ギャルゲーのヘイトを溜めるクズでゲスな親友役として転生してしまいました。そして主人公が無能すぎて役にたたない……。

桜祭

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第5章 鳥籠の少女

4、想像でダメージを受ける

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教室に入り、タケルと絵美と合流する。
「悪い、悪い」と謝りながら2人に近付く。

「あれ?秀頼、お前どこ行ってたの?」
「あぁ、ちょっとUFO見付けて」
「えぇ!?凄い!それだったらわたしたちも呼んでよ!」
「UFOって何色だっ!?」
「…………グレー?」

口から出任せの嘘に食い付かれて良心が痛みだす。
ごめんなさい、永遠ちゃんに自己紹介してました。

時間差で教室に入ってきた永遠ちゃんが俺と目が合い、にこっと笑ってくれる。
天使……。

「グレーって何色だっ!?」
「灰色」

天使の存在する空間にいつもの2人が存在するミスマッチよ……。
色々な思惑を胸に中学生活が始まった。


ーーーーー


「おっす」
「来たわね」

俺はその日の放課後、帰宅してからまた外へ出る。
津軽と話し合いをするためだ。
最初に話し合って以降、川原が俺たちの相談場所の鉄板になっていた。

「そっちのクラスはどうだった?」
「別に普通のクラスだったわ。ただ、あなたから紹介された谷川さん……」
「あの子を紹介したつもりはないんだが……」
「強烈ね……」

津軽の目がちょっと逝っていた。
相手をして疲れたのかもしれない。
そういうことにしておこう。

「インパクト凄いだろ」
「えぇ……。ヒロイン並みに個性強すぎない?あと、関係ないけど急に『インパクト』とかいう単語が出て驚いたわ」
「じゃあ横文字NGだね」
「そう言って全然横文字NGにしてくれたことないけどね」

谷川咲夜はとにかく掴みどころがない。
悪い子でもないし、面白い子だが毎日会いたくなる子ではない。

「そっちは?オタク歓喜のヒロイン登場でしょ?」
「あぁ、宮村永遠と同じクラスだったぜ。軽く会話もしてみた」
「それで?ゲームクリアした身として気になるんだけど、どんな感じ」
「ざっくりいうなら…………、天使」
「は?」

絵美、理沙、津軽、咲夜と顔だけは良い女の知り合いが多い俺であるが、永遠ちゃんは別格である。

「永遠ちゃんが尊い……、タケルが永遠ちゃんと付き合える可能性あるとか卑怯過ぎる……。すっげー泣きたくなってくる……」
「ま……まぁどんまい。NTRってやつでしょ」
「グホッ!?」

付き合ってないけど、好きな子が友人と付き合ったとか考えるとダメージでかい……。
だってタケルは原作だと、キスして、胸触って、色々触って、ゴニョゴニョだぞ!?

俺死ぬんだぞ!?

「はぁ…………、主人公って羨ましいな……」
「めっちゃ落ち込むじゃーん」
「津軽だって考えてみろ?自分好きな子が永遠ちゃんに取られたとしたら?津軽の知らないところでカラオケ行ったり、花火大会行ったり、2人で手品の話題でイチャイチャしてんだぞ?」
「グホッ!?」
「ほら、ダメージくるだろ」

津軽も想像でダメージを受けた。
どんな男をイメージしているかわからんが、よっぽどなイケメンなんだろう。

「脳が破壊される……」
「わかってくれたか。でもでも、永遠ちゃんに前世の名前で呼んでもらえてホクホクよ」
「はぁ?何あんたヒロインでエンジョイしてるのよ!死ぬって危機感抜けてるんじゃないの!?」

津軽にどんな暴言吐かれても許せるくらいに嬉しい出来事なのである。

「だいたいどうやって前世の名前言わせるのよ?一歩間違うと変な奴に思われるわよ?」
「あぁ。俺の前世の名前、戦国武将の名前だから」
「戦国武将?またテキトーな嘘つい…………、いやそういう名前もあるか」
「そりゃあね。実際秀頼も教科書に掲載されてるし」

否定しようとしたが、目の前の俺自体が戦国武将の名前みたいなものである。

「え?君の前世の名前、戦国武将と同じなの?」
「おいおい、お互い過去の干渉は禁止だろ」
「そ、そうね……。ごめんなさい」

珍しく取り乱しそうになった津軽。
動揺してるようにも見える。

「……そんなわけないか」
「何が?」
「気にしないで。とりあえず永遠は問題を抱えたヒロインよ。頑張りなさいな」
「だよなぁ……」

タケルは動きそうにない。
そうなると俺が動かざるを得ない。
川の流れを見ながら決心を固める。

「やるだけやって、フラグを変えてみるよ。なんかあったらよろしく頼む」
「はいはい、じゃあまたねー」

今日の津軽との作戦会議は終了する。

別に、今すぐ動く必要もない。
しばらくは中学生活もエンジョイするっきゃないでしょ
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