親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた

こたま

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 食事のお膳がすべて片付けれ、お茶を飲み終わる頃には酔いも落ち着いていた。

「このソファー、夜景が綺麗に見えるね。絢斗もこっち来て」
「うん、隣に座るよ」

 旅館の窓に面したリビングスペースから見えるのは暗い夜空に光る星。地上が明るいから数は少ないものの、雲がなく晴れていたので良く見渡せた。
 どちらからともなく顔を見合わせた二人。絢斗が朔空の頬に手を添えて目を閉じた。ゆっくりと近づく整った顔。いつかの高校の帰りに眩しく見惚れた顔が目の前に迫る。朔空も名残惜しげに目をとじた。二人の唇が重なった。湿り気のある柔らかい温かな感触。初めての口づけに朔空はドキドキしてどうして良いかわからない。

「っ、は…」

 止めていた息を吐き出すと、紅い目をぱちぱちとしばたかせて頬を染めた。顔中真っ赤な朔空に、笑みを浮かべた絢斗。

「かわいい」
「っ…初めてだから」
「うん。嬉しいよ。かわいい、好きだ」

 恥ずかしさに顔を伏せた朔空を、ぎゅっと抱き締めた絢斗。

「ありがとう。どうだった?恋人にしてくれる?」
「…ドキドキし過ぎて苦しい。僕も絢斗が好きだ」
「朔空。愛してる。どこまでたしかめてみる?触っても良い?」
「うん」

 絢斗が朔空を軽々と抱き上げて寝室に運んだ。

「体を触れ合わせて良い?」

 朔空の服を剥ぎ取ると、自分の服も脱ぎ、お互いに肌を触れ合わせて抱き締めた。温かな肌からは愛情が染み込むようで、酔いが戻ってきたように感じられた。
 キスをしながら朔空の体を丹念に確かめていく。滑らかな肌をなぞり、小さな粒を指で探る。

「あっ」
「きれい。可愛い」

 唇と指で左右の飾りを愛し、さらに全身に唇や手を這わし、舌で確かめる。また唇にもどってからは、開いた合間に舌を差し入れた。

「下を触るよ」

 絢斗の指が朔空のものを撫で、育てると自分の起立と合わせてこすった。

「朔空も手を貸して?」

 二人の手を一緒に沿わせて擦ると、先走りで滑りを帯びてくる。

「あっ、あ」「う…」

 二人一緒に放出して、互いの出したものが混じりあった。

「はあ、はぁ…」

「愛してる。朔空、ありがとう」

 おざなりに拭くと力の抜けた朔空をまた抱き上げた。

「お風呂に行こう」

 露天風呂と繋がる内風呂の洗い場でそっと朔空を下ろして座らせると、絢斗はシャワーの湯温を確認して掛け、ボディソープを泡立てた。

「洗うね」

 朔空の体を手のひらが這う。

「ふっ、くすぐったい、自分で洗うよ」
「そう?残念」

 二人とも全身を清めると露天風呂に入った。ぬるめの湯温が気持ち良く、長く浸かっていられそうだ。
 今日は絢斗は朔空と並んでくっついて浸かっていた。

「はあ~、気持ちいい」
「そうだね。空もきれい」
「ずっと、こうして二人で旅行して、生活して、生きていけたら楽しいな」
「うん。仕事も一緒に出来そう?」
「退職の意思を伝えて、引き継ぎするよ」
「やった。ありがとう」
「これからは恋人、仕事もパートナーとしてよろしく」
「こちらこそ、末長くよろしく。最後までのエッチは、勉強しておくから、心積もりが出来たら言ってね」
「わかった」


 朔空の退職が決まり、最後の日。退勤の時間に絢斗は会社のビルの前にいた。荷物が多くなりそうだというので近くのパーキングに車を停めて迎えに来ていたのだ。
 道行く人々や先に退勤した朔空の元同僚女性が絢斗をちらちらと見ている。

「絢斗。迎えありがとう」
「朔空。お疲れ様。半分持つよ」

 朔空が鞄の他に段ボールを抱え、両腕に紙袋をぶら下げているのを見てさっと近づくと、半分以上を受け取った。

「ありがとう。そんなに持ってくれるの?ごめん」
「いや。大丈夫。直ぐそこに車を停めてある」

 そこに、朔空の同期だった女性社員が声を掛けてきた。

「西井さん、お疲れ様。そちらの方は?」
「あ。高校からの親友で、今度一緒に仕事するんだ」
「そうなの。良かったらご連絡先を」
「朔空がお世話になりました。俺達急いでいますので」

 絢斗が言葉を切るようにさっと方向転換すると朔空の背に手を添えて促した。

「あ...じゃ、さようなら」

「絢斗、どうしたの?不機嫌?」
「彼女の興味が朔空にでも俺にでも面倒だなと思って。朔空の会社での様子とか、俺の知らない事を知ってる事にも嫉妬した」
「ふふっ…なんか、絢斗かわいい」
「何だよ」
「好きだよってこと」
「ありがとう。退職記念ディナー予約してあるから行こう」

 本当に急いでいたのか、と納得した朔空を車に案内して、二人は夜のドライブがてら郊外のオーベルジュへ。美味しいフレンチが話題のホテル併設レストランで、以前に雑誌を見て何気なく朔空がいいな、と言っていたのを絢斗は覚えていた。

「朔空、退職おめでとう?」
「そうだね。これからの生活が楽しみだ」
「そう思ってくれるなら嬉しい」
「ずっと計画してたんだろう?嵌められた感はあるけど。僕も幸せ」
「ありがとう。愛してるよ」

 広い窓から海が見えるレストランで、夜の海を眺めながら繊細なフレンチが運ばれて来る。今日のために絢斗もスーツを着用している。
 ワインと料理のマリアージュを楽しみ、ゆったりと寛いだ気分で部屋に向かった。
 知らぬ間に絢斗が用意してあった二人の着替えを持って入った部屋からは、やはり窓から海が見える開放的な浴室がついていた。

「今日は、最後までしたい」
「うん、僕もそう思う」

 お互いに体を繋げることを意識して、準備をしたり知識を蓄えていた。

「俺、先にシャワー借りるな」
「うん、そうして」

 朔空がトイレや浴室で準備をしたり体を洗って寝室に行くと、バスローブ姿の絢斗が防水シーツを敷いたりローションやゴムを用意して、準備万端待っていた。

「ふふっ…絢斗らしい。用意万端だね」
「う…それだけ楽しみにしていたんだよ」

 朔空は、照明を落として近づくと自ら唇を重ねた。絢斗が長い腕を朔空に回し、抱き締めた。二人で深い口づけを交わしながらバスローブを脱がせあった。

 どきどきしていることが触れた胸から伝わる。身体中を触り合い、愛おしむ。

「愛してる」
「僕も」

 朔空を寝かせ足の間に入った絢斗は、前を触りながら後ろにローションを纏った指を這わす。少しずつ中を広げ、1本ずつ増やしていく。
 反応の良いところを探しながら傷つけないよう、苦しくないかと何度も顔を伺い、キスをした。

「もう大丈夫だと思う。良い?」
「うん。来て。キスをしながらが良い」

 後ろからの方が楽だと聞いたが顔が見たかった。キスを繰り返しながら少しずつ進む絢斗自身を感じる。

「入った」
「すごいね、感動する」
「ああ。大丈夫?痛くない?」
「うん、違和感だけ」

 ゆっくり待って、だんだん動き始めた絢斗。朔空の起立を一緒に手と絢斗の腹筋で擦る。

「「!…」」

 声を殺し、二人とも達した。荒い息を整えながら絢斗は朔空を抱き締めた。

「朔空。本当にありがとう。愛してる。幸せ」
「僕も幸せだよ。愛してる」

 絢斗の瞳には涙が滲んで、ダウンライトの光をキラリと反射した。

「長い初恋が叶うなんて、なんて幸せなんだろうな」
「僕も、絢斗が初恋だ」
「最初で最後の恋だよ」
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