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6話 ダンジョン適性検査
しおりを挟むあれから2週間、特に寺門達に絡まれることもなく平穏な毎日を送っていた。
(寺門達に絡まれないのは、西野花蓮が何かやってくれたのか?)
2週間の間に、悠人に一緒のパーティを組もうと言われることもあったが、俺はそれをきちんと断りつつ、今日を迎えた。
(冒険者ギルドが悠人の才能に気づけば、放っておくはずがない。そしたら俺は、見守るだけだ。それでいい、共倒れすることはない)
ある種の覚悟を持ちながら、俺はダンジョン適性検査の日を迎えた。
「今日はダンジョン適性検査の日です。実際にダンジョンの一階層に潜り、スライムやゴブリンを倒してもらいます。それによって冒険者の適性や、自分の能力の把握を行ってもらいます。今日は冒険者クランを持つ方々も来ていただいているため、もし才能のある人がいた場合、直接クランへの加入も夢ではありません。ですから皆さん張り切って頑張っていきましょう!」
校長の言葉に、生徒達は騒がしくなった。なぜなら冒険者の中でも特に、クランを持つ冒険者達は実力がある人達であり、そのクランに入ることができれば、冒険者としてのエリート街道まっしぐらと言っても過言ではないほど、クランに入れるかどうかは大事なことだからだ。
クランとは、冒険者の中でも実力のあるメンバー、最低Aランクの冒険者がクランリーダーとなり、実力あるメンバーを集め結成したものだ。そして大抵のクランにはその活動を支援してくれる企業が後ろについている、その企業から多くの支援が受けられ、クランはそのお返しとして、ダンジョンでの採取物を取引するという、Win-Winの関係を築いている。そのため、クランによって受けられる恩恵に差はあるものの、多種多様な恩恵を受けられる為、実力を伸ばす速度は、野良の冒険者になるのとは雲泥の差がある。
冒険者になりたい人にとって、クランに入れるかどうかはとても重要な為、今日の試験結果によって、クラン入りが叶う可能性があると聞かされれば、生徒が騒めき出すのも無理はない。現に、寺門達も目をぎらつかせ、やる気に満ち溢れている。
「お、おい、見ろよあれ。あの紋章ってもしかして、紅蓮の獅子じゃないか!?」
「おい!あっちは黎明の光だ!」
「あっちには、日本トップクランの呼び声高い龍撃の槍だ!」
「なんでそんなトップクラン達がうちのダンジョン適性検査になんか来るんだよ!」
「馬鹿、うちには西野花蓮がいるだろ!きっとその実力を観にに来たんじゃないか!?」
1高校のダンジョン適性検査に、そもそもクランが観に来るなんてことすら珍しいのに、その観にきたクランは、日本のトップを争う有名クランとなれば、さらに生徒達のざわめきは増す。
(他の生徒の言う通り、あのトップクラン達は西野花蓮を観に来たんだろうが、むしろ好都合だ。トップクランとなれば資質を見抜く力くらいはあるだろ、それなら悠人の才能に気づくはずだ)
多くの生徒達がやる気に満ち溢れている中、俺は悠人のことを考えていた。そして、多くの運命が変わることが予想される、ダンジョン適性検査が始まる。
「それでは、実際にダンジョンに移動します!皆さんは教員の指示に従い、移動してください」
担任の言葉によって、それぞれのクラスが動き出す。悠人や豪達とはクラスが違う為、変に関わることなく、移動することが出来る。
(いつもならともかく、今日悠人と話したら、あいつクランには入らず俺は翔とパーティを組むからな!とか言い出しそうだからな。今日は悠人とは関わらない。それに悠人のことだけじゃなく、鑑定スキルを持つ冒険者がいた場合、俺の状態呪いがバレるのはまずいからな。今日は大人しくするぞ)
俺たちの高校から近くのダンジョンまでは、比較的近い為、ものの数分で目的地へと着いた。
「それではクラス毎に分かれて、ダンジョン適性検査を受けてください!」
クラスは交わることなく、それぞれのクラス毎でダンジョン適性検査を受ける様だ。俺にとっても都合がいい。
俺達はダンジョンの前で、冒険者の方達から説明を受ける。
「それでは皆さん、これからダンジョン適性検査を行います。皆さんの担当をしますC級冒険者の原田武道です。今日は1日よろしくお願いします」
冒険者の人が自己紹介をすると、生徒達がざわつく。C級というと、冒険者の中では中の上くらい、かなりの実力を持つとされる冒険者だからだ。実力に伴い稼ぎも高いだろう。クラスの女子達の目がハンターの様な目になっているのも間違いではないはずだ。
ちなみに、冒険者の割合で表すと
S級 全体の0.1%
A級 全体の0.5%
B級 全体の5%
C級 全体の15%
D級 全体の25%
残りE級 F級
それぞれが冒険者になれるほどの力を持っているエリート達と考えた時、全体の15%に入れるC級はかなり上の実力と言える。
原田武蔵さんはその反応に慣れているのか、特に気にした様子もなく、話し続ける。
「それでは説明に入ります。知識としては知っているかもしれませんが、ほとんどの人は見たこともないかもしれませんね。私の後ろにある穴がダンジョンへの入り口となります」
冒険者の方がそう言うと、生徒達からおぉーという声が上がる。
(あれがダンジョンへの入り口か、俺もあの場所に入りたいと、一攫千金を夢見てたんだよな)
俺が感傷に浸っている中でも、冒険者による説明は続く。
「今日はダンジョンの一層で、適性検査を受けてもらいます。この“日野ダンジョン”の一層では、大体スライムが6割、ゴブリンが4割という割合で出てきます」
俺たち高校生にとって、スライムやゴブリンといった魔物と関わる機会などなかった。実際に冒険者の口からその名前を聞くと、本当に大丈夫なのかと不安になるのか、生徒達がざわつき始めた。しかし冒険者の人は慣れた様に説明を続ける。
「皆さんにとってスライムやゴブリンは、魔物という危険な相手という認識があるかもしれません。実際魔物という存在はとても危険です」
生徒達が更にざわめく。
「ですが、今回相手にするスライムやゴブリン相手なら、私たちがいる限り、皆さんに危害が加わることはありません!」
冒険者はそう言い切る。
「出ると言っても、そんなぽんぽんと一度に数匹も出てきませんから、私達が目を光らせている限り、襲われることなどないでしょう。ですから皆さんは安心して適性検査に望んでください」
生徒達の中でふぅと安堵の息が吐かれる。
「しかし、何事も万が一があるので、なるべく私たちの目の届く範囲で固まって移動してください」
「「「はい!」」」
冒険者の言葉に生徒達は返事をする。
「ダンジョン横にある冒険者ギルドについてや、その設備についての説明は省きますが、大まかに説明するとするなら、冒険者登録やダンジョンで得た採取物を取引する場所だと覚えていただいたら不足はないと思います。それではダンジョンの中へ移動します」
冒険者のその言葉と共に、俺達はダンジョンの中へと移動し始める。
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