難攻不落のオメガ宰相は知らないうちに王の子を孕み王妃にされる

こたま

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「あぁ、暑い、苦しい、はぁ」

 一人で自らを慰める。いくら触って出しても熱が渦巻いて一向におさまる気配がない。
 後ろに充足されない飢餓感があり、指を濡らして入れてみても、長さも太さも全く足りない。
 自分の指では快感が得られず、苦しくなるばかりで涙が滲んで来た。

「メ…イス、あぁ」

 いけないと分かっているのに、子供の頃からのメイソンの愛称を口に出してしまった。
 オリバーはこれまでだれかと肌を合わせた事はない。こんな時に思い浮かべるのは、筋肉質で大きな格好良いメイソンの体と顔。そして、暖かい日だまりのようなメイソンのフェロモンも。

「はぁ、メイス…」



「リヴィ、愛してる。俺の名を呼んでくれたんだな」

 大きな手が顔を撫で、顎に触れた。メイソンの目を閉じた顔が視界いっぱいに広がり、オリバーもまた目を閉じると、そっと唇が重なって離れ、またちゅっと重なった。次に口付けられたときは、顎を少し下に押されると、口を開かれた。
 肉厚の舌がオリバーの口内に侵入してくる。舌を絡ませて、粘膜をたどって、唾液が混ざりあい、ドキドキと胸が震えて快感があがってきた。

「ゆめ…?」

「リヴィ、愛してる。ずっと好きだよ。どうして忘れてしまったんだ?あんなに約束したのに」
「約束…」
「結婚してくれるって言ったよね」
「結婚…」

 
 お互いにまだバース性の定まらない子供の頃。一つ下であるがすでにオリバーより少し大きかったメイソン。
 二人は良く王宮の庭園を走り回ったり、花を摘んで遊んでいた。
 ある日。シロツメクサが咲き誇り緑の絨毯に白い花が水玉模様のように沢山散っているかのようだった。幾つものシロツメクサを摘んでメイソンが花冠を作った。それをオリバーの頭にちょんと乗せると

「かわいい、僕のリヴィ。とても似合うよ。大好きだ」
「ありがとう、僕もメイスが好きだよ」
「大人になったら僕と結婚してください。リヴィを愛しています。永遠の愛を誓います」
「メイス。とても嬉しいけど、僕たちお互いアルファで跡取り同士かも知れないよ?」
「そうかな?僕はリヴィが僕の唯一の相手だと思う。リヴィから、花のようなとても良い香りがするんだ。こんなドキドキする気持ち、リヴィにしか感じないよ。…じゃあ、もし僕とリヴィがアルファとオメガだったら、僕と結婚してくれる?」
「そうだね。メイスがアルファで僕がオメガで、それで僕が王妃にふさわしい美しいオメガになったら結婚しても良いよ」

 
 その頃はお互いにバース性も分からなかった。また互いに後から兄弟が産まれる可能性もあった。一人っ子同士になるとも思っていなかったから、簡単にそんな約束をしてしまったのだ。
 美しいオメガ。それはオリバーが育って大人になった時のことであり、他の誰かを求めているのではない。


「リヴィ愛してるんだ。他には誰もいらない。どうして結婚してくれないの?」
「私は、侯爵家の跡継ぎを産まなければならない。メイスだって宰相なんかしている私ではなく若い王妃を娶らなければ」
「リヴィが王妃になってよ。何人か子供を産めば王家も侯爵家ともに跡継ぎには困らない。全て解決するよ」
「そんなに上手く行くはずがないだろう?」
「それこそどうして?大好きなリヴィに他の人を紹介されて、あまつさえ領地に引っ込むなんて言われて、黙っていられない。もう我慢しないよ」

「ああっ...」

 メイソンの手がオリバーの全身をはい回る。身につけている物を全て取り払い、滑らかな肌を堪能する。

「はあ、すべすべで美しい。リヴィ、誰にも触られたことは無いね?」
「な…い。は、あぁ、もっと」

 肩や鎖骨をなぞり、胸の粒を捏ね、圧しては、弾いて感触を楽しむと

「ああっ、良い」

 オリバーの口から喜びの声が漏れる。色っぽい囁きに力を得て、より一層全身の愛撫に邁進する。どこが良いのか、気持ち良くするにはどうすれば良いのか。オリバーの体を探検するように。

「ああっ、そんなっ」

 起立を口に加え、口内で可愛がったらより大きな声が聞こえた。根元から先まで何度も往復しながら、後ろに指を入れる。前側の膨らみを圧すとびくっと身体が震えて喜んでいる。
 指の数を増やしてゆっくりと馴染ませ、解していくと

「愛してる。良い?」

 答えは聞かずにメイソンは起立を突き立ててきた。はじめはそっと、少しずつ。しばらく待って中の蠕動が自分を引き込むようにうごめくと、徐々に動きを早くする。

「ああっ、メイス、メイス」
「リヴィ、好きだ。出すよ」
「私も…好き」

 長い放出の間、メイソンはオリバーをぎゅっと抱きしめ、キスをした。

 何度も交わり、水を飲まされ、体を清められた。力尽きて眠るとき

「忘れないで、リヴィ。愛してる。もう逃がさないよ。俺のものだ」

 声が聞こえたのではあるが、いつもよりも重く長い発情期にすっかり意識を飛ばし、起こった出来事を忘れてしまったオリバーだった。


 発情から覚めると、何時もより身体が疲れ果て、満足感も倦怠感も感じたことの無いほど深かった。

「あれ?どうして王宮内の部屋にいるんだ?自宅に帰らなかった?」

 身体には微かに違和感がある。清めてあり、さっぱりしていたが、後腔に何となく異物感を感じた。そしてぽっかりと心と後腔に空いた隙間のようなもの。でも自分が誰かと交わることは考えにくい。宰相の自室に勝手に入り込んで無体を働く従者や使用人はいないだろうし。

 違和感に目をつむって入浴や食事をとり、体調を整えた。明日には出勤しなければ。


 翌日宰相執務室に行くと、いつも通りに補佐官達が働き、休んでいた間の連絡が行われた。父に何か頼んだこともないらしく、無事に業務が行われた。報告に安堵して

「そういえば、国王陛下は?休みの前に姿絵を渡したんだけど、何か言っていた?」
「はい、全て送り返すように指示を頂きました」
「そう…誰とも会わないつもりだね?」
「はい。もう姿絵は必要ないと仰せです」
「必要無い?…後で確認する」


「失礼します。オリバーです」
「どうぞ。入って下さい」
「国王陛下。姿絵の返送の指示及び今後はもう必要ないとの指示を出されたそうですが?」

 メイソンは、一瞬目を見開いた。しかしそのあとで、ゆっくりと暗くその目を細めて両の口角を上げた。

「もう、一枚も必要ありません。直ぐに分かるでしょう」
「何を?…」
「どうぞお楽しみに。宰相閣下」

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