カラクリカラコイ

七海

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本との出会い

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2015年7月

夏休みに入りジリジリとくる暑さの中、急な坂道を自転車で登る。
課題である読者感想文を書かなくては行けないからだ。

「っ!きっつ!!」

肩を上下に動かしながら、坂の上にある市の図書館へとペダルを漕いでいく。


もともと、本を読むのが好きだったから小さい頃から来ていたけど、この坂だけは慣れなくて、いつも苦労させられる。。
まぁ、自分の体力量ぐらいわかっているつもりだが。。


坂道が辛い分、ここからの景色には息を呑む。木々の間から見える自分の街、山々が一面に見渡せるのだ。

そしてこの場所は、私一番のお気に入りの所。

図書館の中に入り、さっそく本を探す。
(今年は、どれにしようかな。。)
毎年、悩むのが本選び
うーむ。。

ふと、目に入ってきた本があった。
その本は、他の本と違って1回り小さくて結構年代物ぽかった。
スッと手に取る。本の表紙は無地で黒茶色みたいな色をしてるし、なんかザラザラしてる。

こんな本初めてみた。

パラパラとページをめくる。紙の色も少し抜けていて、難しそうな本。。と思っていたら、ヒラヒラと小さなメモ紙みたいな紙が足元に落ちる。
(なんだろ……。)

落ちたメモ紙を手で拾う。なぜかこの紙は新しい…。メモ紙に何か書いてあった。

【このメモを見ている人へ】

綺麗な字で書かれている言葉に、胸がドキドキした。

私は続きを読んだ。

【私が探している1つの本を探してほしいのです。もし、手助けをして下さる方がいるならば協力してほしい、この紙に何か返事をして本にはさんで、もとの位置に戻して欲しいのです。どうか、お願いします。】

…なに、これ。
本を探したいのならパソコンとか、図書館の人に言えばいいのに。
よっぽど、人見知りなのだろう…。

その時のことは、自分でもよくわからないけれど、なぜかその人の綺麗な字に惹かれたのか、それともただ単に同情心なのか。
ガサゴソとリュックに入っているペン入れからシャープペンシルを取り出し、そのメモ紙に

《私でよければ協力しますよ。その本の名前はなんていうんですか?》

と書き、メモ紙通り元の位置に本を戻してすぐに読書感想文に使う本を選びに歩いた。
実はその時、ちょっと不思議な感じで心の中では、不安と期待でいっぱいだった。
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