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1章
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しおりを挟むなんだ、そんな表情もできるんだ。
綺麗なだけよりずっといいな。人間っぽくてずっといいと思う。
「ねえ、そういえばどうしてずっと敬語なの?
国王ってこの国で一番偉いんでしょ?
なのに何でみんなに敬語なの?」
「国で一番位が高いからと言って偉いわけではないです。
私はまだまだ若輩者ですので。
学ぶことはたくさんあります。
それに権力を振りかざして人を尊敬することを学ばなければ
国を収めることは出来ないと育てられたんです。
どんな人にも丁寧に対応し困った人には手を差し伸べ
悪いことがあれば法を持って取り仕切り国をまとめることが私の使命だと思っています」
真面目な人なんだね。でも何だか肩が凝りそう。
「ふぅ~ん。疲れない?」
「疲れるとかそんな風に考えたことありませんから」
国王はニッコリと笑って返したけどビジネスな感じがした。
「そっか。大変なんだね。国王も。じゃあ、普通にはなせるの?」
「それはもちろん、皆にこんな風に話してるわけではないですから」
「じゃあ、誰になら普通に話してるの?」
「コーナンとロールには。後は、弟と妹ですかね」
ふぅん・・・・。
いいなぁ・・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
違う違う。何考えてんだろ、私。
話題変えなきゃ。
「ねぇねぇそういえば私の自転車はどうなったの?
他の荷物はちゃんと部屋に置いてあったんだけど」
城下町に出る時、自転車を使おうかと思ったけど、なかったのでとりあえず歩いてきたのだった。
このくらいの距離なら自転車がいい。カゴもついてるから荷物乗せれるし。
「ジテンシャ?ああ、あの妙な機械みたいなものですか。
あの機械ならば大きいので馬舎に置いてあります。
どう使うのか、全くわからなかったので壊れているかもわかりませんでした。
あれは何の機械なんですか?」
機械・・・。そうか、そんな風に見えるのか。
機械はあるのに自転車はないのね。
どのくらい文明が発達してるのかわからないけど
移動手段は馬なのかな?馬もどきと言うか。
「あれね、自転車といって移動するのに便利なものなんだ。
今度乗り方教えてあげるよ」
「ホントですか!!」
目をキラキラに輝かせ顔を高潮して国王は向かいから乗り出してきた。
「実は気になって気になって仕方が無かったんです。
絶対ですよ!!」
びっくりしたけど、なんだかカワイイ。
やっぱり男の子なんだな。
機械ものって食いつくよねー。
しかも見たこともないもんだから
すごく気になるよね。
それから私は自転車について質問ぜめにあったのでわかりやすく説明し
彼は先ほどと違った笑顔を見せてくれるようになった。
カフェを出た後私たちはいろんなお店を回った。
お店の人はみんないい人で本当に楽しかった。
「あ~。楽しかった。だいぶ歩いたね」
そういいながら城の門をくぐる。国王に気が付いた門番は敬礼をした。
それに対してニッコリと微笑み、手をあげて通り過ぎた。
「そうですね、私も久しぶりに楽しめました」
「国王ってお休みってあるの?」
流石に週休二日制ではないにしても、せめて週1は休まないとブラック企業みたいじゃん。
こっちは一週間って概念があるかどうかもわからないけどさ。
最初、驚いた顔をして私を見つめてたけど、
急に爆笑された。
あら、綺麗なお顔が崩れてますわよ。
なんで笑うの?変なこと言ってないのに。
「いやぁ、あなたには驚かされてばかりです」
え?そんなへんなことばっかりした?
普通に話してただけだと思うけど。言葉遣い、変だったかしら。
笑いおさまったら、急に王様は立ち止まって私と向き合った。
「今日はもうゆっくり休んでください。
そしてよければ明日この前の返事を聞かせていただけますか?」
綺麗な顔で見つめられながらそんなセリフを言われるとかなーり勘違いしちゃうよ。
何だか告白されちゃったみたいじゃん。
違うけど。
わかってるけど赤面しちゃった。
「わ、わかった」
あまりにも見つめられると耐性がないから辛くなって逃げるように頭を下げて自分の部屋に戻った。
ドアを開ける前に立ち止まり、ふと王様のほうを見る。
彼はまだ私の方を見ていた。
「ねえ、私のことはひなたって呼び捨てでいいから。
それと私には敬語使わないでね。人から敬語使われることに馴れてないし。
あああ!私、国王に向かってタメ口でした!ごめんなさい」
慌てて頭下げると、国王の爆笑している声が聞こえた。
そんなにおかしいこと言ってないんだけど。
「いいです。あなたはそのままでいてください。私もあなたには自然に話せるようにします」
その時点で敬語じゃん・・・。
と、突っ込みたいところだけど今までの言葉遣いを許してもらったもんだから突っ込まないでおこう。
ドアを開けるとニコがテーブルを拭いていたところだった。
「ヒナタ~。お帰り~。無事帰ってきたのね。よかった・・・」
ニコがいきなり抱きついてきた。
そんなに心配かけちゃったのね。ごめんね。
あまり心配してもらうことが少なくなってきた私にとって
とてもこそばゆい感情だった。
夕食はそれはそれは豪華なご飯となった。
一人分じゃないよね的な量でテーブルいっぱいに並べられた。
どんだけ食べると思われてるのだろうか、
もしくは食べれなくてもいいのかわからなかった。
もともと、寮でもみんなでワイワイ食事をすることに慣れている私には
一人で食べるのはとてもじゃないけど耐えられなかったのでニコも一緒に食べてもらった。
本当はメイドとはこんなことしてはいけないらしい。
でも私たちは友達だからいいじゃんといい含めた。
正直、ニコ以外は私に関わっているメイドさんはいないし、
誰も見てないのでバレないと思う。
だって、誰かがいるのに一緒に食べないなんておかしいよ。
この世界にきて体が復活してからの初めてのきちんとした夕食。
待ちに待った夕食。だから一人では食べたくなかった。
やっぱり食卓には誰かと一緒がいいね。
ニコとこの世界の常識と城下町であった出来事を笑いながら話した。
いっぱいしゃべってもう入らないと言うほど食べた。
初めての食材はどれもこれも美味しかった。
やばい、これじゃあ太るな。
その後はニコにしてやられた。
無理やりお風呂に入らされふわふわひらひらのネグリジェを着せられ
早めにベッドに押し込まされた。
髪を解いてもらっている時、こんなひらひら私に似合わないよーと言ったら
鏡の後ろから睨まれた。
「これがいいんです。似合ってます!!」と。
服にあまり頓着がないので言われるように着てた方がいいなと大人しくした。
今日はいろんなことあったからね。早く寝よう。
明日は返事をする日。
答えはもう決まってる。
前に進むのがいちばんだよね。それが私らしい。
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