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第一章 毒娘、冒険者になる
12:冒険者稼業は順調ですが決して危険がないわけではありません
しおりを挟むゴブリンとの死闘(笑)から五日間が過ぎた。
今日もいつものように朝一番から動き出す。
「おはよーございます、おねーさん」
「おはよーシェラちゃん、行ってくるね」
「おみやげのウサギ肉、期待してます!」
「あー、まぁ見かけたらね」
受付に座るシェラちゃんに声をかけ、宿を出る。
まずは冒険者ギルドだね。
朝一のギルドはいつも混んでいる。少しは慣れて来たけど、やはり十歳少女としては人混みが辛いのだ。
背が足りない。視界が狭い。
で、とりあえずEランクの依頼ボードに目を通す。
あ、そうそうEランクに昇格しました。
昇格条件は『討伐依頼五件を含む、Fランク依頼の二〇件達成』という事で、昨日昇格した。
オーフェンの周辺は、常設依頼のゴブリンや角ウサギ、スライムとかが出る。
少し街から離れればもっと強い魔物がいるらしいけど街の近くならFランクでも狩れる魔物ばかりだ。
それと毒草の採取依頼もFランク。
薬草採取もあるんだけど、私の場合、毒草のほうが見つけやすいしね。<毒感知>様様です。
そんなわけで、毎日毒草を採取し、ゴブリンと角ウサギを狩りまくった結果、無事昇格できたとさ。
ポットさんからは討伐依頼を受ける前にギルドで戦闘講習があるって聞いてたけど、結局受けていない。
いきなり依頼も受けずにゴブリン六体分の耳を持ち込んだのが原因なのか、私の職がそれ相応と判断されたのかは分からない。
何にせよ講習を受けるどころか、案内もされないままEランクへと上がった。
まぁスキルの考察と、身体の慣らしが主な目的で、結果としてそこそこの数を倒してしまったというだけなんだけどね。
お金も稼ぎたいし丁度良かったですよ。
レベルも上がってるよ。
―――――
名前:ピーゾン
職業:毒殺屋Lv4(+2)
装備:武器・鉈(攻撃+0)
防具・布の服(防御+5)
皮のブーツ(敏捷+3)
布の外套(防御+5)
HP:37(+11)
MP:42(+11)
攻撃:20(+5)
防御:4(+1)(+10=14)
魔力:20(+7)
抵抗:8(+3)
敏捷:50(+13)(+3=53)
器用:27(+5)
運 :8(+3)
スキル:毒精製Lv1(衰弱毒)、毒弾Lv1、毒感知Lv2(+1)
―――――
めでたく防御が1上がりました! やったぜ!
まだ【無職】の時の方が多いんだけど!
やっぱある程度ランダムっぽいんだよね。
テーブルが決まってて確率で変動するみたいな。
<毒感知>も上がったけど感知範囲が半径20mくらいになっただけのような気がする。
感知できる毒物が増えたのかは分からない。要検証です。
「うーん、Eランクはウルフ、ワイルドコッコ、キャタピラー、スケルトン、コボルト……見た事ないやつばっかだなぁ。そもそもFランクの牙ネズミとか青トンボとかも見た事ないし」
街から離れないと居ないのか、もしくはダンジョンに居るのかな?
あ、私Eランクになったからダンジョン入れるのか!
……いや、まだ慌てる時間じゃない。
武器なしでソロでダンジョン攻略とか死ぬでしょ、普通に考えて。
とりあえず街の周りで地道に鍛えよう。
「おはようございます、ピーゾンさん。あらEランクになったのにFランクの『毒草十本採取』と『角ウサギ三体討伐』でいいんですか?」
「同じランクの上下一つずつまで大丈夫なんですよね」
「ええ、ピーゾンさんですとD~Fランクまでが可能です。ただEランクの方がFランクの依頼を成功させても昇格評価はされませんが」
Dランクへの昇格条件は『Eランク依頼の一〇〇件達成』。
いくらFランクの依頼数を稼いだところでDランクには上がれないという事だ。
ちなみにDランクの依頼を一つこなすと、Eランク二件分と見なされるらしい。
私は「大丈夫です、問題ない」と答え受理してもらった。
ある程度お金を貯めて王都に向かうつもりだし、そこからせめて防具とか揃えて、死ぬ危険性を少しでも下げた状態で、ちゃんと″冒険者″したいのだ。
今はお金を貯めるのと身体を鍛える・慣らすので精一杯です。
ただでさえポーションと解毒ポーションを完備する絶対安全スタイルでいるんだからね!
私知ってるんだよ! 私以外のFランク新人少年少女は解毒ポーションなんか買わないって!
そりゃそうだよね! 毒持ちの敵となんて戦わないだろうし!
毒草じゃなくて薬草採取するだろうし! 私、常に十本キープしてるんですけど!?
まぁそれはともかくギルドを出た私は一路街外へ。毎日通っている慣れた道だ。
私がいつも使ってるのは南門。我が故郷ファストン村から来る方角。
こっちの方はそれこそゴブリンとか角ウサギとかしか出ないし、毒草もちらほらある。
現状の私にはうってつけなのだ。もう少ししたら別の方角も行ってみたいんだけどね。
南門から出て東側にすぐ見える森へ入る。かなり近い。
オーフェンの南門からファストン村方面へと続く道は平原に敷かれていて、そこだとあまり魔物は出ないらしい。
やっぱ森とかの方が出やすい。と、私のたった五日間の経験則だ。
「げえっ! スライム!」
森に入って最初に遭遇したのは木の根元に蠢く半透明のゼリーっぽいやつ。
ちなみに私の天敵である。
スライムは毒が効かないのだ。<毒弾>を撃ちこんでも全く反応なし。
普通の魔法であればダメージが通るはずなんだけど、私の毒は全然効かない。
だからスルーします。別にこいつ襲って来るわけじゃないし。
近づいたり攻撃したりしなければ問題ない。
万一攻撃されても逃げるのは容易いのだ。
そんなこんなで<毒感知>で毒草を探しながら、時々見つけたゴブリンや角ウサギを相手に回避練習という名の毒殺を繰り返す。
背嚢に入れて来た麻袋に、討伐証明用のゴブリンの耳、そしておみやげ用で血抜きした角ウサギを三羽ほど入れると結構な量になる。
ちなみに、やろうと思えばウサギの解体とか出来ます。食堂のお手伝いしてたからね。
料理自体はお手伝い出来なかったけど、肉や皮を捌くのはやってたのですよ、ふふん。
「肉はこんなもんでいっかな。後は回避練習と討伐証明だけでいいね」
ウサギの討伐証明はEランクとなった今、提出しても昇級に関する貢献ポイントには意味ないからね。
常設依頼じゃないし。もっと依頼受けていればお金貰えたけど三体分しか受けていない。
せいぜい解体して毛皮の買い取りをお願いするくらいだ。
だったら宿でおみやげついでに解体してもらったほうが楽だしね。
それからしばらく回避練習を行う。
色々なシチュエーションで練習しようと、あえて足元が悪い森の中や、河川敷の小石の上など、ゴブリンをおびき寄せて練習する。
勘を取り戻し、今の身体にアジャストさせる。
ゲームと現実の違いを身体に覚えさせる。
レベルが上がるたびに【敏捷】が急激に上がるのも実は結構つらい。
職補正なんだろうけど、少しは【防御】に回して欲しい。
ステータスと感覚をアジャストさせるために練習が必要なのだ。
加えて持久力の鍛錬にもなると思う。実際体力ついてきたって実感あるし。
そんなこんなで河川敷の青空の下、いい運動をしていたわけだが……
「グギャアアア!!!」
突如聞こえた魔物の咆哮に私は驚き、その声の出所――空を見上げた。
聞いた事のない声に私は警戒し、その姿を見る。
頭上約30m。それは青っぽい身体をした大きな鳥だった。
……いや、鳥か?
体表を覆っているのは羽毛ではない……鱗?
まるでプテラノドンのようなフォルム。鳥のような爬虫類のような魔物。
体長5mほど、翼を広げた横幅は10m近いのではなかろうか。
そんな魔物が空から私を見つめ近づいてきたのだった。
――それは劣化とは言え竜種に分類されるもの。
「ワイバーン……!?」
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