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朝は苦手だ。大体、夜に本を読むのが一番楽しい。
蝋燭がゆらゆら揺れる元でソファーに座りお気に入りのクッションを抱えて
音もなくひっそりと読む時間が何よりも好きだ。
なのに、こんな朝早くから私はなにしてるんだろうか。
「あー、何やってんだよ!そんなんじゃ日が暮れちゃうよ」
おかみさんが私の手元からパン生地を取り上げた。
「ほら、ここはもっと力入れてこねないと」
私も同じようにしてるつもりなんだけどうまくいかない。
そう、私は何をやってもうまくいかないのだ。
「ケイティーお嬢様、お帰りなさいませ」
ジョンが無表情で出迎えた。
「ただいま・・・」
あまりにも疲れすぎてそう答えるので精一杯だった。
この家の財産が殆どないと聞いてから私は領土の管理と同時に収入を得るために
働きに出ることにした。最初、ジョンがすごい勢いで止めたけどじゃあ収集得るためにどうすんのさって話になって
ジョンも働きに出るとか言ってたけど私がジョンに働いてもらって家にいるのっておかしいじゃない?
数ヶ月後は色々と計画したことが実になって収集を得ることができても
それまでの生活がままならない。
まして私だけじゃないく弟もいるから食べ物だけは確保しないと。
ということでとりあえずすぐに収入を得られる村の仕事についてみた。
私の素性はもちろん隠した。
もともと殆ど外に出たことなかったから誰も私のことを知らない。
父の葬式の時は黒いベールをしてたので顔も見られてない。
人と話すことが苦手なのであまり人と関わることがない仕事を探した。
最初は農業の手伝いをした。
言われることを淡々とすれば話すこともしなくていいしそんなに難しいことはないかなって思っていた。
家の中ばかりにいた私には力仕事は向いておらすすぐにクビになった。
次は針仕事の手伝い。
ドレスの注文を受けてお針子さんの指示どうりに縫うだけならできるかなって思ってたらこれまた考えが甘かった。今まで刺繍もろくにやったことなかった私は針を手にさしてばかりいて生地が血だらけになると言ってクビになった。
その次はパン屋さん。仕事帰りに余ったパンをもらえるかな・・・なんて甘い考えが悪かった。
あんなに重労働とは。
ここまで来て、私はなんて無力なんだってしみじみ思ってしまった。
今まで、何も考えずただ本を読んでばかりでなんの努力もしてこなかったのだ。
正確にいうと伯爵家ゆえに何もしなくても生活できると思っていた。
それなのにどんどん父の状況が悪くなり自分なりに何か力になればいいと思い色々やって見たが全て遅かったのだ。
体の疲労感が深まると自分の思考も悪い方へ悪い方へといってしまう。
ベッドにうつ伏せの状態で倒れケイティーはため息をついた。
ドアの外からコンコンと控えめな音がした。
「どうぞ~」
枕に顔を当てたまま返事をするとクスクスと笑いながら誰かが入って来た。
「さっすがお嬢様、過去最短時間でクビですか?」
笑いを我慢しながら侍女のビーが入って来た。ビーは唯一残ってくれた侍女なんだけど全く侍女らしくない。
そもそも私もお嬢様らしくないけどさ。
「そうだよ。だってうまく捏ねることも均等の大きさに形成していくこともできないんだもん」
力仕事ばかりでない。私はどうやら致命的に不器用だったらしい。
「不器用なのはお針子さんの時にわかったと思うんですがね」
そう言いながらビーは紅茶を入れてくれた。
その匂いは私の大好きな紅茶だった。口では意地悪だけど行動は優しいお姉さんなんだよね。
わかってる。わかってるんだけど・・・・
「だからって笑わなくてもいいじゃない!!!」
そう言って枕を投げたらヒョイっと避けて大爆笑になった。
「だって・・・だって・・・あまりにも!!」
涙を拭きながら大爆笑してる。ひどいや・・・。
「大体、お嬢様には無理なんですよ。今まで本しか読んでなかったじゃないですか。頭はいいのに・・・すごく抜けてるというか、アホっていうか・・・」
主人にアホって言えるのって彼女しかいないと思う。
いや、アホなのはもういやってほどわかってるから追い討ちかけないで欲しいのに。
「こら、たとえ真実でもご主人様に対してアホとはなんだ。アホとは」
入り口からジョンが冷たい視線を私たちに向けながら言った。
真実って・・・真実って・・・・。
「これでさすがにお嬢様が自分で働くってことが無理なのがわかったと思います。
どうかこれに懲りて働くのをおやめください」
「でもさ、辞めろって言ったってこの先どうすればいいのよ。私は弟も育てなきゃいけないし、あなたたちにもお給料を払わなければいけないし。この前のことが成功したとしても収入に繋げるのはだいぶ先だし・・・・」
そう、私はこのまま出来ないままじゃダメなんだ。
今まで好きなことに逃げてばかりいたからこれからは頑張らないと。
「そのことですが先ほど報告がありましてわずかながら収穫できたそうです」
ジョンが珍しくにっこり笑っている。
「ほんと!!本当に!!」
自分がやったことで成功したのが初めてだった。やっぱり書物の通りだったのね。私がやったことは無駄じゃなかった。
ここの土地にあった植物というはちゃんとあったんだ。
少し光が見えてきたことに自然と唇がほころんだ。
蝋燭がゆらゆら揺れる元でソファーに座りお気に入りのクッションを抱えて
音もなくひっそりと読む時間が何よりも好きだ。
なのに、こんな朝早くから私はなにしてるんだろうか。
「あー、何やってんだよ!そんなんじゃ日が暮れちゃうよ」
おかみさんが私の手元からパン生地を取り上げた。
「ほら、ここはもっと力入れてこねないと」
私も同じようにしてるつもりなんだけどうまくいかない。
そう、私は何をやってもうまくいかないのだ。
「ケイティーお嬢様、お帰りなさいませ」
ジョンが無表情で出迎えた。
「ただいま・・・」
あまりにも疲れすぎてそう答えるので精一杯だった。
この家の財産が殆どないと聞いてから私は領土の管理と同時に収入を得るために
働きに出ることにした。最初、ジョンがすごい勢いで止めたけどじゃあ収集得るためにどうすんのさって話になって
ジョンも働きに出るとか言ってたけど私がジョンに働いてもらって家にいるのっておかしいじゃない?
数ヶ月後は色々と計画したことが実になって収集を得ることができても
それまでの生活がままならない。
まして私だけじゃないく弟もいるから食べ物だけは確保しないと。
ということでとりあえずすぐに収入を得られる村の仕事についてみた。
私の素性はもちろん隠した。
もともと殆ど外に出たことなかったから誰も私のことを知らない。
父の葬式の時は黒いベールをしてたので顔も見られてない。
人と話すことが苦手なのであまり人と関わることがない仕事を探した。
最初は農業の手伝いをした。
言われることを淡々とすれば話すこともしなくていいしそんなに難しいことはないかなって思っていた。
家の中ばかりにいた私には力仕事は向いておらすすぐにクビになった。
次は針仕事の手伝い。
ドレスの注文を受けてお針子さんの指示どうりに縫うだけならできるかなって思ってたらこれまた考えが甘かった。今まで刺繍もろくにやったことなかった私は針を手にさしてばかりいて生地が血だらけになると言ってクビになった。
その次はパン屋さん。仕事帰りに余ったパンをもらえるかな・・・なんて甘い考えが悪かった。
あんなに重労働とは。
ここまで来て、私はなんて無力なんだってしみじみ思ってしまった。
今まで、何も考えずただ本を読んでばかりでなんの努力もしてこなかったのだ。
正確にいうと伯爵家ゆえに何もしなくても生活できると思っていた。
それなのにどんどん父の状況が悪くなり自分なりに何か力になればいいと思い色々やって見たが全て遅かったのだ。
体の疲労感が深まると自分の思考も悪い方へ悪い方へといってしまう。
ベッドにうつ伏せの状態で倒れケイティーはため息をついた。
ドアの外からコンコンと控えめな音がした。
「どうぞ~」
枕に顔を当てたまま返事をするとクスクスと笑いながら誰かが入って来た。
「さっすがお嬢様、過去最短時間でクビですか?」
笑いを我慢しながら侍女のビーが入って来た。ビーは唯一残ってくれた侍女なんだけど全く侍女らしくない。
そもそも私もお嬢様らしくないけどさ。
「そうだよ。だってうまく捏ねることも均等の大きさに形成していくこともできないんだもん」
力仕事ばかりでない。私はどうやら致命的に不器用だったらしい。
「不器用なのはお針子さんの時にわかったと思うんですがね」
そう言いながらビーは紅茶を入れてくれた。
その匂いは私の大好きな紅茶だった。口では意地悪だけど行動は優しいお姉さんなんだよね。
わかってる。わかってるんだけど・・・・
「だからって笑わなくてもいいじゃない!!!」
そう言って枕を投げたらヒョイっと避けて大爆笑になった。
「だって・・・だって・・・あまりにも!!」
涙を拭きながら大爆笑してる。ひどいや・・・。
「大体、お嬢様には無理なんですよ。今まで本しか読んでなかったじゃないですか。頭はいいのに・・・すごく抜けてるというか、アホっていうか・・・」
主人にアホって言えるのって彼女しかいないと思う。
いや、アホなのはもういやってほどわかってるから追い討ちかけないで欲しいのに。
「こら、たとえ真実でもご主人様に対してアホとはなんだ。アホとは」
入り口からジョンが冷たい視線を私たちに向けながら言った。
真実って・・・真実って・・・・。
「これでさすがにお嬢様が自分で働くってことが無理なのがわかったと思います。
どうかこれに懲りて働くのをおやめください」
「でもさ、辞めろって言ったってこの先どうすればいいのよ。私は弟も育てなきゃいけないし、あなたたちにもお給料を払わなければいけないし。この前のことが成功したとしても収入に繋げるのはだいぶ先だし・・・・」
そう、私はこのまま出来ないままじゃダメなんだ。
今まで好きなことに逃げてばかりいたからこれからは頑張らないと。
「そのことですが先ほど報告がありましてわずかながら収穫できたそうです」
ジョンが珍しくにっこり笑っている。
「ほんと!!本当に!!」
自分がやったことで成功したのが初めてだった。やっぱり書物の通りだったのね。私がやったことは無駄じゃなかった。
ここの土地にあった植物というはちゃんとあったんだ。
少し光が見えてきたことに自然と唇がほころんだ。
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