ギャルゲーのヘイトを溜めるクズでゲスな親友役として転生してしまいました。そして主人公が無能すぎて役にたたない……。

桜祭

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第6章 偽りのアイドル

34、偽りのアイドルは落ちぶれる

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私はまだ未成年。
アパートを借りることやバイトもできないので生活が困っていた。

本名や時期的に『細川星子』の名前を見せると悪い目で見られたが、明らかに顔が違うことでスターチャイルドとは同姓同名と思われた。

世間的にはスターチャイルドと細川星子の2種類しか顔が変化できないというのが固定概念があるようで、全く違う顔を見せれば別人と見てくれるのが救いだった。

●●駅で見かけた。
海外に逃亡した。
自殺した。

色々なうそがメディアを飛び交っていた。

ネットカフェと銭湯の梯子をしていた。
5万程度のお金が尽きるのは時間の問題。
稼げるバイトを探すも、親のいない未成年では働けない。

新聞配達すらさせてもらえない。
お金がなくなる恐怖に堪えられなかった。

「……っ」

達裄さん、もう私人生が積み過ぎて死にたい。
でも、死ぬなと言われました。

それだけは守りたいと思います。














本当に達裄さんに頼らないと生活が出来なくなってしまい1度だけ連絡をした。
『お金がない。働く場所を紹介して欲しい』とだけ伝えるとすぐに了承をしてくれた。
まだ未成年で親の同意なしでは働けない状態だったので本当に達裄さんがいてくれて助かった。

「なんならお金あげようか?」とも言われたのだが、迷惑しか掛けていない分際で受け取ることができなかった……。

巫女さんの知り合いが経営しているメイド喫茶で住み込みのバイトをさせてもらった。
周りの人たちの優しさで私は生活できていた。

そして、男のお客様に媚ながら私はお金を受け取っていた。
仕事をしている間は、スターチャイルドを忘れられた。



しかし、プライベートになると不安で不安で仕方がなかった。

連日放映されるニュースやインターネットはずっとスタチャ一色でメディアが騒ぎ立てる。
それを見る度に惨めになった……。

少し前までスターチャイルドとして偽りのアイドルとして踊って、世界を騙していた代償なのかもしれない。
私がいたポジションは歌も踊りも下手な変な5人組のアイドルグループに盗まれていた。

リーフチャイルドがその知らない5人組のアイドルグループと一緒に踊っていた。

動画サイトでスターチャイルドを検索すると公式チャンネルは削除されていた。
まるで世間からスターチャイルドという汚点を隠しているのがわかる。
最初のギフトによる殺人犯によるお父さんの扱いと同じ。
世の中は隠蔽に溢れた世界だ。

変わりに、スターチャイルドの検索結果には変な動画配信者が『スターチャイルドを救いたい』とか言ってバカにした動画や、『スターチャイルドの●人一家の秘密』といった晒し動画、『スターチャイルドのグッズ100万円ぶん壊してみた』といった過激で不快なもので溢れていた。

コーヒーを飲みながら悔し涙を流す。

スターチャイルドの存在が消えていくのを、まるでコーヒーの湯気の様に消えていくのをただ見送るしかできなかった。










しかし、そんな生活も長くは続かず21歳の時にメイド喫茶が経営難で潰れてしまい、私は住みかを失う。

私はすぐにこれまで貯めたお金を使いアパートを借りた。
今度は達裄さんに頼らずに時給の良い仕事を探していたらキャバクラの仕事を見付けた。
キャバクラではとにかく男性受けしそうな顔に変えて男に媚びまくった。

男を媚びる方法はスターチャイルドとメイドの仕事で完璧にマスターした。
どんな仕草で男性の目を引き、男が女にどういうところに反応するのか、息を吸うように簡単に答えを導きだす。

自分にとって最高の天職だった。

結婚は既に興味がなかった。
過去の負い目もあった。
明智の血なんか増やす必要はない。
すべて私の代で終わらせる。












ひたすら男に金を貢がせる卑しい女になった。


ある日、思い付きで元の顔に戻す様に念じたが、既に忘却の彼方にあった細川星子の顔にはらなかった。

もう、自分の顔を思い出せないからだ。
私の本当の顔はいつの間にか消えていた。
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