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1章
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しおりを挟む彼の話を聞いた後、どうやって部屋に帰ってきたのか覚えていない。
多分、頭を下げて呆然としながら真っ直ぐ歩いてきたと思う。
ぼーっとして帰ってきたら部屋で待っていたニコが私の顔を見てオロオロした。
病気にかかったと思ったらしい。
すごく顔色が悪く、動きも緩慢になっていた。
まず、予言がちっとも細かいことを示してないため、私が何をすればいいのかわかりづらい。
わかりづらいのにどうやったら私が国を支えるなんて答えを出せるの?
そんな大それたこと本当にできる?
国だよ、国。政治家でもないの、私はただの女子高生なの。
失敗したからといってごめんなさいじゃすまない。
人の生活や命までかかってるんだから。
簡単に答えをだすのはあまりにも軽率じゃない?
それに国民がどんな人たちとかさえも知らないし文化も知らない。
王宮での人たちしか見てないし、どのくらいの規模の国かも知らない。
だって街の人たちとか普通の人たちがどんな感じかも知らないんだよ?
知らないことだらけで答え出すってありえなくない?
・・・・・・・。
知らないならみてみよう。
ふと、そう思った。
会って、話して感じてみるのが大事と思う。
多分、本とか調べてみるのもいいかもしれないけど
私の性格上机にすがるより動きたいのよ。
「ねえ、ニコ?お城をでたら城下町ってあるの?」
「あるよ。ここの城下町はいろんなものがそろって
みてまわるだけでも楽しいんだ~。どうして?」
「うん、みて見たいなって思って。しかも、
私ってばれないように見てみたいんだ」
ニッコリと笑って言ってみた私に、ニコは某有名絵画のの叫びのような顔をした。
「な、な、な、なにいってんのよ~!!!」
廊下にもニコの声が響いたらしい。
あわててコーナンが入ってきた。もしかして部屋の前で待機してたのかしら。
あ、レディーの部屋なのに、ノックしてないわよ、それってどうよ。
「どうされましたか?」
「どうもこうもひなたが城下町に行くって・・・・」
「だってね、この国のことを知るのに良い方法でしょ?
この国のことを内面から知らないで国を支えるとか
そんな答えは出したくない。無責任だと思うんだ。ちがう?」
コーナンはびっくりした。
この少女が青い顔をして部屋を出て行った時はやはり少女には無理かと思った。
異世界から来て国王の話を聞いたものの、この若さで全てを理解するのは到底無理だと思った。
なんのゆかりもない国を救うなどといきなり問題を突きつけられるなんて
自分でも無理である。
しかし、この少女の行動は驚いた。
自分が何をするべきか自分ならまず何ができるのか考えているのである。
真っ直ぐな黒髪に白く透き通った肌、細くて今にも折れそうな四肢は
見るからに儚げであった。それに付け加え、溢れんばかりの大きな瞳を見た時、
予言の少女が驚くほど美少女であった事に驚いたのだった。
コーナンはふと、少女の顔を見ると瞳には強い意志みられた。
「しかし、城下町が安全とは言い切れません。また、やつらが襲って来たら・・・」
ああ、あれくらい自分で処理できるよ。最初だって疲れてなきゃ倒れなかったもん」
ニッコリと微笑む少女の口から驚く言葉が出た。
自分で処理するだと?
自分と同じ考えのメイドが自分より先に問いただす。
「ええ??ヒナタが本当に倒したの?動物が助けたんじゃなかったの?」
「一応、護身術は身に着けてるんだ。これでも全国大会優勝者よ」
二人は全国優勝という言葉の意味は理解できなかったが
自信満々に話すひなたが嘘を付いているとは思えない。
力こぶを作って話しているが、腕が細いため信じられない気持ちもある。
「しかし・・・」
「じゃあ、こうしよう。今からあなたが選ぶ腕のたつ人と対戦して
勝ったら行ってもいい?ちゃんと変装もするから」
儚げな少女の口から出た言葉でコーナンは頭を抱えた。
まさか、国王も承諾するとは思わなかった。
きっと無理だと思ったんだろうね。
でも、がんばりましたよ、わたくし。
次の日に剣を練習する場所で試合をする事になりました。
どうやら王族直属の騎士団の中から
ムキムキ筋肉のお兄さん5人相手に素手でやりましたよ。
だって剣は危ないって言われたんだもの。
それにこんな女の子が剣を持って歩くわけいかないじゃない?
だから合気道使って倒しました。
合気道なら自分の力は必要ないし、
相手の力を利用して気の流れを操って相手を倒す。
しかも相手が剣を持っていてもそれをうまくとって自分のものにすることができる技もある。
合気道を知らない相手にこれをやるのは申し訳なかったけどさ。
しょうがないわよね、この世界には合気道ってもんがないんですもの。
フェアじゃないような気がしたけど私だってこの国の流派とか知らないからおあいこだよね。
お兄さんたちをバンバン投げ飛ばしては関節技を決めて
あっという間に五人抜きしました。
審判役のコーナンさんは少し青ざめてました。
だけど約束は約束。私はちゃんと礼をして稽古場を離れた。
そのまた次の日にニコに変装手伝ってもらった。準備は任せて!と彼女が言ったので本当に任せた。
この国の普段服を持ってなかったしニコに任せたら心配ないと思ってしまった。
ニコは町娘的なワンピースを用意してくれた。
だけど黒髪を隠す必要があるからベージュの目立たないフード付きコートを着せてくれ、
フードの中の黒髪は頭後ろでお団子にしてまとめたので、髪が出てくることはない。
そして深めにフードを被せると黒髪と黒い瞳は隠せた。
私は心配そうなニコを尻目に鼻歌歌いながら大きな城壁をくぐり抜けた。
門番の人達は私を見てびっくりしたけど、
多分上からのお達しを聞いていたのかすんなり通してくれた。
顔パスだとは思わなかったけど、にっこり笑ったら通してくれたよ、すごいね。
ニコからせめてお供をと言われたけど、自分で探索したかった。
誰の説明もなく、自分の目でいろんなことを見て回りたかった。
まあ、多分後ろから誰かしら付いてきてるとは思うけどね。
この状況を楽しんでみたかったのだった。
異世界に来て驚くことばかりだけど楽しむことも必要じゃない?
ニコにそう言ったら渋々と「いってらっしゃい」と言ってもらえた。
そして城下町のつくりやお店の説明をしてくれお小遣いをくれた。
高台にある城を抜けてからすぐに城下町となっていた。真っ直ぐだから迷うことはないかな。
帰り道もこれなら大丈夫だろう。
城下町は人でいっぱいだった。あふれてるという表現が正しいかな。
あちこちで呼びかける声がする。城下町に入ってから中央に大きな広場があり、
そこにはとても大きなマーケットがあった。
マーケットは所狭しといろんなお店が並んでる。
食品から洋服、雑貨、ありとあらゆるものが立ち並んでいる。
みんなすごく活気がよく、にこやかに値切ったり、声かけたりしていた。
好きだなぁ。こんな感じ。
下町って感じ・・・というより、夏祭りの夜店みたいな。
きょろきょろして歩いてるとドンっと足元に何かがぶつかった。
下を見ると3歳ぐらいの男の子が泣きそうな顔をして立っていた。
「ごめんね。ぶつかっちゃった。大丈夫?」
としゃがみながら声をかける。
すると、
「おか~しゃ~ん」
と泣き出しちゃった。ああ、もしかして迷子?こんだけ人が多ければしょうがないよねぇ。
「よし、じゃあおねえちゃんが一緒に探してあげよう」
小さな手を引きながら一緒に大声を出してお母さんらしき人を探してもなかなか見つからない。
これだけ混雑してたら見えないよね。
かくなるうえは肩車をして上からお母さんを探してもらおうと、持ち上げた瞬間横から人の手が。
な、なにすんのさ~!!人さらい?
叫びそうになったけど声が出なかった。
だって、その手はなんと国王のものだったから。
彼はその子を肩車して大きな声で親を探し始めた。
すると、遠くから坊やの名前を叫んで駆けつけた人がいた。
無事、親子対面することができた。お母さんはなんども頭を下げてお礼をいう。
男の子はお母さんとあえて安心したのか大泣きしていた。
無事に見つかってよかった。
それから私達はお礼にと、そのお母さんがやっている小さなカフェみたいなところに案内された。
外にあるテラスに二人で案内された。
真向かいに座り、無言の二人。
・・・・・・・・・・・。
なんで、あなたがこんなとこいるのさ。一応、変装してるみたいだけど。
「一応、護衛のつもりです。強いといったからって完全に安全とはいえないですし。
町で迷子にでもなったらどうするつもりでした?
初めて行く場所に案内なしにしかも女性が一人で歩くなんて
ありえません。
あなたの世界では普通かもしれませんがここでは非常識であることを頭に入れてもらわないと」
むむ、私の心が読めるのか。こやつ。
しかも何気に説教されてる、私?
「あなたが考えてることが顔に出すぎなんです。なんでこれであんなに強いのか不思議ですよ、全く」
人が気にしてることを。つうか、この人綺麗な顔して毒吐いてますが。
国王というのはこんなもんでいいんですかね。
「毒でもなんでもないですよ、事実です」
ムキー!!!け、けんかうってる!!
「だいたいこんなところに国王がいていいんですか?
お付の人が探してるんじゃないですか?」
「大丈夫です。私はあなたと違って信頼性があるので」
はぁ?なにそれ、信頼性って。
この前会った時はあんなに紳士的だったくせにそんなこと私に言う?
頭にきて立ちあがり言い返そうとした時、
「あ、あのね・・・・」
「おねいちゃん、食べて!!」
さっきの男の子がお母さんと一緒に飲み物とフルーツを持ってきてくれた。
見たこともないものだけどおいしそう。
慌てて席に座り両手を合わせた。
「ありがとうね、いただきます!!
うん、おいしい。初めてこんなにおいしい果物食べたよ」
「お口にあってよかったですわ。彼氏さんとゆっくりしてってくださいね」
「え、ち、ちがいます!!」
お母さんに慌てて訂正したけどにこやかに奥に引っ込んだ後だった。
「この食べ物がどんなに高価なものかわかるか?」
何となく皮をむいて食べている私にフルーツに手を付けていなかった国王が私に訪ねた。
もぐもぐと食べていた私はあまりの美味しさに目をつぶっていた。
高価なフルーツなの?食べちゃってよかったの?
「え、そうなの?道理でおいしいと思った・・・・」
「この国の人間はお礼のために自分がどんなに貧しかろうと
心からお礼をする。人がよすぎるんだ・・・・」
カウンターの向こうから男の子とおかあさんが私達を見てニコニコと手を振っていた。
国王は手を振り返しながら私に話した。
「うん、なんとなくわかる気がする。町を歩いてても
あたたかい人情みたいなものがよく伝わった。
みんな笑顔でさ、楽しく商売してますって感じで。
笑い声が会ったり顔見知りと話してる姿は全くスレている感じはしなかった。
国民がこんなに心が豊かなのは国が良い証拠だよね」
活気のある街で幸せそうに暮らしてる国民を見ると
上に立つ人がちゃんと祭り事をしてる証拠だと私は思う。
「きっと王様が頑張ってるんだよね」
フルーツを向きながら私はしみじみ思った。
私の独り言は国王の耳にも届いていた。
「ありがとう・・・」
彼はとても照れたようにそっぽ向いてボソッとつぶやいた。
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