青空とエプロン

アオ

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幸せの音

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 リーンゴーン。リーンゴーン。

 遠くで、教会の鐘の音が鳴る。

 多分、普通の人だったら幸せの音だと感じるだろう。

 私は真っ白で何も刺繍の入ってないいたってシンプルな

 マーメードラインのウエディングドレスを着ている。

 頭には、マリアベール。

 昔、なにかの雑誌で見て絶対これだって決めてたのよね。

 髪は少し下の方でひとつにまとめ、

 白薔薇と百合で作られた長いブーケを手にして、

 父とヴァージンロードを腕を組んで歩く。

 その先には、白いタキシードを着たリョウが、微笑んでいる。

 なんて、かっこいいんだろう。

 おもわず、見ほれてしまった。

 料理も出来て、私よりも掃除が上手で。
 
 まるでお母さんのように面倒を見てくれ、しかも保育士の免許もあるから、

 子育てに心配ない。

 しかも、人として尊敬できる。

 なんていい男を旦那にもらったんだろう。

 オカマってところを目をつぶればの話だが。





 二人の間に結婚の話が出てから、すごくとんとん拍子に話しが進んでいった。

 私の元婚約者の話なんかあっという間にどこかに飛んでいった。

 リョウの家も実はそれなりの有名な会社の家系で、父からすると申し分ない一族だったみたい。

 それにお互いの両親がこれを逃してなるものかと、

 びっくりするぐらいに必死に早く結婚式を挙げるようにと勧められた。

 リョウのお母さんなんか泣きながら「リョウをよろしくお願いします」と

 何度も何度も頭下げられ、逆にこっちが申しわけないくらい。

 冷や汗が出ちゃったわよ。

 リョウは、リョウで私の父のお気に入りとなったから、

 よく飲みに来るように誘われた。
 
 付き合いもいいし、お酒も強いから二人で遅くまで飲んでるみたい。

 私には妹しかいなから息子が出来たみたいでうれしいんでしょ。

 こんなにうれしそうにしている父の顔を見たのは初めてだった。
 
 だっていつも難しそうな表情で家で黙って座ってる姿ばかりだったから。

 年の離れた妹はかっこいい兄が出来てこれまたはしゃいでたし。

 いろんな人がうれしそうな表情をするたびに、

 だましていることがもう申しわけなかったけど、

 私はリョウのことが好きだという気持ちがどうにか支えになっていた。
 
 葵にはかなり絞られた。

 もうこってりと。

 やっぱり彼女は怖かった・・・・・・。

 でも、時間をかけて私の気持ちを話したら納得してくれた。

 「それでもえが幸せになるんだったら何にも言わない」
 
 そういってニッコリと笑ってくれた。

 彼女にはほんとかなわないね。

 そして、

 「私にとって二人とも大心友なの。

 心の友よ、心の友。

 親しい友じゃないの。

 だからぜったい幸せになってほしい。

 わかった?

 自分でわざと不幸な道に進んだら心友失格だからね。」

 なんてうれしい言葉をくれるんでしょうか。

 涙を流しながらうんうんとうなずいた。

 
 
 
 


 「もえ」

 気がつくとリョウの目の前まで来ていた。

 父が、私の手をそっとはずし、リョウへと渡す。

 「もえをよろしく頼むね」

 そういいながら優しく微笑む父を見て、

 胸がジンときた。

 「はい」

 はっきりと答えたリョウは強い意志をもった目で父に答える。

 そしてとびきりの笑顔を私に向ける。

 ああ、腰が抜けそう・・・・。

 私をエスコートしながら階段を登り、祭壇の前に立つ。
 
 神父の下、私達は誓いの言葉を交わす。

 お決まりの言葉だけど、いざ自分が言うとなると声が震えた。

 神の前と、みんなの前で誓う。

 リョウを愛し、支え続けることに嘘偽りはない。

 でも・・・・。

 リョウは?

 
 
 

 「おめでとう!!」

 「もえ!よかったね~!!」

 いろんな人の声が私達を囲む。

 フラワーシャワーを浴びながらリョウと腕を組んで階段を下りていく。

 「早く、ブーケ投げて!!」

 秘書課の友人達がここぞとばかりに前に出てきてブーケトスを待っている。

 後ろを向いてポーンと投げる。

 「あ・・・・」

 私のブーケはとてもとても綺麗な女の人の下へ。

 リョウの知り合い?

 モデルかなにかだろうかと思うくらい綺麗な人。

 青いワンピースが一際目立つ。

 その人は、瞳を細めて妖艶に笑うと、

 「リョウ、おめでとう」

 と言ってどこかへ去っていった。

 リョウはただじっと見つめている。

 あの人はきっとリョウにとって深い関係がある。

 私の野生の感がそう言っている。






 遠くで再び教会の鐘が鳴る。

 これは、幸せの音?

 それとも何かを知らせる音?

 

 

 

 

 






 

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