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地震とお家
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「響矢、行ってらっしゃい」
「行ってきます。拓海、今日の予定は?」
「うーん。多分、食材を買いに行くかな?」
「そう。気をつけてね」
「うん。響矢もね」
去り際にちゅっとキスをされた。笑顔が眩しくてドキドキしてしまう。
僕は3月末で寿退社をして、結婚式の準備をしながら響矢の住むタワーマンションに同居している。
今は専業主婦一年生として、家事をこなしつつ、来る結婚式に備えている。
結婚式って大変だ。日程、招待状、料理や引き出物。衣装や小道具。
響矢は実家の高輪商事に入社して仕事に励んでいる。手伝えることが無いのが悔しいが、その分家の事や結婚式関連を頑張りたい。
今日はちょっと良い食材や変わったものを探しに買い物に行く予定を組んだ。
面白い食材を含めて予定以上に籠にいれて、レジを通した。
「あ!」
ガタガタ。
「キャ」「わっ」
「オッ!」
籠を持って、詰め込み台に向かう時だった。ガタガタと大きく揺れる。地震だ。
とっさに台にカゴを置いて、柱に手をつく。出入口に近いところを確保して揺れが収まってから周囲を確認した。
火事はない。陳列棚から落ちている商品が少し。しばらくすると、パッと照明が落ちて暗くなった。
外からの光で窓際は何とか明るいが、これだと冷蔵庫は電気が切れたかも知れないな。
「お客様。身の安全を確保してください」
「レジは停電のため現金と手計算の対応になります」
お店の人が声を張り上げて教えてくれた。直前に電子決済が終わっていて良かった。有事には現金決済だ。現金も持ち合わせが必要だな。
一人2袋までの持ち帰り用の氷を頂いて、生鮮食品と一緒に保冷袋に入れた。常温のものは別の袋に。
外に出てみると、周囲のビルから避難している人達が多数いた。
無事を知らせないと心配する人がいる。響矢は、会社で対応に追われているだろう。僕の心配をさせてはいけない。
そうだ。web171。以前使い方を練習したんだった。今いるところ、無事であること。これからどうしようか。
マンションのコンシェルジュさんからの一斉通知があった。停電で自家発電が稼働し始めている。
最低限の誘導灯はつくが、各個人の照明や水のタンクを動かしたりエレベーター等の設備は動かせないとのこと。
ここからマンションまで歩いても、階段で住戸まで上がらねばならないのか。水もないし、電気も無い。
「それなら、お婆ちゃんの家は?」
ここから10km弱である。歩けば2時間、道が悪くても3時間あれば着けるだろう。何より階段を高層階に上がる必要はない。お婆ちゃんとミーの無事を確認したい。
響矢にお婆ちゃんの家に徒歩で向かうとメッセージを入れて歩き出した。
電線が垂れ下がったり、ブロック塀が壊れたり、ガラスが散乱していたり。
歩くには大変な状況である。しかし、安否確認と食材を無駄にしないためには頑張るしかない。
「あと、少し。…疲れたぁ…」
三時間後。祖母宅の前に何とか着いた。
「??」
呼び鈴を押したが鳴らない。停電だからか。
「あ。鍵持ってた!」
最近使って居なかった祖母の家の鍵を探す。そして、鍵穴にガチャと入れたとき
「あら!拓ちゃん!?どうして?」
「お婆ちゃん!!無事で良かった。ミーは?」
「ミーも大丈夫よ?地震に驚いて布団に隠れてるわ」
「お婆ちゃん…良かったぁ。疲れた…」
「拓ちゃん。入って。停電しているけど」
「うん。ただいま」
「ふふふ。お帰りなさい。またお帰りって言えてうれしいわ」
「僕も。ここはやっぱり落ち着くね。ただいま。ミー!ミー?大丈夫?!」
「ニヤー!」
「ミー!ただいま」
「ニャ!?」
僕はミーを抱きしめて、お婆ちゃんに抱きついた。
「お婆ちゃん。食材を買っていたんだ。そうしたら地震で。マンションは停電でエレベーターが止まってるって。こっちのほうが多分近いし、無事を確認したかったんだ。エレベーターも上がらなくて良いから、今日はここにお邪魔させてくれる?」
「まあ、大変だったわね。うちはいつでも大歓迎よ。ね、ミー?」
「ニャァ!」
「食材大丈夫かな?」
「どうかしら?」
「氷、まだ残ってる。良かった。3時間歩いても大丈夫だった」
「良かったわ。うちにはお水やガスボンベやコンロもあるから、その食材を使わせてもらって、ご飯を作りましょうか?」
「そうだね。ご飯食べよう!」
祖母宅にはペットボトルの水や卓上コンロ、ガス缶もあったので買った食材を使って温かい鍋を作れた。
「いただきます」
「美味しい。安心して、涙が出るよ」
「本当ね。拓ちゃんが無事で良かったわ」
「響矢は会社にいるみたい。社員さんと会社で一晩過ごすって」
「そう。ご無事で安心ね」
「うん。僕、一人でマンションにいたら不安だった。お婆ちゃんありがとう」
「こちらこそ」
一戸建ての祖母宅で一晩お世話になった。元僕の部屋はそのまま残してくれていて、布団に入ると安心して眠れた。
翌日、電気が復旧した。
「冷蔵庫の中のもの、大丈夫かしら」
「冷凍食品は早めにたべちゃったほうが良いかもね。開けてないから冷蔵品は多分温度が保ったと思うよ?」
「拓ちゃん、冷凍食品で朝ごはん作るから沢山食べてね」
「ありがとう。一緒に調理しよう?」
祖母とゆっくり遅めの朝食を用意していると、響矢から車でこちらに来ると連絡があった。
「電車が動き始めて社員さんは帰宅しだしたって。響矢が車でこっちにくるって。良い?」
「うちは良いけど、渋滞しそうねぇ」
「響矢の分も作っておこう」
ミーのご飯と人間三人分の朝食。お婆ちゃんとまたキッチンに立つのがこそばゆい。
「出来た!」
「ふふふ。うれしい」
「うん」
「ピンポーン」
「あ、きた!」
「いらっしゃい」
「お帰り。響矢。大変だったね」
「ああ。拓海無事で良かった」
「うん。朝食できたところだよ?響矢の分もね」
「それは良いね。頂きます」
「「「いただきます」」」
「美味しい。響矢、地震で思ったんだけど」
「なに?」
「響矢とお婆ちゃんとミーと、もし出来たら子供と、皆で戸建てに住みたい。何かあっても皆がいれば安心なんだ。どうかな?」
「良いと思う。家を建てよう。お婆ちゃんとミーも一緒に住んで貰える、大きめの家を」
「ありがとう!」
「行ってきます。拓海、今日の予定は?」
「うーん。多分、食材を買いに行くかな?」
「そう。気をつけてね」
「うん。響矢もね」
去り際にちゅっとキスをされた。笑顔が眩しくてドキドキしてしまう。
僕は3月末で寿退社をして、結婚式の準備をしながら響矢の住むタワーマンションに同居している。
今は専業主婦一年生として、家事をこなしつつ、来る結婚式に備えている。
結婚式って大変だ。日程、招待状、料理や引き出物。衣装や小道具。
響矢は実家の高輪商事に入社して仕事に励んでいる。手伝えることが無いのが悔しいが、その分家の事や結婚式関連を頑張りたい。
今日はちょっと良い食材や変わったものを探しに買い物に行く予定を組んだ。
面白い食材を含めて予定以上に籠にいれて、レジを通した。
「あ!」
ガタガタ。
「キャ」「わっ」
「オッ!」
籠を持って、詰め込み台に向かう時だった。ガタガタと大きく揺れる。地震だ。
とっさに台にカゴを置いて、柱に手をつく。出入口に近いところを確保して揺れが収まってから周囲を確認した。
火事はない。陳列棚から落ちている商品が少し。しばらくすると、パッと照明が落ちて暗くなった。
外からの光で窓際は何とか明るいが、これだと冷蔵庫は電気が切れたかも知れないな。
「お客様。身の安全を確保してください」
「レジは停電のため現金と手計算の対応になります」
お店の人が声を張り上げて教えてくれた。直前に電子決済が終わっていて良かった。有事には現金決済だ。現金も持ち合わせが必要だな。
一人2袋までの持ち帰り用の氷を頂いて、生鮮食品と一緒に保冷袋に入れた。常温のものは別の袋に。
外に出てみると、周囲のビルから避難している人達が多数いた。
無事を知らせないと心配する人がいる。響矢は、会社で対応に追われているだろう。僕の心配をさせてはいけない。
そうだ。web171。以前使い方を練習したんだった。今いるところ、無事であること。これからどうしようか。
マンションのコンシェルジュさんからの一斉通知があった。停電で自家発電が稼働し始めている。
最低限の誘導灯はつくが、各個人の照明や水のタンクを動かしたりエレベーター等の設備は動かせないとのこと。
ここからマンションまで歩いても、階段で住戸まで上がらねばならないのか。水もないし、電気も無い。
「それなら、お婆ちゃんの家は?」
ここから10km弱である。歩けば2時間、道が悪くても3時間あれば着けるだろう。何より階段を高層階に上がる必要はない。お婆ちゃんとミーの無事を確認したい。
響矢にお婆ちゃんの家に徒歩で向かうとメッセージを入れて歩き出した。
電線が垂れ下がったり、ブロック塀が壊れたり、ガラスが散乱していたり。
歩くには大変な状況である。しかし、安否確認と食材を無駄にしないためには頑張るしかない。
「あと、少し。…疲れたぁ…」
三時間後。祖母宅の前に何とか着いた。
「??」
呼び鈴を押したが鳴らない。停電だからか。
「あ。鍵持ってた!」
最近使って居なかった祖母の家の鍵を探す。そして、鍵穴にガチャと入れたとき
「あら!拓ちゃん!?どうして?」
「お婆ちゃん!!無事で良かった。ミーは?」
「ミーも大丈夫よ?地震に驚いて布団に隠れてるわ」
「お婆ちゃん…良かったぁ。疲れた…」
「拓ちゃん。入って。停電しているけど」
「うん。ただいま」
「ふふふ。お帰りなさい。またお帰りって言えてうれしいわ」
「僕も。ここはやっぱり落ち着くね。ただいま。ミー!ミー?大丈夫?!」
「ニヤー!」
「ミー!ただいま」
「ニャ!?」
僕はミーを抱きしめて、お婆ちゃんに抱きついた。
「お婆ちゃん。食材を買っていたんだ。そうしたら地震で。マンションは停電でエレベーターが止まってるって。こっちのほうが多分近いし、無事を確認したかったんだ。エレベーターも上がらなくて良いから、今日はここにお邪魔させてくれる?」
「まあ、大変だったわね。うちはいつでも大歓迎よ。ね、ミー?」
「ニャァ!」
「食材大丈夫かな?」
「どうかしら?」
「氷、まだ残ってる。良かった。3時間歩いても大丈夫だった」
「良かったわ。うちにはお水やガスボンベやコンロもあるから、その食材を使わせてもらって、ご飯を作りましょうか?」
「そうだね。ご飯食べよう!」
祖母宅にはペットボトルの水や卓上コンロ、ガス缶もあったので買った食材を使って温かい鍋を作れた。
「いただきます」
「美味しい。安心して、涙が出るよ」
「本当ね。拓ちゃんが無事で良かったわ」
「響矢は会社にいるみたい。社員さんと会社で一晩過ごすって」
「そう。ご無事で安心ね」
「うん。僕、一人でマンションにいたら不安だった。お婆ちゃんありがとう」
「こちらこそ」
一戸建ての祖母宅で一晩お世話になった。元僕の部屋はそのまま残してくれていて、布団に入ると安心して眠れた。
翌日、電気が復旧した。
「冷蔵庫の中のもの、大丈夫かしら」
「冷凍食品は早めにたべちゃったほうが良いかもね。開けてないから冷蔵品は多分温度が保ったと思うよ?」
「拓ちゃん、冷凍食品で朝ごはん作るから沢山食べてね」
「ありがとう。一緒に調理しよう?」
祖母とゆっくり遅めの朝食を用意していると、響矢から車でこちらに来ると連絡があった。
「電車が動き始めて社員さんは帰宅しだしたって。響矢が車でこっちにくるって。良い?」
「うちは良いけど、渋滞しそうねぇ」
「響矢の分も作っておこう」
ミーのご飯と人間三人分の朝食。お婆ちゃんとまたキッチンに立つのがこそばゆい。
「出来た!」
「ふふふ。うれしい」
「うん」
「ピンポーン」
「あ、きた!」
「いらっしゃい」
「お帰り。響矢。大変だったね」
「ああ。拓海無事で良かった」
「うん。朝食できたところだよ?響矢の分もね」
「それは良いね。頂きます」
「「「いただきます」」」
「美味しい。響矢、地震で思ったんだけど」
「なに?」
「響矢とお婆ちゃんとミーと、もし出来たら子供と、皆で戸建てに住みたい。何かあっても皆がいれば安心なんだ。どうかな?」
「良いと思う。家を建てよう。お婆ちゃんとミーも一緒に住んで貰える、大きめの家を」
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