普通の女子高生が異世界に行っても魔法は使えませんがたくましく生きます。

アオ

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4章

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 セーラー服の襟とポニーテールに結んだ髪が風になびいている。

 肩には竹刀入れを掛けている。

 中には木刀のみ。

 山の頂上の大きな石の上に立って、袂を歩いている人たちを眺める。

 先頭には、ロンとコーナンがカルニンに乗って進んでいた。

 なにやら二人で話しながら進んでいる。

 二人は鎧をつけ、今までみたことない重装備だった。

 戦争に行く服装なんだろうか、私から見れば動きにくそうだ。

 兜と刀を通さない鎧。腰には細いけど長い愛用の刀。

 みな同じようだが、ロンとコーナンは装備が豪華だから遠目でもわかる。

 それにたとえ遠くにいたって、体格や動きで彼らの事は覚えている。

 記憶が少しずつ失われていても彼らの後ろ姿はまだしっかりと覚えていることに安堵した。

 

 

 「ごめんね・・・」



 きっとここからは聞えないだろう。
 
 だけど、謝らずにはいられなかった。

 カイがそっと私の頬に擦り寄ってきて、慰める。

 「大丈夫よ、ありがとう」

 そっと撫でてお礼を言う。

 出陣の支度はわずか数時間で整えらたことに驚いた。

 彼らからするときっと想定内でいつでも動けるように準備していたのだろう。

 ロンは何度も私には城に残るように言って、見張りも何人もつけていった。

 それをこっそりと抜け出すことができたのはきっとみんなが慌ただしく隙があったのだろう。

 

 ロンたちにばれないように先回りしてスターター国に入り込んで戦争を止めなければ。

 みんなに血を流してほしくない。

 偽善者といわれても仕方がない。小娘が何ができるのか、自分に何の力もないことはわかっている。

 小説や漫画でこんな場面あったらこれだからヒロインはとか言ってしまってると思う。

 だけどいやなものはいやだ。

 それにこんな時に何かをするのが予言の少女じゃないのかな?

 このまま守られてるようじゃ、自分がなぜここにいるのか、
 
 こんな異世界によばれてきたのか意味がないような気がする。

 でも・・・・・。

 「あー、ロン怒ってるだろうなぁ。かなーり」

 想像しただけで、あの冷たい怒りで鳥膚が立つけどこればっかりはしょうがない。

 「だって、やっぱり納得いかない。

 それに守られてばかりじゃねぇ。私じゃないでしょ。

 攻撃が最大の防御よ」

 なんて独り言をブツブツ言ってもカイは冷ややかに私を見てため息をついた。

 スターター国にいる国王と魔女の狙いは私。

 命を狙っているのに、わざわざ行くのは狂気の沙汰だって。

 そんなこといったってね。

 おとなしく言うこと聞く私じゃないってみんな知ってるでしょ?

 私はカイと一緒に部屋に閉じ込められた。

 カイの毒素はすっかりなくなってしまったので私の見張り番として一緒にいれられたのだ。

 「カーイー」

 『だめ、こればっかりはダメ』

 ちょっとでも逃げようかとするとカイに首根っこをあまがみでつかまれてベッドに戻される。

 どうしたものか。

 「ねえ、カイ。わかって頂戴。

 私だって行かなくて済むものなら行かないよ。だけど、あの魔女は

 多分私じゃなければいけないような気がするんだ。

 それにカイだって私の力ぐらい知ってるでしょ?

 そんなに私って弱い?」

 『弱くないけど。だけど、だめ。心配。あの魔女、危険』

 カイはあの魔女と実際会ったことあるしね。よくわかってるんだと思う。

 私はカイの目の前に立った。

 「心配なら、カイも一緒についてきて。

 カイが一緒なら私、安心する」

 その言葉でカイは動いてくれた。

 私を乗せて窓から飛び出して、スターター国国境近くまで乗せてくれた。

 国境近くの山は以前も超えたことがあるから、少しはわかる。

 先に発ったロンたちを山の頂上から見送りながらほっと息をついた。

 私がいなくなったこと、まだばれてないみたい・・・・・ね。

 カイに乗ってきた私はカルニンよりも数段早い。

 私がいなくなった知らせが届くのはきっと後になるだろう。

 「さ、カイ。私たちも行こう」

 スターター国はそんなに遠くない。

 カイの足だとあと数時間でつくだろう。
 
 それまでに私の記憶ももてばいいけど。

 途中で、自分が何をしたかったのか、忘れてしまったら意味もない。

 一応、そのために自分が覚えてること自分が持ってきた生徒手帳にすべて書き留めて持ち歩いてる。

 今現在も何かを一つ一つ忘れている不安が常にまとわりついて気持ち悪い。

 「早く解決して、早く記憶を返してもらわないとね」

 カイの後ろに飛び乗り、石崖から森の中へ入っていった。

 スターター国まで早く行かないと。

 


 そんな私たちに全身黒い服を着た何者かがあとをつけていたなんて、もちろん気付いてもいなかった。 







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