塔の中の小鳥

アオ

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 殿下と見つめあって数分。

 「コケーーーッ!!」

   バサバサ大きな音を立ててうちのニワトリのビーンが私の頭にめがけて飛んできた。

  「危ない」



    と、殿下の声が聞こえたと同時に温かいものに包まれた。

   私、自慢じゃありませんが男性に庇われるような出来事もなければ

    そこまで人と接触したことありません。

   なので、こんなことされたら動けなくなります。

   世間一般の女性としてどう反応するのかもわからないし

   まず頭ではこうやってあれこれ考えつつも体はまるで

    鋼のように動けなくなってしまった。

   耐性がない私に対してやめていただきたい。情報処理に体が追いつきません。


   そんな私の気持ちを全くもってわかってないビーンはひたすら頭をめがけて

   ジャンプするように何度も何度も飛んできた。

 「こやつ…」

    やばい。ビーン殺される!


    「殿下、申し訳ないですがビーンを殺さないでください!」

     両手を力一杯伸ばし陛下の腕の中から飛び出した。

      「ビーンは、悪気があるのではなく…」

     バサバサ音が近づいてきた。そして、いつものごとく私の頭に留まった。

     「ただ、私の頭の上に留まりたいだけなんです!なので、心配いりません!
    
       しばらくこうやっていたら気が済んで飛んでいきますので

       どうか殺さないで下さい!!」

  

     ビーンは私が卵を取りに行くようになって仲良くなり私が手乗り出来るかなって

   腕にのせたり肩にのせたりして遊んでたらなぜか頭の上が気に入って

   毎回そこまで飛んでくるようになった。ニワトリってそんなに飛べないはず

   なのに頑張ってそこまで飛ぼうとしてくれるのが楽しくって

   ついつい私も頭をさしだしてたのも悪かったと思う。

  落ち着いて座りコケコケ言ってるビーンは温かい。

   

  多分、驚いてるだろう殿下はジッとビーンを見つめていた。

  表情は読めない。


 「ビーンとはその鳥のことか?」

 「はい、そうです。決して他人には危害をくわえません。私にだけ懐いてるだけなの

    でどうか殺さないで下さい!」

    「私は無駄な殺生は好まん。殺しはしない。しかし…」

   殿下は顔だけ横に向け口元隠している。よく見ると、肩が揺れていた。


   「君は…なんというか…」

   頭の上にいたビーンが気が済んだのか再びバサバサ音をたてて下に降りた。

   もう、自由すぎる。鳥なんだから自由なんだろうけど。

   そんなビーンを目で追っていると殿下のつま先が視界に入った。

   そして私の髪に付いたビーンの羽を取ってくれた。

   殿下になんてことをさせてるの、私!

 「申し訳ございません」

   慌てて離れ頭を下げた。

  「頭を上げてくれないか。君にそんなことをして欲しくない」

    恐る恐る頭を上げると目と目が合う。

  「君はずっと謝ってばかりだ」

  だって、謝ることばかりしでかしてるじゃありませんか!

 「えと、それは申し訳ございません…」

 もはやそのセリフしか出てきませんよ。

 「申し訳ないと思うならば…そうだな」

  そこまで言って殿下はとんでもないことをすごく真面目な表情で私に言い放った。

 
    

     「私のことは名前で呼ぶように」



     え、意味わかんないんですけど。

    思わず口からこのセリフが出そうになりましたわ、私。

      嫌がらせですか、失礼なことばかりした私に嫌がらせですかね!




     「コケーーー!」

   私の後ろでビーンが返事したかのように大声で鳴いた。

   主人の代わりに返事をしないでいただきたい。

 

  

 

   

  
 

 

  

 

 
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