ポメラニアンの僕を猫可愛がりしたのは、不機嫌顔がデフォのイケメン上司でした

こたま

文字の大きさ
4 / 6

4

しおりを挟む
 翌日曜日の朝は、それほど遅くならずに目が覚めた。和樹さんがまだ寝ているから、先に朝食を作ってしまおう。

 有るもので、オムレツやサラダとコンソメスープ、フルーツを切って、コーヒーを淹れる。和樹さんを起こしに行ってみようかと思ったら、起きてきた。

「おはよう」
「おはようございます。朝食出来ました」
「ホントに?嬉しいな、ありがとう」

「今日も素晴らしいね。手伝わなくてごめん」
「いいえ、簡単な物ですから。でも食材が残り少ないです」
「そうか。今日は買ってこないとね」
「そうですね。僕も食材を買って帰らなくちゃ。家に何かあったかな?」
「亮くん!今日も良ければ泊まらない?スーツも買ってあるし、明日の朝はここから出勤したらゆっくりでも間に合うよ」
「え?でも、ご迷惑では?」
「本当に泊まって?お願い」

 拝みポーズでお願いされてしまうとまた断りづらい。こんな表情の和樹さんも可愛くて素敵なんて思ってしまった。

「わかりました。でも僕、最近髪を切れてなくて。伸びたのでカット専門店に行こうかと思っていたんです」
「そうか。それなら一緒に行かない?私の行きつけの店を予約するよ」
「今日の今日で予約出来ますか?」
「友人なんだ。大丈夫だと思う」

 早速連絡してくださったところ、開店前に二人、さっと切ってくれると言う。慌てて外出することになったが、一日を有意義に使えそうだ。

「いらっしゃい~」

 大柄で顎髭のあるオシャレメンズという感じの店長さんが、御姉様言葉で出迎えてくれた。

「かわいいこ連れてるぅ~。恋人ぉ?」
「そうだよ。俺のだからな」
「わかってるってぇ。いつも通りで良い?カレシさんはどうする?」
「おまかせで頼む」

 和樹さん、お友達には俺って言うんだ。僕にも、そういう話し方してくれるようになるのかな?

「口は悪いが腕は確かなんだ。任せて良いかい?」
「はい。いつも良くわからなくて、普通に切ってくださいとしか言って無いんです。お願いします」

 二人を、店長さんとスタッフさんで、カットしたりシャンプーしたり、整えてくれた。

「わ。すごい。僕じゃないみたい」
「そうねぇ。元が良いから、楽しかったわぁ」

 綺麗めになった僕が鏡にいた。横の和樹さんは、ちょっと整えた感じであまり変化はないが格好良いのにも変わりない。

「良く似合ってるよ」
「ありがとうございます」

「ありがとうございましたぁ~」

 送り出され、ついでに買い物をして帰り、マンション内のジムで少し走ろうかと決まった。

「スポーツウエアや普段着も含めて、亮くんの物を買い足して。食材も色々買おう」
「そんなにまた買って頂くのは、申し訳ありません」
「良いんだよ。うちに置いておいてね」

 またもあれこれ買い物をして、ついでにカフェで昼食を取り、高級なスーパーで食材を調達した。

「もう、二人の時は名前を呼び捨てしても良いよね。それと、俺って言っても」
「はい。プライベート感がより出ますね」
「うん。さっきの美容師の友人とは、大学時代に同じ嗜好の人が集まるバーで知り合って友達になったんだ」
「そうなんですか」
「うん。実家は中部地方の中小企業経営者で兄が後を継いでいる。亮は?」
「僕は東北の出身です。長兄が農業を継いで次兄が公務員です。僕は末っ子で好きにして良いって言われてます」
「そっか。末っ子で構われてきたんだね」
「そうですね。だから寂しがりやなのかも」
「もう、寂しいなんて言わせないよ」
「ふふっ、嬉しいです」

 部屋で荷物の整理をしてから、走れる格好でジムに。ランニングマシンで小一時間走ってから、部屋に戻ってシャワーをして、二人で夕食を作る。

 買ってきた鶏肉をオリーブオイルとハーブソルトでグリル。野菜を茹でて付け合わせにしたり、バゲットをスライスして、高級スーパーの缶詰めのキャビアやらパテを乗せて。ワインを開けたら立派な食事になった。

「「美味しそう!」」
「亮は、本当に料理上手だね。プロみたいだ」
「いいえ、そんな。奨学金を返すのに頑張って自炊を続けているだけです」
「そうなの?それならやっぱりここに住んでよ。生活費要らなくなるよ?」
「うーん、魅力的なお誘いですねぇ…」
「もう少しで、来てくれそうだね?押しまくるよ」
「あはは。ありがとうございます」

 食事を取りながら古い洋画を一緒に観た。感想を言い合えるのも嬉しい。こんな時間が愛おしく、同棲ってとても魅力的だよ。

「好きだよ」

 和樹さんがキスをして、僕を抱きしめてくれた。頭も撫でて、犬の時みたいに、背中もスリスリとしてくれる。キスが嬉しい。やっぱり同棲しちゃおうか?悩ましいな。

「今日は、一緒にお風呂に入らない?」
「一緒にですか?は、はい」

 最初の時に見てしまったが、和樹さんの身体は格好良い。僕なんて貧相で恥ずかしいけれど、恋人っぽくて楽しみでもある。

 お湯が溜まった音が聞こえた。脱衣所で互いに服を脱いで浴室に入った。シャワーの湯気があっても均整の取れた身体は目に入ってくる。腹筋が割れていて、格好良い。

「おいで」

 和樹さんが僕をバブルバスに誘った。アワアワで香りも良い。二人で入ってもゆったりしている。
 膝に抱いた僕を泡を滑らせるように滑らかに洗ってくれた。首や背中を撫でられると気持ちいいし、こそばゆい。

「あっ」

 僕の小さな胸を指が滑った。赤い果実を撫でたり揉んだり。スリスリされると気持ちいい。小さな雄芯もゆるく立ち上がってしまう。
 僕のお尻に当たる和樹さんの物が、大きくそそりたっているのがわかる。僕を触って興奮しているんだ。

「可愛い。綺麗だよ」
「和樹さんの身体は格好良いです」
「亮はとてもきれいだ。愛してる。もっと触らせて?」

 僕を自分の方に向けて座り直させると、キスをしてきた。今までのような軽いキスを何度かすると、唇が深く重なる。
 厚い舌が僕の口内に入って、舌同士を絡め合う。口の中に気持ちいいところがあるって、初めて知った。ふるっと身体が震えた。

「あ、はぁ…」
「う、あ」

 互いの起立を一纏めにして擦るととても良かった。バブルバスの滑りですごく気持ちいい。

「あっ。出ちゃいます」
「俺も」
「は。あ」

「気持ち良かった…」
「そうだね」
「お風呂、大丈夫ですか?」
「流しておくよ。掃除も入るから心配ない」
「う…それはそれで恥ずかしいかも」
「気にしなくて良い」

 二人で余韻を味わうのも楽しい。ベッドでは、軽く抱きしめられながらおでこにキスしてくれて、幸せな眠りに落ちた。


 翌朝、同伴出勤!?してしまう。近くて朝がゆっくりなのは嬉しいが、部署に二人で入ったとたんに視線が集中してきた。

「え?!」
「うん?」
「あれ!」
「何だ!?」

「奥川君!どうしたの?その髪型可愛いよ。スーツもいつもよりオシャレ」
「おはようございます。初めてちゃんとした美容室に行きました」
「ええ?そうなんだ。とっても似合うよ!」
「ありがとうございます」

 パンパン、と手を叩く音がした。和樹さんだった。いつもの厳しい不機嫌な顔つきだ。

「皆、おはよう。先週末まで、人が少なく負担を掛けて申し訳なかった。私は、今から上に人員増を掛け合ってくるから。皆は通常業務を頼むよ」

「「はい」」

「何だか課長、気合い入ってない?」
「ああ。キレが凄いよな」
「人が増えると良いね」

 その後、和樹さんは、うちの部長、人事部長、常務に社長にと話をつけて、人員増を勝ち取った。

「「わっ!良かった」」
「課長、ありがとうございます」
「今まですまない。皆が早く帰れるように尽力する」

 和樹さんが僕の方を見て、一瞬ウインクをした。ぼっ!と僕の顔が赤らんでしまう。皆、何だか訳知り顔で僕を見ている。何?なんか、バレてる?!

 ワタワタしつつ、仕事をこなした。久しぶりの自宅アパートだ。帰りにスーパーで食材を買って帰宅した。狭い我が家。電気コンロ一つと、外付けのIHコンロ。狭い部屋で頑張って料理をしていたが、和樹さんの立派なキッチンだとはかどるよな、お風呂良かったなと恋しくなってしまう。

「ピロン」

 メッセージを受信した。無事に帰れたかどうか、お疲れ様という和樹さんのメッセージ。ダサ可愛いスタンプを使っているのが愛おしい。もう会いたくなっちゃった。後で通話して声を聞かせて貰えますか?良いよ。何時ごろはどう?と送り合う。

「和樹さん。今日は増員良かったです。メッセージありがとうございます」
「うん。お互いに早く帰れるように頑張ろう。今日はゆっくり休んで。寂しくなったら通話をかけておいで」
「はい。おやすみなさい」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

給餌行為が求愛行動だってなんで誰も教えてくれなかったんだ!

永川さき
BL
 魔術教師で平民のマテウス・アージェルは、元教え子で現同僚のアイザック・ウェルズリー子爵と毎日食堂で昼食をともにしている。  ただ、その食事風景は特殊なもので……。  元教え子のスパダリ魔術教師×未亡人で成人した子持ちのおっさん魔術教師  まー様企画の「おっさん受けBL企画」参加作品です。  他サイトにも掲載しています。

気付いたらストーカーに外堀を埋められて溺愛包囲網が出来上がっていた話

上総啓
BL
何をするにもゆっくりになってしまうスローペースな会社員、マオ。小柄でぽわぽわしているマオは、最近できたストーカーに頭を悩ませていた。 と言っても何か悪いことがあるわけでもなく、ご飯を作ってくれたり掃除してくれたりという、割とありがたい被害ばかり。 動きが遅く家事に余裕がないマオにとっては、この上なく優しいストーカーだった。 通報する理由もないので全て受け入れていたら、あれ?と思う間もなく外堀を埋められていた。そんなぽややんスローペース受けの話

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】神童と呼ばれた後輩に懐かれた。それはいいんだけど、ちょっと懐きすぎじゃない!?

チョロケロ
BL
魔法省で働くロレンスの元に、新入社員がやってきた。その名はキーランと言う。十八歳で子供の頃は神童と呼ばれていた少年だ。 だが、幼い頃から周りにちやほやされていたらしく、もの凄く生意気な少年だった。 そんな少年の教育係になってしまったロレンス。 嫌々指導していたのだが、あることをきっかけにもの凄く懐かれてしまった。ロレンスの家で一緒に夕飯を食べるくらい仲良くなり、キーランのことを少し可愛いと思うようになっていた。そんなある日に、二人の間にある出来事が起こったのだった。 ※ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。 ※よろしくお願いします。

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

お疲れポメラニアンの俺を癒したのは眼鏡イケメンの同期だった

こたま
BL
前田累(かさね)は、商社営業部に勤める社員だ。接待では無理してノリを合わせており、見た目からコミュ強チャラ男と思われているが本来は大人しい。疲れはてて独身寮に帰ろうとした際に気付けばオレンジ毛のポメラニアンになっていた。累を保護したのは普段眼光鋭く厳しい指摘をする経理の同期野坂燿司(ようじ)で。ポメラニアンに対しては甘く優しい燿司の姿にびっくりしつつ、癒されると…

処理中です...