現代ダンジョンで成り上がり!

カメ

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16話 始まり1

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「ふぅ、今日も順調に狩ることが出来たな。それにしても、初めは死の恐怖だとか、魔物への恐怖だとかで、ビクビクしながら探索していたが、何事も慣れるもんだな。それにオール1でもゴブリン3体同時くらいなら狩れるし、なんとかなるんだな。ただ、俺はいつまでこの生活を続けるんだろうな。悠人との差は開く一方だ」

未発見ダンジョンを見つけ、スライム、ゴブリンを倒せる事に気づき、やっと一歩を踏み出せた日から約1年経っていた。

この1年、より深い層に潜ったりはしたが、ただひたすらにスライムやゴブリンを狩る生活を続けた。前回の教訓を含め、たまには休暇も取ったりしたが、ほぼ毎日ダンジョンに潜り続けた。

そのおかげで極小の魔石は20,000個を超え、総額1,000万円を超えている。実は、魔石に関しては冒険者以外の一般人にも換金する術がある。

それが冒険者ギルドが設置している魔石をお金に変える無人機だ。

基本的に、冒険者が24時間魔石が交換できるように無人機は設置されているが、その他にも、一般の方が利用することもある。

世界には、ダンジョンに比べると薄いが魔力が満ちているため、魔物の体になるほどの魔力ではないが、魔石にはなりうる魔力によって、不意に道端に魔石が生成されることもあるため、子供達がお小遣い稼ぎのために、探し回っている光景がよく見られる。

そのため、人のいない時間を見計らい、極小の魔石を換金している。そのおかげで、暮らしには困らないが、以前として命懸けのダンジョン生活をしている。

初めは、スライムやゴブリン1匹相手に不意をつき狩っていたが、次第に慣れ、今ではゴブリン3体くらいなら不意をつかず、かつ同時に狩る事ならできる様になっていた。

(ステータス)

名前 四ノ宮 翔 レベル4→12
職業 ハンター

HP130/130→210/210 MP0/0 →MP0/0

STR 1 VIT 1 AGI 1
DEX 1 INT 1
ー状態ー
呪い
ースキルー
ー称号ー
呪われた子 スライムハンター
ゴブリンスレイヤー

オール1の俺が、1度に3体もゴブリンを相手取る事が可能になった理由が2つある。1つ目は、レベルが上がり、HPが上がった事で少々攻撃を喰らっても生きていられる様になったことだ。オール1とは言っても、ゴブリンに一撃を貰ったくらいで死ぬことはなくなった。それでも危ないことに違いはないが。

2つ目は、スライムやゴブリンをひたすら狩っていた事で、称号を手に入れた事だ。称号には、意味のないものがほとんどだが、ステータスに書いてある、スライムハンターやゴブリンスレイヤーには、ある効果があった。

スライムハンター 
スライムを多く狩った物に送られる称号。スライム種に対する特攻を得る。

ゴブリンスレイヤー
ゴブリンを多く狩った物に得られる称号。ゴブリン種に対する特攻を得る。

2つとも似た様な効果だが、簡単に言うと、スライムやゴブリンに対して与えるダメージが増える。このおかげで、ゴブリンの持つシールドをスルーして、本体にダメージを与えられる様になった。

現在俺は、自宅にある未発見ダンジョンの五層まで探索する事ができている。しかしそれより下はほとんど探索できていない。なぜなら、その下になるとスライムやゴブリンはほとんど出てこなくなり、スライムやゴブリンの上位種やその他の魔物が出てくるため、いくら称号を持っていても、レベルが上がっていても、ステータスオール1の俺にとって、そいつらを相手取るのは、=死だからだ。

スライムやゴブリンを簡単に狩れる様になって、俺は一度6層に足を踏み入れた事がある。そして一度死にかけた。だから俺は、ひたすらにレベルをもっと上げる様頑張ってきた。

そして今日も、レベルを上げるために未発見ダンジョンの五層にやってきていた。

「よし、これで48体目。五層になると出てくる魔物がほとんどゴブリンだな。まぁ、ゴブリンの方が経験値が良いから、俺に取っては嬉しいけどな。それにしても今日は珍しく、スライムを一体も見てないな」

時刻は14時、俺はいつもよりも早いペースでゴブリンを狩り続けていた。

「はぁ、ここまでゴブリンを狩れる様になってきた事自体は嬉しいが、これ以上を望む俺に取っては、ここからが鬼門だな」

探索し始めた最初の頃より、レベルも技術も知識も成長している。だが、ステータスオール1の壁は大きい。初号のおかげでなんとかやれるいるが、称号の効果が聞かないスライム種やゴブリン種に以外の魔物や上位種と戦いをするには、いくらレベルが上がっても厳しいものがある。

「はぁ、人生ハードモードすぎるんだろ」

そんなことを考えながら、探索を続け、出会うゴブリンを片っ端から狩っていく。すると行き止まりとなっている道の奥に宝箱を見つけた。

「おっ、宝箱みっけ!宝箱なんて何日振りだ?ここ2ヶ月は見てないな。今日は運がいいな」

そう、宝箱を見つけたのは初めてではない。五層で宝箱を発見できる確率は、限りなく低いが、1年も探索していれば宝箱は見つかる。今日見つけた宝箱で、四つ目だ。

「さーて、中身はなんだ?」

低層の宝箱に罠はない。これは、冒険者図書館で得た知識だ。この世で何万も何十万も低層で開けてこられた宝箱の全てに、罠が存在しなかった為、そういう結論になったみたいだ。だから俺は、不用心かもしれないが、中の宝をみすみす逃すのは嫌な為、躊躇いもなく宝箱を開ける。

「おっいいな、短剣だ!」

宝箱の中に入っていたのは、古びてはいたが、短剣だった。

「多少古びてはいるが、シンプルでかっこいいな」

俺は短剣を、自分の目の高さまで持ってきて、よく観察する。そこで、違和感を覚える。

「なんか違和感が、、、、、なんだろ?、、、、あっ!なんで俺、短剣を持ててんだ!?俺はステータスオール1だから、短剣なんて持てねーはずなのに」

違和感の正体は、短剣を俺が持てていることだった。1年半前、ダンジョンの宝箱から出る武器や防具、アクセサリーや魔物の素材から作られるそれらには、ステータスに恩恵を与えるということを知り、ステータスオール1の俺も、武器や防具、アクセサリーをつける事で、強くなれるんじゃないかと考えた俺は、それらを身につけようとした。

しかし、それらにはある程度のステータスがないと装備できないと言う制限があり、そもそも装備することすらできなかった。武器でいうと持ち上げられないといった事だ。そう、持ち上げられないんだ、俺には。

その事実に気づいた俺は、今持ち上げている短剣を見る。

「もしかして、この短剣なら俺にも装備できるんじゃないか?」

この日俺は生涯の相棒となる短剣と出会えたのだった。

「今日はついてるな!」
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