普通の女子高生が異世界に行っても魔法は使えませんがたくましく生きます。

アオ

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4章

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 「ルル!!」

 今まで聞いたことがないほどの歓喜の声でアラン王子が一直線に飛びついたところを、ルルはさっとよけた。

 そして隣に立っていたピンを自分が立っていた位置に差し出した。

 ギュウッとアラン王子が抱きついていた頃、

 ルルはロンに満面の笑みで挨拶をした。

 「ようこそ、スターター国反乱軍本部へ」

 「こちらこそ、お招きとご協力ありがとう・・・ございます・・・」

 ロンは戸惑いながらそう言った。

 今日来る事はニコが連絡を取り、戦争を止めるようにクーデターの作戦を立てる予定だった。

 ルルは本部があるルルの仕事場の奥へと進んでいき、

 一同は互いに顔を見合わせとりあえずついていくことにした。

 一番最後から歩いていたニコはふと足を立ち止める。

 「ある意味、かわいそう・・・。王子なのに、関係なく無視されてるんだね」

 アラン王子とピンがなにやら口げんかを始めた。

 ニコはため息をつきながらアランを眺めた。

 多分、しばらくは喧嘩してるな。

 そう判断したニコはロンたちとともに奥へと進み大きなテーブルがある部屋へと出た。

 「さ、早速会議を始めましょう。みんな集まったわね」

 ルルがみんなを見回して叫んだ。100人ぐらいはいるだろうか。

 「やっとこの日が来たわよ。今までみんなよく頑張ったね。

 家族を失ったもの、恋人を失ったもの、自分の大切な人を護れなくて悔しい思いをしたけど、

 もう誰も殺させたりしない。悲しい思いをささせない。

 平和を取りもどして争いのない国にするのよ!」
 
 ルルの言葉に一同が拳をあげ、大声を張り上げる。

 「それから、とても強力な助っ人が来ました。

 フォレット国 ロナルド・ブレギュラー・13世陛下です。

 それと・・・・。あ、アラン!」

 こっちこっちと手招きされて部屋に入ろうとしたアラン王子は喜んでルルの元へ駆け寄る。

 「わが国の第一王子、アラン・カルロス・ローダ様」

 二人を紹介するととたんに部屋の中がざわめく。

 「みんなよく聞いて。もう時間がないの。みんなが知っているように、もうスターター国は

 フォレット国に喧嘩をしかけたわ。

 だけど、フォレット国王は戦争を望んでいない。

 それどころか、私たちのバックアップをしてくださるそうです。

 ここでみんなで協力して戦争を止めましょう」

 スターター国の兵は2万、対してフォレット国はせいぜい1万。

 今、国境にコーナンを中心に侵入を防いでいる。

 しかし、時間があまりない。

 なるべくスターター国の兵士には手を出さないようにしてある。

 怪我をしたら敵味方関係なく直ちに助けるように救護班を充実しており、

 護りに徹底してあるのだ。

 相手を傷つけないように戦うのは、あまりにも不利だが。

 「みなさん、兵士達は国境近くでもう戦いを始めているのです。

 その間に私達が出来ることを考えましょう。

 ルル、現在の内部状況を説明してください」

 ロンの指揮のもと、皆があつまり早速会議となる。

 数グループに別れそれぞれの役割を分担して動くようにする。

 もともと、グループは分割されており、いつでも活動できるように手配されていたのだ。

 ロンの中に早くヒナタを助け出したい気持ちが焦るも、

 国王としてのロンがそれをセーブする。
 
 確実に、でも早急に計画を立てる。

 そして絶対助け出す。

 強い強い想いを込めて皆の前に乗り出した。







 


 
 
 

 







 昔、まだ私が幼い頃、

 何かの大会の決勝ですごくすごく緊張したことがあった。

 そんな時、ある人が私にこう言った。

 「大きなことをやろうとするといろんなことが見えなくなるのよ。

 あなたは、今自分が出来ることをやればいいのよ。綺麗な面を決めることだけに集中するの」

 その言葉に、すごく救われた・・・・・。

 


 今、私が出来ること―――――― 。






 腕が生暖かい。

 今までこんなに大怪我をしたことなかったから不思議な感覚。 

 一歩一歩ゆっくりと歩きながら腕を眺めた。

 カイがお願いだから自分に乗るように何度も薦めてきたけど正直カイの背中にのぼる力もない。

 その力すらないんだ。

 きっと血が流れて力も流れてる。

 親衛隊は私達を見て攻撃しようか戸惑いながら道を開ける。

 やっとの思いで城の大きな大きな入り口にたどり着いた。

 はぁはぁはぁ・・・・・・。

 両手を床について片で息をする。片方の腕は赤く染まっている。

 呼吸するのも辛くなってきた。

 なんだか、目もかすんでいるような。

 まだ、城の前なのに。

 これから乗り込んでいかなくちゃ意味がないのに。

 力を振り絞って立ち上がろうとしても、足も手も言うことをきいてくれない。

 悔しい。

 ギリギリと歯を食いしばる。

 私に今出来る事はもうないの?
 
 ここでこのまま倒れることなの?

 みんなのことを守れないまま、忘れていくの?

 いやだ、そんなのいやだ。

 悔しさがこみ上げてきて、涙が出てきた。

 泣いてる場合じゃないのに。

 「そうだよ、私はこんなところで倒れてる場合じゃない。

 説得して戦争を止めなくちゃ。

 今、私が出来る事はそれなんだ」

 重い重い体を持ち上げドアを片手で開けた。


 


 その先には、国王と東の魔女が立っていた。



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