普通の女子高生が異世界に行っても魔法は使えませんがたくましく生きます。

アオ

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4章

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 「ようこそ、予言の少女。待ってたわよ。まあ後ろにたくさんお供を連れてきたわね」

 ニコリと笑うその顔は、美しいけどおぞましく冷たい。

 「お前が、わが息子を誘惑してさらって行ったのか」

 目を細めて上から見下した言い方は以前あったときと変わらなく太々しい。いや、国王だから偉いんだろうけど。

 しゃべることができなくなった私はひたすらにらめつけた。

 せめてものの意思表示だった。

 「あら、あなた怪我をしてるわね。大丈夫?」

 口ではそう言っていても負傷していることがうれしいんだろう。

 クスクスと笑うと手で口元を隠しながら続ける。

 「まあ、そういっても次第にあなたの痛みすら忘れてしまうでしょうがね」

 人の苦しみが自分の楽しみのように笑いながら話す。

 私の記憶は、どこまでこの人に取られてしまうのだろうか。

 記憶がなくなってしまう前に、この戦いを無くしてしまわないと。

 「スターター国、国王。お願いします。戦争を止めてください。

 アラン王子は、ご自分の意思でフォレット国に来たのです。

 誘拐とかじゃありません」

 やっとの想いで日向は想いを言葉に出した。

 「お願いします。この戦いは意味がないのです。人の命を流すだけです」

 「今更何を言う。アランが誘拐されたなどは後からつけた言い訳に決まっておろうが。
 
 憎きフォレット国をつぶすためのな」

 フォレット国をつぶすため?何言ってんのこのおっさん。そんな力なんかないくせに。

 「あの国はいろいろと利用できることが多くてな。

 利用価値が高いものは何が何でも手に入れて利用する。

 それを手に入れるための手ごまじゃ。

 お前、そんなことも気付かなかったのか。

 異世界の人間はさほど知恵がないのう。

 はっはっはっ」

 自分の息子を手ごま扱いにするなんて・・・・・。

 自分がバカにされたことよりもアラン王子がもの扱いされたことのほうが腹が立った。

 両親に大事に育てられた私には信じられなかった。親というのは子供をもの扱いなんかしない。そう信じてた。



 大事に育てられた・・・・・・?




 不意に両親の思い出が出てこなかった。

 不思議そうな表情になった私を見て、リリはニヤリと笑った。

 「いろんな事忘れてきたでしょう?

 そろそろ、ここのことも忘れてきたんじゃない?

 早く忘れなさい。

 そうしたら私達の仲間にしてあげるから」

 みんなのことを忘れる?

 絶対、忘れたくない。

 キッとリリを睨みながら日向は答えた。

 「あなたは仲間がほしいの?

 そんな風に今まで仲間を作ってきたの?」

 記憶をなくしてから新しい記憶を入れる。

 そうやって人々を操ってきたリリは自分の都合のいい人間ばかりを

 周りに集めていたのだった。

 「ふふ、そんな強がりも言ってられないんじゃない?」

 だんだんと力が入らなくなってきた私はついに片膝をついた。

 あわてたカイは鼻先で支えようと擦り寄った。

 他の動物達は私の手をなめたり、心配そうに声をかけてくる。

 ありがとう、みんな。

 大丈夫。

 まだ、頑張れる。

 ニコリと動物達に笑った。

 「こんなことには負けない。もっともっとみんな頑張ってるんですもの」

 そう、ロンやニコ、コーナンだってみんな頑張っているのだ。

 自分だけがここであきらめるわけにはいかない。

 体は思うように動かなくなってきているが、

 気持ちだけでも、

 言葉だけでも彼らに負けない。

 日向は、リリを見つめた。

 「じゃあこれを見て御覧なさい」

 リリは一つのガラスで出来た20センチほどのボールのようなものを日向の前に出した。

 その中には、色とりどりの煙がグルグルとまわっている。

 虹とはちょっと違うが、

 いろんな色が混ざろうとしても決して汚くなく、
 
 見ていて不思議な気持ちになってくる。

 「あなたの想い出はカラフルで綺麗ね」

 おもしろいものを眺めるかのように片手でボールを撫でながらリリは言った。





 あれは・・・・。




 
 私の記憶・・・・・?。




 今までの私の記憶なんだ。

 あれを取り返さなければ自分でなくなってしまう。

 手を伸ばし取り返そうとした瞬間、

 全身の力が抜け、

 倒れると同時に意識を無くしてしまった。


 



 ロン・・・・・。






 みんな・・・・・。







 ごめんね・・・・・・。




 みんなの注意を聞かずに飛び出して結局迷惑かけ・・・・た。


  

 




 















 
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