9 / 33
第1部 目指せゲームオーバー!
第9話 違う、そうじゃない
しおりを挟む
お荷物呼ばわりされて勇者パーティーを追放された。
そのフレーズで上がりに上がったテンションのままに、オレは少女に向けて言った。
「なぁ! オレらこれから旅するんだけど、仲間になってくれよ! すっげー心強いから!!」
「えっ!? その……いいんですか? わたし、お荷物って言われたんですけど……」
「もちろん!」
他のメンバーの意見も聞かずに即答すると、天の声がやや引いたような声音で話しかけてきた。
「え、何? 急にどうしたの?」
「お荷物呼ばわりされて勇者パーティーを追放された……間違いない。これは『追放系』だぁ──!!」
追放系。
それは、異世界転生に並ぶファンタジー系フィクションのド定番。
無能で傲慢な勇者に追放された実力者が新天地で無双するという、もはや擦られに擦られまくったあのパターンだ。
そして追放系の主人公は、戦闘で役に立たないと切り捨てられるが、逆にそれ以外の能力に秀でていることが多い。
リフレは直接前線に出るタイプではなくサポーター──後方支援系だ。これは期待できる!!
なんてテンションの上がりまくったオレの胸中を知る由もない少女は、戸惑うようにドルーオに視線を向けた。
「好きにするといい。無論、仲間になるなら俺も歓迎する」
温かい笑みを浮かべて、元魔王は優しく言った。
ドルーオの言葉にホッと息を吐くと、少女は2人に向き直り、頭を下げた。
「わたし、リフレっていいます。至らぬ点もあるかと思いますが、よろしくお願いします」
ガイド役に、元魔王に、勇者パーティーを追放された少女。
なんとも素晴らしい布陣だ。
魔王に殺されに行く旅路が、より盤石なものになった。
「それにしても災難続きだな」
労うようなドルーオの言葉に、リフレは疲れたような顔で頷いた。
「はい……勇者パーティーの皆さん、瘴気で満たされてるダンジョンにも『いつも行ってるから余裕』って言って、何も準備しないまま突入して……」
そこで、オレの口から「ん?」と間抜けな声が漏れた。
不意に嫌な予感がした。
気のせいであることを祈りながら、そのまま聞き耳を立てる。
「そんなことしたの? 人族が瘴気を生身で浴びるとか、文字通りの自殺行為でしょ」
「でも、どれだけ言っても聞く耳も持ってもらえず……結局、突入から2分でパーティー全員が移動すらギリギリなくらい衰弱してしまい……」
「当然だ。人族が瘴気の中で活動するなら、聖族の加護を受ける必要があるからな。生還できただけ幸運だ」
「多分、前任のサポーターさんが何かしらの措置を施していたんだと思いますけど……何をどうしていたか、わたしにはさっぱりで……」
3人の会話をそこまで聞いて、オレはおずおずと手を挙げた。
大至急確認しなくてはいけない事案が発生していた。
「えっと、それってもしかして……元々勇者パーティーにはサポーターがいて、その人がいなくなったから後釜でリフレが入ったっていう、そんな感じ……?」
「……? はい、そんな感じですが……」
そっちかぁぁぁぁ!! 『実は有能なのに無能呼ばわりされたヤツが追放された後に加入した普通のヤツ』の方かぁぁあああっ!!
追放系ファンタジーには、ほぼほぼ決まりきった流れがある。
メンバーの1人(仮にAと呼称)が、お荷物呼ばわりされ勇者パーティーを追放される。
その後、新天地へと移ったAの真の実力が明らかになり、無双する。
その頃勇者パーティーは、Aの後釜(仮にBと呼称)と一緒に冒険に出る。
しかし、実は有能なAが普通の実力のBに変わったため、いつものパフォーマンスを発揮できずに敗走・崩壊する。
その過程でBは『な、なに言ってるんだ? そんなことできるわけないだろう……!?』とか『これを1人で……? それが本当なら、前任者はいったい何者なんだ……!?』とか、そういうリアクションをする。
ここまでがテンプレだ。
まぁ要するに、リフレはA側ではなくB側だったのである。
それに気付いた瞬間──リフレには申し訳ないが──こう叫びたくなった。
『違う、そうじゃない』
早とちりとは言え、元の期待が大きかった分よけいに泣きそうだ。
ガックリと項垂れていると、声が降ってきた。
「……カイト、どうしたのだ?」
「……何してんの?」
「え……?」
顔を上げると、3人が心配そうな顔でこちらを見ていた。
どうやら顔か声に出てしまっていたらしい。恥ずかしい。
「あっ、いや、なっ、なんでもないデス……」
大丈夫、落ち着け。
この場合、逆に言えばリフレの実力は一般的なサポーター相当なのが保証されてるんだ。
追放された主人公の後釜は、秀でた能力こそないが、少なくとも一般的な一人前ではある。
新加入であるBの実力が一般的な冒険者相当でなければ、前任者であるAがいかにヤバかったかが表現できないからだ。
ならばリフレも、サポーターとしてこのパーティーの生命線になってくれるはずだ。
ガチ無能ってことはないはずだ、ウン。
などと自分に言い聞かせても、やはりショックはなかなか抜けなかった。
(つづく)
そのフレーズで上がりに上がったテンションのままに、オレは少女に向けて言った。
「なぁ! オレらこれから旅するんだけど、仲間になってくれよ! すっげー心強いから!!」
「えっ!? その……いいんですか? わたし、お荷物って言われたんですけど……」
「もちろん!」
他のメンバーの意見も聞かずに即答すると、天の声がやや引いたような声音で話しかけてきた。
「え、何? 急にどうしたの?」
「お荷物呼ばわりされて勇者パーティーを追放された……間違いない。これは『追放系』だぁ──!!」
追放系。
それは、異世界転生に並ぶファンタジー系フィクションのド定番。
無能で傲慢な勇者に追放された実力者が新天地で無双するという、もはや擦られに擦られまくったあのパターンだ。
そして追放系の主人公は、戦闘で役に立たないと切り捨てられるが、逆にそれ以外の能力に秀でていることが多い。
リフレは直接前線に出るタイプではなくサポーター──後方支援系だ。これは期待できる!!
なんてテンションの上がりまくったオレの胸中を知る由もない少女は、戸惑うようにドルーオに視線を向けた。
「好きにするといい。無論、仲間になるなら俺も歓迎する」
温かい笑みを浮かべて、元魔王は優しく言った。
ドルーオの言葉にホッと息を吐くと、少女は2人に向き直り、頭を下げた。
「わたし、リフレっていいます。至らぬ点もあるかと思いますが、よろしくお願いします」
ガイド役に、元魔王に、勇者パーティーを追放された少女。
なんとも素晴らしい布陣だ。
魔王に殺されに行く旅路が、より盤石なものになった。
「それにしても災難続きだな」
労うようなドルーオの言葉に、リフレは疲れたような顔で頷いた。
「はい……勇者パーティーの皆さん、瘴気で満たされてるダンジョンにも『いつも行ってるから余裕』って言って、何も準備しないまま突入して……」
そこで、オレの口から「ん?」と間抜けな声が漏れた。
不意に嫌な予感がした。
気のせいであることを祈りながら、そのまま聞き耳を立てる。
「そんなことしたの? 人族が瘴気を生身で浴びるとか、文字通りの自殺行為でしょ」
「でも、どれだけ言っても聞く耳も持ってもらえず……結局、突入から2分でパーティー全員が移動すらギリギリなくらい衰弱してしまい……」
「当然だ。人族が瘴気の中で活動するなら、聖族の加護を受ける必要があるからな。生還できただけ幸運だ」
「多分、前任のサポーターさんが何かしらの措置を施していたんだと思いますけど……何をどうしていたか、わたしにはさっぱりで……」
3人の会話をそこまで聞いて、オレはおずおずと手を挙げた。
大至急確認しなくてはいけない事案が発生していた。
「えっと、それってもしかして……元々勇者パーティーにはサポーターがいて、その人がいなくなったから後釜でリフレが入ったっていう、そんな感じ……?」
「……? はい、そんな感じですが……」
そっちかぁぁぁぁ!! 『実は有能なのに無能呼ばわりされたヤツが追放された後に加入した普通のヤツ』の方かぁぁあああっ!!
追放系ファンタジーには、ほぼほぼ決まりきった流れがある。
メンバーの1人(仮にAと呼称)が、お荷物呼ばわりされ勇者パーティーを追放される。
その後、新天地へと移ったAの真の実力が明らかになり、無双する。
その頃勇者パーティーは、Aの後釜(仮にBと呼称)と一緒に冒険に出る。
しかし、実は有能なAが普通の実力のBに変わったため、いつものパフォーマンスを発揮できずに敗走・崩壊する。
その過程でBは『な、なに言ってるんだ? そんなことできるわけないだろう……!?』とか『これを1人で……? それが本当なら、前任者はいったい何者なんだ……!?』とか、そういうリアクションをする。
ここまでがテンプレだ。
まぁ要するに、リフレはA側ではなくB側だったのである。
それに気付いた瞬間──リフレには申し訳ないが──こう叫びたくなった。
『違う、そうじゃない』
早とちりとは言え、元の期待が大きかった分よけいに泣きそうだ。
ガックリと項垂れていると、声が降ってきた。
「……カイト、どうしたのだ?」
「……何してんの?」
「え……?」
顔を上げると、3人が心配そうな顔でこちらを見ていた。
どうやら顔か声に出てしまっていたらしい。恥ずかしい。
「あっ、いや、なっ、なんでもないデス……」
大丈夫、落ち着け。
この場合、逆に言えばリフレの実力は一般的なサポーター相当なのが保証されてるんだ。
追放された主人公の後釜は、秀でた能力こそないが、少なくとも一般的な一人前ではある。
新加入であるBの実力が一般的な冒険者相当でなければ、前任者であるAがいかにヤバかったかが表現できないからだ。
ならばリフレも、サポーターとしてこのパーティーの生命線になってくれるはずだ。
ガチ無能ってことはないはずだ、ウン。
などと自分に言い聞かせても、やはりショックはなかなか抜けなかった。
(つづく)
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる