現代ダンジョンで成り上がり!

カメ

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17話 始まり2

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「魔力の籠った武器を手に入れられるとはな!まじで今日はついてる!」

俺は短剣を片手に気分が上がっていた。

「あっ、ステータスに何か変化はあるか?」

ダンジョン産の武器や防具、アクセサリーを身につけると、ステータスに恩恵が得られるため、俺はそれを確認する為、ステータスを開く。

名前 四ノ宮 翔  17歳6か月
レベル0→4→12 職業 ハンター (AGI+5 DEX+5) 

HP210/210 MP0/0

STR 1 VIT 1 AGI 1
DEX 1 INT 1
ー状態ー
呪い
ースキルー
ー称号ー
呪われた子 スライムハンター
ゴブリンスレイヤー


「は?なんで?ステータスに変化がない?」

ステータスは、短剣を装備する前と後で、全く変化が見られなかった。

「ということは、2つ考えられるな。1つは、この短剣にステータス増加の効果がない可能性、2つ目は、呪いのせいでステータス上昇の効果が打ち消されている可能性だ。まぁ、後者の方が可能性は高いだろうな。冒険者図書館で見た感じだと、ダンジョン産の武器や防具、アクセサリーの全てに、ステータス増加の恩恵があると書いてあったし」

考えが纏まると、つい溜息がこぼれてしまった。

「はぁー、やっとこれで何かが変わると思ったんだけどな。まぁ、切り替えよう、そうじゃなくても、魔力の籠った武器を装備していると、魔物のシールドはないも同然なんだ。それだけでも、天と地の差があるだろ」

そう思った俺は、さっそくその切れ味を確かめる為、ゴブリンを探す。そう時間はかからず、ゴブリン3匹を見つける事ができた。

「よし、この短剣の切れ味は一体どれほどのものか、試させてもらうぜ!」

俺はゴブリンを見つけた瞬間、ゴブリン3匹に向かって走り出す。ゴブリンはすぐ俺の存在に気づく。

「グギャア!」
「グギャ!」
「グギャギャ!」

ゴブリンはそれぞれの個性なのか、違った声で威嚇してきたが、ゴブリンの威嚇など、星の数ほど聞いた俺にとって、なんの障害にもならない。俺は足を止めず、ゴブリンとの距離を詰める。

距離を詰めてきた俺に対して、ゴブリンは自らの拳で攻撃を仕掛けてくる。

「お前らの攻撃はいつも単調すぎるんだよ!」

ゴブリンの攻撃を余裕を持って躱した俺は、ゴブリンの首に向かって短剣を突き刺す。そして、その短剣が深々とゴブリンの首に刺さる、、、、はずだった。

「ッ!!!なんだこれ!」

ゴブリンの首に突き立てた短剣は、首に刺さる事なく、まるで鈍器で殴ったかの様に、ゴブリンが吹っ飛ぶ。吹っ飛んでいったゴブリンは、首を押さえ、もがきくるしんでいる。

「短剣が突き刺さらない!?どういう事だ?魔力の籠った武器にシールドなんて関係ないから刺さるはずだろ!?」

混乱する俺を他所に、ゴブリンは俺に対して攻撃をしてくる。

「ッ!考えるのは後だ!とにかく目の前のこいつらを狩ることが先だな!」

俺は腰に差してあった、サバイバルナイフを取り出し、いつもの様に攻撃を躱しつつ、ゴブリンの首を掻っ切っていった。

そして最後に、喉を抑えて苦しむゴブリンに止めを刺し、戦いを終える。

「はぁはぁ、流石に焦ったわ。なんだこれはよ」

俺は古びた短剣を見る。見た感じでは、とてもきれない様なものではない。

「何が原因だ?この短剣自体か?、、、そうだ、この短剣を俺に刺してみれば分かることか」

俺は手に持つ古びた短剣を、自分の腕の上に持ってくる。

「ふぅ、いくぞ」

そして短剣を、腕の方向とは直角に、横に滑らせる。ヴァイオリンを弾く様な感じだ。普通の刃物なら、これで俺の腕は切れるはずだ。

「ッ!なんだこれ、全く切れてない」

古びた短剣でなぞった場所を見ても、そこに切り傷なんて全くない。その後何度も力を入れて、切ろうとしても全く切れることはなかった。

「これ、もしかして切れ味0の短剣なんじゃねぇーか?」

俺はその事実に気づき、膝をつく。

「はぁ、せっかく俺が持てる魔力の籠った武器を見つけたと思ったのに、切れない短剣だなんて、誰が想像できるかよ」

俺がそのショックから立ち直るのに、時間を要した。

「まぁ、もともとなかったものだ。とりあえず、何かしらには使えるかも知れねーし、切り替えてレベル上げと行くか」

切り替えた俺は、武器を古びた短剣からサバイバルナイフに変え、いつも通り探索を続け、出会うゴブリンを狩っていく。


「よーし、こいつで100体目!!ゴブリンをこんなに狩ったのは初めてだな。俺もついにこれだけ、ゴブリンを狩れる様になったか」

ゴブリン討伐記録を大きく塗り替えた俺は、喜びに浸っていた。

「ん?なんだあれ」

喜びに浸っていると、先ほど狩ったゴブリンが消えていった地面から、紫色の煙がモクモクと上がっている。

「この色、毒ガスか!?」

俺はすぐ様そこから距離を取った。そのおかげか、特に苦しみなどはない。一応、さらに距離を取った俺は、正体不明の紫煙を見る。

「あんなの初めて見るな。あれはなんだ?毒ガスか?違うのか?それに何だ?紫煙が一箇所に集まってる?」

紫煙は地面から出た後、周りに広がらずに、その場所に留まり続けている。まるで一箇所に集まるかの様に。

「なんだかやばい気がする。だが、ここで放置しても、問題の先延ばしにしかならない。ここであれがなんなのか、確認しないと」

一箇所に集まっているなら、多少近づいても問題ないと判断した俺は、紫煙に向かって少しずつ進んでいく。そして少しずつ距離を詰めていく中、ある事に気づく。

「集まってる紫煙の形が変わっていく?」

俺の視線の先で、一箇所に集まっていた紫煙が、何かを形どりかの様に形を変えていく。そしてその形が次第によりはっきりとしていく。

「グギャアアアア!!!!」

形がはっきりとし始めた紫煙に、顔が出来、体が出来、武器が出来た瞬間。それは産まれた。

「おいおい、その形はゴブリンか!?」

その形はゴブリンそのものだった。しかし本来なら緑色の小学生の様な身長を持つようなものではなく、紫色の肌を持ち、その体は3メートルを超え、極め付けは巨大な棍棒の様なものを持つ。

「こんなの、魔物図鑑には載ってなかったぞ!こんなの倒せるわけない、ここは逃げるしか選択肢はない」

ゴブリンの上位種ですら、今は倒せないと考えているのに、ゴブリンの変異種とも言える様な存在を倒せないと、判断した俺はすぐに駆け出す。ゴブリンから逃げる為だ。

「グギャギャ!!」

「ッ!くそ!早すぎんだろ」

4層に向かうために走り出した俺の前に、ゴブリンの変異種は回り込んだ。俺を逃すつもりはないみたいだ。

「今日はどうやらとことんついてない日みたいだな。、、、、いいぜ、やってやるよ。俺もここで終わるわけにはいかねーからな!」

俺は覚悟を決め、腰からサバイバルナイフを抜く。











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