5 / 73
5話 放課後のあれこれ2
しおりを挟む「んぅ、ん?どこだここ」
うまく回らない頭を使いながら、今の状況を把握しようとする、とりあえず俺の見てる景色は知らない天井しか映っていない。
「ここは、、、、」
「ここは保健室よ」
「!!!」
記憶にない天井を見上げながら、ここはどこかと考えていると、知らない声が俺の知りたい答えを教えてくれた。
「目が覚めたみたいね、貴方相当HPが減ってて、かなり危ない状態だったのよ?一体何があったらあんなことになるのよ」
(ただ壁に叩きつけられただけとは言えないな)
「まぁ見たところ怪我らしい怪我はなかったけど、とりあえずあの不良達には、あとからしっかりと注意するわね。喋れる?」
「な、なんとかな」
まだ呂律の回らない口を頑張って動かす。
「本当に平気?無理はしないでね」
「ああ、君がここに連れてきてくれたのか?」
「ええそうよ」
その答えに俺は驚く、俺が見る限り、声の主は女の子だったからだ。
「まぁ私のステータスは人より高いらしいからね。貴方くらいだったら全然平気よ」
俺の考えた事を察したのか、そう声をかけられた。
(そうだった、女の子とか関係ないんだった。というか、俺より筋力が高い女の子なんて星の数ほどいるんじゃ!?)
衝撃の事実に気づいてしまった俺が固まっていると、また声をかけられた。
「それで、あなた名前は?」
「四ノ宮翔だ。君は?」
「私は西野花蓮よ」
「!」
またまた驚くことになった。なぜならその名前は、俺の通う高校でその名前を知らない者はいないほど有名人だ。
また西野家といえば、西野財閥として世界でも名の通る実業家で、近年ダンジョン産業でも名を上げた家だ。西野花蓮はそこの長女だ。なんでそんな人物が、この学校に通っているかは、うちの高校の七不思議になっているくらいだ。
とりあえず、俺は自分と話している人物が有名人だったことに驚いた。
「私の名前を聞いた人は皆同じ様な反応をするわね。まあいいわ、とりあえずもう平気そうなら、私は行くわ」
そう言って、西野花蓮が席を立つ音がする。
「ああ、ここまで連れてきてくれてありがとう」
「感謝されるほどのことでもないわ。今後はもっと気をつけなさいね」
そう言って西野花蓮は、保健室から出て行った。
「ふぁー!なんとか体調は戻ったな」
その後I時間ほど、横になり、体調が完全に元に戻ったので、帰る準備をする。
(ステータス)
名前 四ノ宮 翔 レベル1
職業 学生
HP100/100 MP0/0
STR 1 VIT 1 AGI 1
DEX 1 INT 1
ー状態ー
呪い
ースキルー
ー称号ー
呪われた子
「体力も元に戻ってるな。じゃあ帰るか」
俺は保健室から出て、今度こそ帰路に着いた。
「それにしても、今日は散々だったな。なんで寺門達に絡まれなきゃならねーんだか、それにしても、俺のステータス弱すぎねーか?寺門達に絡まれたことよりも、そっちの方がショックなんだが」
自宅に帰る途中でそんな事を思う。
「ステータスをあげようにも、呪いのせいでステータスは上がらないからな。、、、、やっぱりこれ、詰みじゃねぇ?悠人の期待には応えたいし、悠人と同じパーティを組みたいのは山々だが、こんなの足を引っ張るどころか、普通に死ぬな。まじで、どーすりゃ良いんだよ」
人生ハードモードな俺は、解の出ない答えを探し求めながら、自宅に向かって歩く。
俺の家は、高校から約20分ほど歩いたところにある一軒家だ。
「ただいまー」
家の中に向かって声をかけるが、声は返ってこない。なぜなら俺は今一人暮らしをしているからだ。俺の両親は、13年前の地震で亡くなっていて、その後、叔父さん、叔母さんの家に引き取られたが、今年高校生になったことで、自分の家に戻ってきた為、今現在一人暮らしをしている。一人暮らしなのだから、声なんて返ってくるわけないが、このただいまは、家や亡くなった父、母に対してしている。
「それにしても、これからどうするかな」
今日何度目か分からないが、また未来のことについて考える。
俺と悠人は、所謂幼馴染というやつだ。近所に住んでいた為、悠人とよく遊んでいた。そのよしみで高校ではまた仲良くなり、友達、親友として接するうちに、突然「パーティーを組もう!」と言い出した。
「悠人と一緒にパーティを組むのだって、口では無理だって言ってきたけど、心のどこかでは、そんな未来もあるんじゃないかって希望を持ってたんだよな。だけど、どう考えたって、俺と悠人じゃ実力が釣り合わねーし、将来有望な悠人の足を引っ張るわけにはいかねーよな」
悠人のステータス、スキルは凄まじい、それこそこれから歴史に名を残す可能性だってあるくらいのものだ。それなのに呪われた俺なんかと一緒にいたら、せっかくの悠人の可能性を潰してしまう。
「2週間後にはダンジョン適性検査がある、そこには鑑定を持っている冒険者も来るだろう、そこで悠人の才能が見出されるはずだ。あとは俺が悠人の背中を押すだけ、そうだ、それが1番良い」
俺はそう解決させ、もう気にすることはやめた。
(俺に冒険者は無理だ。諦めるしかない、変に希望を待つのはやめよう)
俺は家事や勉強など、日課となっている事をすませる。すると寝るには良い時間になっていた為、床に着いた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
691
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる