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夏期講習の打ち上げ
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夏休みの夏期講習バイトが終了を迎えた。室長、社員講師、バイトの中で予定の合う人は打ち上げに参加する。毎年恒例で同じ居酒屋が会場らしい。
僕は理人と参加することになった。冬季講習や来年も出来たらバイトして欲しいと室長から求められ、参加をすすめられた。未成年なので飲酒は勿論せず短時間顔を出すだけのつもりだ。
二人で並んで座って、カンパイの合図により烏龍茶を飲んだ。魚の美味しいお店だそうで、お造り、酢の物、唐揚げと堪能する。
美味しいけど、馴れないバイト先の人達とではあまり食がすすまなく、今度は家族で来てみたいなと思う。成人しているバイトや社員さん達はお酒がすすんでいる。
「君たちは恋人同士なの?仲良いよね」
「えっと。産まれた時からの幼なじみです」
「そうなんだ。恋人じゃないなら、俺とどう?」
酔って顔を赤くして、僕の隣に座った年上の大学生が肩をだいて来ようとした。とっさに手を振り払おうとしてしまう。先輩相手に怒らせてしまったかな。でも生理的に無理だ。
「セクハラですよ。飲み過ぎでしたら水飲んでください」
すぐに理人が僕の肩を抱き寄せて先輩から離してくれた。近付くのが理人だと安心するし、嬉しい。
「帰ろうか」
理人が僕にささやき、頷くと
「そろそろお先に失礼します」
理人が声をかけて、僕を立ち上がらせた。
「あ、お疲れ様」
止められることなく外に出られた。店の外に出るとほっとした。生ぬるい風に、お酒やタバコの臭いが混じって落ちなかった。すぅっ、と理人から良い薫りがして落ち着く。やっぱり僕は理人が好きだ。
「理人。ありがとう。やっぱり理人の側にいるのが一番落ち着くし安心する。さっきもありがとう」
「うん、良かった。安心できて」
家のそばまで帰りついた。ここで今話しておきたい。
「僕、理人がモテモテなの、心がチクってささくれ立つんだ。他の人のものになって欲しくない。それに僕はさっきみたいに他の人に触られたくない。理人になら触られたい。理人が好きです。よければ僕と付き合えるか考えてみて?」
「千颯、俺は物心ついた時からずっと千颯が一番大事で好きなものだったよ。近くにいすぎて、あたりまえすぎて、当然ずっと千颯を守っていくと思っていた。でもきれいなかわいい千颯に俺がふさわしいと自信が持てなかった。千颯が好きだと言ってくれるなら、俺は全てを捧げる覚悟はある。千颯、結婚しよう」
「ありがとう。付き合うを超えて結婚してくれるつもりなんだね」
「もう離せなくなる。結婚まで考えて付き合おう」
「うん。ありがとう」
「近すぎてわからなかったけど、運命というものがあるなら千颯しか考えられない」
「そうだね。僕達は産まれたときから運命に選ばれているのかもしれない」
二人で相談して、両家の親を僕の家に集めた。ダイニングテーブルに座る親4人。いつの間にか、みんな指定席になっている。僕達の歴史だな。
「親父、おふくろ、おじさん、おばさん、今日はすみません。話があります。俺達は、今後恋人として付き合い結婚するつもりです。俺達の結婚をお許しください」
「お願いします」
理人に続いて僕も皆に頭を下げる。
「何を今さら。当然そうなると思っていたわ」
「そうよね。付き合ってると思ってたし」
「家の敷地のブロックとフェンスを取っ払って大きい二世帯住宅建てるか」
「アパート併設にして、家賃収入で建てようか」
「老後も両家で安泰だな」
「孫育てもバッチリよ」
「何なら、弘人くんと千菜もカップルにならないかな」
「やだお父さん、今はこの二人のことでしょ。それにカップルなんて今時言うの?」
「まあまあ」
何か親達のほうが話が盛り上がり、すんなり認められた。なんだかな?
僕の部屋で二人
「良かったな。皆、賛成してくれて」
「そうだね。これからもよろしくね」
理人が僕の両肩に手を置いた。おでこ、それから片方の頬に一回ずつ、軽く触れるキスをしてくれた。
最後にお互い目をつむって、唇同士を触れあわせた。どきどき。でもこれがとても自然であたりまえの事だと思った。僕達は産まれた時から両想いだったんだね。理人にぎゅっと抱き締められた。僕の居場所はこれからもここ、君の腕の中だ。
僕は理人と参加することになった。冬季講習や来年も出来たらバイトして欲しいと室長から求められ、参加をすすめられた。未成年なので飲酒は勿論せず短時間顔を出すだけのつもりだ。
二人で並んで座って、カンパイの合図により烏龍茶を飲んだ。魚の美味しいお店だそうで、お造り、酢の物、唐揚げと堪能する。
美味しいけど、馴れないバイト先の人達とではあまり食がすすまなく、今度は家族で来てみたいなと思う。成人しているバイトや社員さん達はお酒がすすんでいる。
「君たちは恋人同士なの?仲良いよね」
「えっと。産まれた時からの幼なじみです」
「そうなんだ。恋人じゃないなら、俺とどう?」
酔って顔を赤くして、僕の隣に座った年上の大学生が肩をだいて来ようとした。とっさに手を振り払おうとしてしまう。先輩相手に怒らせてしまったかな。でも生理的に無理だ。
「セクハラですよ。飲み過ぎでしたら水飲んでください」
すぐに理人が僕の肩を抱き寄せて先輩から離してくれた。近付くのが理人だと安心するし、嬉しい。
「帰ろうか」
理人が僕にささやき、頷くと
「そろそろお先に失礼します」
理人が声をかけて、僕を立ち上がらせた。
「あ、お疲れ様」
止められることなく外に出られた。店の外に出るとほっとした。生ぬるい風に、お酒やタバコの臭いが混じって落ちなかった。すぅっ、と理人から良い薫りがして落ち着く。やっぱり僕は理人が好きだ。
「理人。ありがとう。やっぱり理人の側にいるのが一番落ち着くし安心する。さっきもありがとう」
「うん、良かった。安心できて」
家のそばまで帰りついた。ここで今話しておきたい。
「僕、理人がモテモテなの、心がチクってささくれ立つんだ。他の人のものになって欲しくない。それに僕はさっきみたいに他の人に触られたくない。理人になら触られたい。理人が好きです。よければ僕と付き合えるか考えてみて?」
「千颯、俺は物心ついた時からずっと千颯が一番大事で好きなものだったよ。近くにいすぎて、あたりまえすぎて、当然ずっと千颯を守っていくと思っていた。でもきれいなかわいい千颯に俺がふさわしいと自信が持てなかった。千颯が好きだと言ってくれるなら、俺は全てを捧げる覚悟はある。千颯、結婚しよう」
「ありがとう。付き合うを超えて結婚してくれるつもりなんだね」
「もう離せなくなる。結婚まで考えて付き合おう」
「うん。ありがとう」
「近すぎてわからなかったけど、運命というものがあるなら千颯しか考えられない」
「そうだね。僕達は産まれたときから運命に選ばれているのかもしれない」
二人で相談して、両家の親を僕の家に集めた。ダイニングテーブルに座る親4人。いつの間にか、みんな指定席になっている。僕達の歴史だな。
「親父、おふくろ、おじさん、おばさん、今日はすみません。話があります。俺達は、今後恋人として付き合い結婚するつもりです。俺達の結婚をお許しください」
「お願いします」
理人に続いて僕も皆に頭を下げる。
「何を今さら。当然そうなると思っていたわ」
「そうよね。付き合ってると思ってたし」
「家の敷地のブロックとフェンスを取っ払って大きい二世帯住宅建てるか」
「アパート併設にして、家賃収入で建てようか」
「老後も両家で安泰だな」
「孫育てもバッチリよ」
「何なら、弘人くんと千菜もカップルにならないかな」
「やだお父さん、今はこの二人のことでしょ。それにカップルなんて今時言うの?」
「まあまあ」
何か親達のほうが話が盛り上がり、すんなり認められた。なんだかな?
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「そうだね。これからもよろしくね」
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最後にお互い目をつむって、唇同士を触れあわせた。どきどき。でもこれがとても自然であたりまえの事だと思った。僕達は産まれた時から両想いだったんだね。理人にぎゅっと抱き締められた。僕の居場所はこれからもここ、君の腕の中だ。
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