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第5章 鳥籠の少女
46、鳥籠の少女は疑問を持つ
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「宮村の価値は勉強だけじゃない!」
「十文字さん……」
私は十文字さんに封印をしていた私の過去を話した。
目の前でお父さんがお母さんにナイフでめった刺しで殺害したこと。
目の前でお母さんが首を吊ったこと。
勉強だけの人生に嫌だと語ったことにより起こった悲劇。
だから私はずっと勉強をしなくてはいけないんだと、ずっと鉛筆を動かしてきた。
暑い日、汗を拭う時間も惜しんでノートに文章を書いた。
寒い日、厚着をする時間も惜しんで寒さに震えながらノートに計算式を書いた。
そんな人生を十文字さんは、真っ向から否定をしてくれた。
私の人生を勉強だけではないと言ってくれた。
「宮村のことは俺が必ず助けるよ!」
「十文字さん……、ありがとうございます」
最近、私の心が熱いです。
止まっていた時間が炎で照らされているみたいに満たされていく。
私なんか、私なんて。
お父さんが殺され、お母さんに自殺されて、どうして私だけ巻き込んでくれなかったの?と2人の両親に悩んだことがあったけど、今なら生きていて良かったって思える。
十文字さん、とっても素敵な人。
もしかしたら、彼が私の運命の人なのかな?なんて自惚れてみちゃったりする。
私の初恋の人。
「ずいぶんと楽しそうな顔で笑うようになったな」
「……明智さん?」
同じクラスであり、十文字さんが親友とよく語っている明智さんがそこに立っていた。
しかし、いつも教室で見かけるよりも、雰囲気が暗く、別人と間違うほどに纏う空気が違う。
「『宮村のことは俺が必ず助けるよ』だってよ……。くっくく……」
どこから聞いていたの?
何が面白いのだろうか?
それに親友の真面目な言葉に笑うってこの人の神経おかしいんじゃないの……?
「何がそんなにおかしいんですか!?そんなに十文字さんをからかわないでくださいっ!」
「いや、からかっているのは親友のタケルじゃなくて、目の前の宮村に」
「え……?私……?」
「いやー、初めて『助ける』って言われた男性がタケルと勘違いしていると思うと哀れで可哀そうでさ……。二番煎じだと思うと笑う」
「は……?」
「まあまあ、タケルとお幸せにな。真実を知らないまま幸せなハッピーエンドを迎えるのもまた自由でしょ」
明智さんが馴れ馴れしく私の肩をポンポンと叩いて去っていく。
「……」
なんなのあの気持ち悪い人……。
どうして十文字さんの親友を名乗ってるの?
私よりも先に十文字さんを下の名前で呼んでいることがイライラしてくる。
「なんなの、あのゴミクズ……」
普段の私なら絶対に言わない暴言。
しかし、彼相手になら、それくらい言っても罰が当たらないんじゃないかと思うくらいに彼を心の底から軽蔑するし、憎悪する。
「秀頼?」
次の日、私は十文字さんに明智さんのこと質問してみる。
「ちょっと口は悪いけど良い奴だぞ。まあ、ちょっと怪しい連中とつるんでたりもするけどカッコイイし面白い奴だよ」
「そうかな……?」
「1番の親友だよ」
タケルさんは明智さんをベタ褒めであった。
でも、タケルさん視点から見る明智さんと、私視点から見る明智さんは大きな違いがある気がしてならない。
十文字さんと仲の良い異性の人にも明智さんについて相談をする。
「明智?」
「そうなんです。ヨルさんは十文字さんと仲が良いじゃないですか」
「まー、タケルとはかなり付き合いが長いからね」
「だからヨルさんの評価を聞きたいです」
クラスメートのヨルさんは自身の赤い目で私の顔をじーっと覗き込み考え込む。
それからため息を付いて語り始める。
「……はっきり言って、明智に関してだけはタケルを信用するな。多分、お前の勘が正解だ」
「え……?」
「あたしはあいつを信用も信頼もできない。クズでゲスな本性が混ざっている前提で動け」
ヨルさんは真面目な顔をして言い切った。
そんな人から、私の存在が認知されている。
それは表現のしようがない気持ちの悪いものが全身を支配していた。
私はすぐにタケルさんの元へ駆け込んでいく。
「……あいつは、ギフト所持者至上最低のクズでゲスな野郎だ」
―――――
「秀頼が怖い?」
やっぱり怖くなって、私は十文字家に直接やって来てタケルさんに相談をする。
ヨルさんにも忠告をされたことも一緒に伝えておく。
「ヨルがそんなことをねえ……」
「そうなんですよ」
「でも、俺はヨルよりも秀頼を信じたい」
「十文字さん……」
「でも、宮村がそういうなら君を信じるよ」
十文字さんが大きい手で私を握ってくれる凄く安心する手。
この手に私は救われてきた。
「好きです……、十文字さん」
「え……?」
「早い……ですかね……。まだまともに会話をして数日なのに……。惚れやすいかもしれないですね私……」
「俺も……」
十文字さんが赤い顔を見せる。
その反応に『もしかして?』と自惚れの感情が沸いてくる。
「宮村のことが好きだ」
ハッキリと十文字さんは答えてくれた。
キスをする。
そのままお互いに同じベッドで触れ合う。
「永遠」
「タケルさん……」
別にそういう行為はなかったけど、触れ合っているだけで満足だった。
タケルさんは妹の理沙ちゃんやヨルちゃんなど色々な人に好かれている素敵な人だ。
そんな人に私なんかが選ばれていいのかななんて思ってしまう。
明日から彼女としてどんな日常になるのかな?
それを考えて2人で抱き合って眠りに付く。
「いや……、いや。あああああああああああ!!!?う、そ……!?うそうそうそ……、ちがっ!違うわたし……いやあああああああ!?」
「ど、どうした永遠!?」
深夜、私は絶叫した。
一緒に暮らしている理沙ちゃんまでもが飛び起きてくるくらいに大声を上げていた。
「どうした、何があったんだ永遠!?」
「こ、殺したの……」
「な、何が……?」
「お父さんを殺したのは……、私?」
知らない記憶が次々と開いてくる。
『いやー、初めて『助ける』って言われた男性がタケルと勘違いしていると思うと哀れで可哀そうでさ……。二番煎じだと思うと笑う』
明智さんが嘲笑った意味が理解した。
『今日からは俺と絵美の2人が宮村さんを助けるよ』
ゴミクズから同じことを言われていたんだ……。
†
どんなテンションでタケルと永遠のいちゃつきシーンを書けばいいのか迷います。
さらっと『ヨル』という新キャラの登場です。
「十文字さん……」
私は十文字さんに封印をしていた私の過去を話した。
目の前でお父さんがお母さんにナイフでめった刺しで殺害したこと。
目の前でお母さんが首を吊ったこと。
勉強だけの人生に嫌だと語ったことにより起こった悲劇。
だから私はずっと勉強をしなくてはいけないんだと、ずっと鉛筆を動かしてきた。
暑い日、汗を拭う時間も惜しんでノートに文章を書いた。
寒い日、厚着をする時間も惜しんで寒さに震えながらノートに計算式を書いた。
そんな人生を十文字さんは、真っ向から否定をしてくれた。
私の人生を勉強だけではないと言ってくれた。
「宮村のことは俺が必ず助けるよ!」
「十文字さん……、ありがとうございます」
最近、私の心が熱いです。
止まっていた時間が炎で照らされているみたいに満たされていく。
私なんか、私なんて。
お父さんが殺され、お母さんに自殺されて、どうして私だけ巻き込んでくれなかったの?と2人の両親に悩んだことがあったけど、今なら生きていて良かったって思える。
十文字さん、とっても素敵な人。
もしかしたら、彼が私の運命の人なのかな?なんて自惚れてみちゃったりする。
私の初恋の人。
「ずいぶんと楽しそうな顔で笑うようになったな」
「……明智さん?」
同じクラスであり、十文字さんが親友とよく語っている明智さんがそこに立っていた。
しかし、いつも教室で見かけるよりも、雰囲気が暗く、別人と間違うほどに纏う空気が違う。
「『宮村のことは俺が必ず助けるよ』だってよ……。くっくく……」
どこから聞いていたの?
何が面白いのだろうか?
それに親友の真面目な言葉に笑うってこの人の神経おかしいんじゃないの……?
「何がそんなにおかしいんですか!?そんなに十文字さんをからかわないでくださいっ!」
「いや、からかっているのは親友のタケルじゃなくて、目の前の宮村に」
「え……?私……?」
「いやー、初めて『助ける』って言われた男性がタケルと勘違いしていると思うと哀れで可哀そうでさ……。二番煎じだと思うと笑う」
「は……?」
「まあまあ、タケルとお幸せにな。真実を知らないまま幸せなハッピーエンドを迎えるのもまた自由でしょ」
明智さんが馴れ馴れしく私の肩をポンポンと叩いて去っていく。
「……」
なんなのあの気持ち悪い人……。
どうして十文字さんの親友を名乗ってるの?
私よりも先に十文字さんを下の名前で呼んでいることがイライラしてくる。
「なんなの、あのゴミクズ……」
普段の私なら絶対に言わない暴言。
しかし、彼相手になら、それくらい言っても罰が当たらないんじゃないかと思うくらいに彼を心の底から軽蔑するし、憎悪する。
「秀頼?」
次の日、私は十文字さんに明智さんのこと質問してみる。
「ちょっと口は悪いけど良い奴だぞ。まあ、ちょっと怪しい連中とつるんでたりもするけどカッコイイし面白い奴だよ」
「そうかな……?」
「1番の親友だよ」
タケルさんは明智さんをベタ褒めであった。
でも、タケルさん視点から見る明智さんと、私視点から見る明智さんは大きな違いがある気がしてならない。
十文字さんと仲の良い異性の人にも明智さんについて相談をする。
「明智?」
「そうなんです。ヨルさんは十文字さんと仲が良いじゃないですか」
「まー、タケルとはかなり付き合いが長いからね」
「だからヨルさんの評価を聞きたいです」
クラスメートのヨルさんは自身の赤い目で私の顔をじーっと覗き込み考え込む。
それからため息を付いて語り始める。
「……はっきり言って、明智に関してだけはタケルを信用するな。多分、お前の勘が正解だ」
「え……?」
「あたしはあいつを信用も信頼もできない。クズでゲスな本性が混ざっている前提で動け」
ヨルさんは真面目な顔をして言い切った。
そんな人から、私の存在が認知されている。
それは表現のしようがない気持ちの悪いものが全身を支配していた。
私はすぐにタケルさんの元へ駆け込んでいく。
「……あいつは、ギフト所持者至上最低のクズでゲスな野郎だ」
―――――
「秀頼が怖い?」
やっぱり怖くなって、私は十文字家に直接やって来てタケルさんに相談をする。
ヨルさんにも忠告をされたことも一緒に伝えておく。
「ヨルがそんなことをねえ……」
「そうなんですよ」
「でも、俺はヨルよりも秀頼を信じたい」
「十文字さん……」
「でも、宮村がそういうなら君を信じるよ」
十文字さんが大きい手で私を握ってくれる凄く安心する手。
この手に私は救われてきた。
「好きです……、十文字さん」
「え……?」
「早い……ですかね……。まだまともに会話をして数日なのに……。惚れやすいかもしれないですね私……」
「俺も……」
十文字さんが赤い顔を見せる。
その反応に『もしかして?』と自惚れの感情が沸いてくる。
「宮村のことが好きだ」
ハッキリと十文字さんは答えてくれた。
キスをする。
そのままお互いに同じベッドで触れ合う。
「永遠」
「タケルさん……」
別にそういう行為はなかったけど、触れ合っているだけで満足だった。
タケルさんは妹の理沙ちゃんやヨルちゃんなど色々な人に好かれている素敵な人だ。
そんな人に私なんかが選ばれていいのかななんて思ってしまう。
明日から彼女としてどんな日常になるのかな?
それを考えて2人で抱き合って眠りに付く。
「いや……、いや。あああああああああああ!!!?う、そ……!?うそうそうそ……、ちがっ!違うわたし……いやあああああああ!?」
「ど、どうした永遠!?」
深夜、私は絶叫した。
一緒に暮らしている理沙ちゃんまでもが飛び起きてくるくらいに大声を上げていた。
「どうした、何があったんだ永遠!?」
「こ、殺したの……」
「な、何が……?」
「お父さんを殺したのは……、私?」
知らない記憶が次々と開いてくる。
『いやー、初めて『助ける』って言われた男性がタケルと勘違いしていると思うと哀れで可哀そうでさ……。二番煎じだと思うと笑う』
明智さんが嘲笑った意味が理解した。
『今日からは俺と絵美の2人が宮村さんを助けるよ』
ゴミクズから同じことを言われていたんだ……。
†
どんなテンションでタケルと永遠のいちゃつきシーンを書けばいいのか迷います。
さらっと『ヨル』という新キャラの登場です。
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