに毎回、差し入れ(しかも期待してる)を要求してくる講師って、どうなんでしょうね。
……いや、講師がセシルでなければ、リティシアもとっくにバックレていたかもしれません。
一方、スイーツ片手に街へ繰り出したエミリアにも、試練が訪れました。
脅しと陰謀と、あまり品のない女子トーク。
学園モノはいつも、甘くて苦いのです。
リティシア・クロードは、ふたたび重厚な扉をノックした。
「どうぞー、入ってー。できれば手土産ありでね」
「……いい加減、学生から搾取するのをやめてください」
あきれたような声とともに、リティシアは包みを差し出す。今日の菓子は、エミリアが作ってくれた蜂蜜とレモンのケーキだった。
「いやあ、素晴らしい。こういうのがあるから教育ってやめられないんだよね」
まったく悪びれもせず、セシル・ルクレールは笑う。黒髪に金線を走らせた軍礼服、そして相変わらず底の見えない紫の瞳。
この男が学院の特別講師であり、王宮魔導騎士見習い──いや、おそらく“それ以上”の存在だと、リティシアはうっすら感じ始めていた。
研究机の上には既に、幾枚かの魔導式紙と、薄く光を帯びた羽ペンが置かれている。
「さて、今日は実践。君の“言葉”がどこまで意識的に世界へ作用するのかを確かめたい」
「つまり……わたくしが喋れば、何かが起きるかもしれないと?」
「そう。前回は無意識だった。けれど、魔術というのは“意志の再現”だ。君が何を願い、何を描くのか……それが、力の出力を左右する」
セシルは軽く手を振ると、部屋の隅から薄い紙の束を取り出した。
そのうち一枚をリティシアの前に広げ、言った。
「たとえば──こう言ってみて。“灯れ”と」
「灯れ……?」
リティシアは小さく息を吸い、唇を開く。
「……灯れ」
「……“灯れ”」
リティシアの声は、静かに響いた。
けれど──何も起こらなかった。
紙の上は白いまま、空気もぴくりとすら反応しない。
「……あれ?」
彼女は小さく眉をひそめた。先ほどまで練習していたはずの“言葉の魔術”。あの不思議な現象が、今はまったく再現されない。
「うん、まあそううまくはいかないよね」
セシル・ルクレールは椅子にもたれかかりながら、苦笑する。
「どうやら、単なる命令や呪文のような言い回しではダメみたいだ。もっと強い感情、もしくは明確な意思……あるいは対象との関係性が必要かもしれない」
彼は卓上の羽ペンを回しながら、思案するように問いかけた。
「そういえば、これまで君の力が“発動した”って覚えている場面はある?」
リティシアは、少し考えたのち、ぽつりと答える。
「──あります。入学して日が浅い日……ある方に、『品性にかけますね』と申し上げたとき」
「ふむ。誰に?」
「伯爵家のご息女の方です。同級生に対する狼藉が見るに堪えずについ言ってしまいました……」
リティシアはやや赤面しながら呟いた。
「なるほど……」
セシルは口元を緩めた。
「つまり、“強烈な毒舌”をかましたときに、相手にダメージが入ったわけだ」
「……そういう言い方はどうかと」
「じゃあ、試してみようか」
セシルはすっと立ち上がると、リティシアの正面に歩み寄る。
「僕に向かって、何か言ってごらん。心から思ったことを、遠慮なしに」
「えっ、いきなり……?」
「さあ、リティシア・クロード。君の毒舌の威力を見せてもらおうじゃないか」
彼は芝居がかった調子で胸に手を当て、言葉を待つ構えを取った。
リティシアは、しばし逡巡したのち──目を伏せ、そっと呟く。
「……さすがです。主席で卒業されたほどの方が、学生相手に甘味をねだるなんて……格式というものは、案外お腹には勝てないのですね」
次の瞬間。
「……ぐっ」
セシルはわずかに顔をしかめ、胸元を押さえた。
「……っはは、当たったね。わりとグサッと」
「い、今のが……?」
「たぶんね。君の言葉には、ただの皮肉以上の“力”が乗る。特に、君自身が強くそう思ったときに。それが、相手の“心”に影響を与える……場合によっては、物理的に近い反応も引き起こしてるんだ」
彼は笑いながら椅子に戻ると、頬をさすった。
「ただし、いくつかの条件があるっぽい。今のところ、無機物には影響なし。そして、おそらく感情が伴っていないと言葉に力は宿らない。君がただ命じるだけでは世界は動かない。“思いの強さ”が鍵なんだろうね」
リティシアは静かに頷いた。
なるほど。思えばこれまで、何かが起こったのは──いつも、自分の“想い”が噴き出した瞬間だった。
「……つまり、わたしの力は、わたし自身が制御できていない?」
「そうとも言えるし──“まだ”ってだけでもある」
セシルは立ち上がり、机の奥から一冊の古文書を取り出した。
「じゃあ、次は仮説タイムだ。……この記述を見てほしい」
そう言って広げられたページには、古代の文様とともに、こう記されていた。
『言葉こそ、理(ことわり)を織る始まりなり』
******
夕日が落ち始める街並み。
石畳を歩く足元に、ほんのりと甘い香りが漂っていた。エミリアは手提げ袋を抱えながら、老舗の菓子店の前で足を止めた。
──リティシア様、今日もきっと疲れて戻られるわ。甘いもので少しでも元気になってもらえたら。
小さく頬を緩め、焼き菓子をひとつ包んでもらったそのときだった。
「まあ……奇遇ね。こんなところで会うなんて」
その声に、エミリアの笑みが凍りついた。
振り返れば、整った金髪を風になびかせたアンジェリカ・ローゼンが、取り巻きの少女二人を従えて立っていた。にこやかだが、瞳の奥には明確な敵意が宿っている。
「アンジェリカ様……」
「あなたもお買い物? 意外と、お菓子がお好きなのね。平民貴族の方にも、そんな余裕があるなんて驚いたわ」
「あの……これは、同室の方と食べようかと」
「まぁ。まさか、あのリティシア様に?」
アンジェリカは笑った。軽やかなその声音に、どこか乾いた棘が混じっている。
「──エミリアさん。あなた、ほんとうに分かっているのかしら。自分がどれほど危うい立場にあるかってこと」
「……どういう、意味でしょうか」
「お父様は、たしか辺境の男爵でしたわよね。爵位は継承しているけれど、領地の財政は火の車。そんな折に、もし“不適切な交友関係”が王太子殿下の耳に入ったら──どうなると思う?」
「……」
「エリス様は今、王太子殿下のもっとも近しい存在。つまり、あなたの行動ひとつが、殿下のご機嫌を損ねる可能性すらあるの。……たとえば、わたくしがその旨をエリス様に伝えて、殿下に取りなしてもらうことだって、できるのよ?」
その言葉に、エミリアの顔色がわずかに変わった。
「……それは、脅しですか」
「忠告よ。……あなたがリティシア様から距離を取るだけで、誰も困らないし、誰も傷つかない。むしろ、貴族社会でのあなたの立場は格段によくなるわ。わたくしも、あなたが“分別のある方”なら、見直すと思うもの」
「……」
エミリアは目を伏せかけたが、すぐに顔を上げた。その瞳には、微塵も曇りがなかった。
「父は──わたしにこう言って育ててくれました。“誇りを捨てて得たものは、必ずあなたを裏切る”と」
「……!」
アンジェリカの口元がわずかにひきつった。
「ですから、どれほど“都合のいい関係”を差し出されようと、私は誰も裏切りません。たとえ、その代償を支払うことになっても、です」
その瞬間、アンジェリカの笑みが崩れた。
「──気に入らない」
低くつぶやき、手をひらりと振る。
その合図に、取り巻きの少女たちが無言のまま、エミリアの背後へとまわりこむ。
「わたくしに歯向かって無事に済むと、思わないでちょうだい?」
エミリアの目の前で、袋に入った焼き菓子が路上に転がり、砕け散った。
午後の喧騒の中で、助けを呼ぶ声は誰の耳にも届かない。
そのまま、エミリアは彼女たちに連れ去られていった──。
__________________
__________________
★あとがき
補講は、ただでさえ面倒です。
それなのに毎回、差し入れ(しかも期待してる)を要求してくる講師って、どうなんでしょうね。
……いや、講師がセシルでなければ、リティシアもとっくにバックレていたかもしれません。
一方、スイーツ片手に街へ繰り出したエミリアにも、試練が訪れました。
脅しと陰謀と、あまり品のない女子トーク。
学園モノはいつも、甘くて苦いのです。
1
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
【完結】男装して会いに行ったら婚約破棄されていたので、近衛として地味に復讐したいと思います。
銀杏鹿
恋愛
次期皇后のアイリスは、婚約者である王に会うついでに驚かせようと、男に変装し近衛として近づく。
しかし、王が自分以外の者と結婚しようとしていると知り、怒りに震えた彼女は、男装を解かないまま、復讐しようと考える。
しかし、男装が完璧過ぎたのか、王の意中の相手やら、王弟殿下やら、その従者に目をつけられてしまい……
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
悪役令嬢は手加減無しに復讐する
田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。
理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。
婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。
「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」
まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。
目が覚めたら、婚約破棄されていた。
理由は「地味で面白みがない」から。
泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。
最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。
でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。
厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。
そして就任スピーチで宣言した。
「500人全員の名前を、覚えます」
冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。
悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。
元婚約者は——後悔し始めていた。
婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。
なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる