ぽぽぽぽいぞなぁ!~物騒すぎるジョブになっちゃったので、私、スローライフは諦めます~

藤原キリオ

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第一章 毒娘、冒険者になる

11:新人冒険者なので安全性を求めるのは当然です

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 ゴブリンとの死闘(笑)を制してから、私はゴブリンの右耳をはぎとり、死体には適当に土をかけ、すぐにオーフェンの街へと戻った。

 冒険者ギルドに行って依頼ボードを見れば、ゴブリン討伐は常設依頼として貼り出されていた。
 つまり、いちいち受注手続きをせずとも報告だけすればいいって事だよね。
 と、いうことで『報告窓口』でゴブリン討伐の報告をする。

 依頼内容としてはゴブリン五体分の右耳で銀貨三枚。約三千円と非常に安い。
 新人冒険者が命をかけて戦い、なんとか五体倒しても一日の宿分くらいにしかならない。

 こりゃランクが上げられない固有職ユニークジョブが強制連行されると言うのも頷ける話だ。
 まぁだから街内のお手伝い系の依頼とか、薬草採取系がFランク依頼に多いんだろうけどね。

 今回、私は六体倒したんだけど、五体単位で精算されて持ち越しとかできないらしい。
 一体分の耳を持ち続けるのも腐りそうなんで、六体分提出の五体分のみ精算という形にした。処分してくださいと。

 ついでとばかりに「講習も受けずに討伐するなんて」と図書委員さんに怒られた。
 やっぱポットさんの言う通り、新人が討伐依頼というのは本来しちゃいけないらしい。
 すでに討伐しちゃった後だから仕方ないという感じだったけどね。
 不可抗力なんですよ? 予定外なんです。


 そんなこんなで一度宿に戻り固いベッドにダイブする。
 戻って来た時にシェラちゃんに「もう!?」って顔されたけどしょうがないよね。
 出て行ってから帰ってくるまでが早すぎるもんね。

 何はともあれ、身体を休め、今一度冷静に先ほどの戦闘・スキル考察を振り返る。


♦スキル面

 <毒感知>は半径10m以内の『毒』を感知できる。
 決まった『毒』のみ? 感知できない『毒』もある?
 以後戦闘中に<毒弾>を当てた相手にも使う予定。

 <毒弾>は野球ボール大の毒液を剛速球で放つ魔法?
 相手は『状態:衰弱毒』になり十秒毎に10固定ダメージ(被験者・私)。
 時間経過で解けるのか不明。当てた敵が『毒』になる確率も不明。

 また、帰り道での検証結果、木や水は『毒』が効かないらしい。
 <毒弾>を当てて<毒感知>を使ったが検出されなかった。
 おそらく生物限定。瓶などに毒液の保存も不可。生物に接触しないと消える。

 <毒精製>は帰り道で使っても何も起こらなかった。
 おそらく<毒精製>で作られた衰弱毒を<毒弾>で撃っているという扱いなのでは。
 つまり<毒精製>のレベルが上がり、別の『毒』が精製可能となった場合、<毒弾>の効果も変わるのかもしれない。


♦戦闘面

 まずポーションホルダーの入手が急務。
 背嚢に入れっぱなしだと全く使えない。腰に下げるタイプのものを探す。

『クリハン』での疑似戦闘経験はかなり活かせる。少なくとも頭では分かるし目でも追える。
 身体はぎこちないながらも身に着けた回避技術は使えた。
 しかし少女の身体と片手に鉈というスタイルによりバランスがだいぶ違う。要修正。

 当然だがゲームと現実世界では細かいところで相違点が多すぎる。
 体力の問題もあるし汗が目に入る場面もあった。地面の小石が邪魔に感じる場面もあった。
 服の衣擦れやブーツの履き心地、ステータスによる動き方の違いなど、気を付ける所・アジャストが必要な所が多い。

 そして最後にやはり戦闘で鉈は使えない。
 相手の攻撃を捌くくらいしか使えない、と言うか捌いた所で破損する可能性が高い。″武器″じゃないし。
 現状は回避行動時のバランサー的な意味合いが強い。



 とりあえずこんな所だろうか。
 まずは<衰弱毒>についてより詳しく知る事と、身体の動きを慣れさせる所からかな。

 ま、今日はもう戦いたくないけどね。
 ポーションホルダーだけ買いに行こう。そんで寝よう。





 道具屋に行くついでにオーフェンの街をぶらついてみる。
 時間もあるし、王都に行く前の仮拠点となるのだから見ておいて損はないでしょう。
 もちろん気晴らしも兼ねている。大いに。


 大陸の中央部に位置するジオボルト王国は、山や森などの緑が多く、面積だけなら隣の帝国をも上回ると言う。
 どちらかと言えば縦長の国土。
 その南方に位置するオーフェンは南部の中心とも言える大都市なのだ。

 南部の街村へと続く交通の要所であると同時に、流通の要でもある。
 山や森から各街、各村が集めた素材や食材、様々なものがオーフェンへと集まる。
 逆に北にある王都方面から送られてくるものもある。

 そうした都市だからこそオーフェンはこれほど活気があり、様々なものが売られ、人々が集まるのだ。


 今まで村社会で生きてきた私としては、色々と衝撃的な所もある。
 もちろん転生前の日本を知っているので文化レベルの低さや不自由さはあるが、それでもファストン村と比べると天地の差。
 お上りさんの如く、何となく色々と目で追ってしまうのだ。


(しっかし色味がなぁ……)


 これだけ人と物に溢れているのに、圧倒的茶色感。茶色でなくても、どれも渋い。
 パステルカラーとかビビッドカラーとか、そういった染色は無理なのだろうか。

 いくら私に前世知識があっても染色技術など分からない。
 知識チートしてでもカワイイ色使いのものが欲しいんだけど……染色は無理だ。
 藍染めが『藍』って植物を使うのは知っているが、その姿形も知らないし、そもそもこの世界に『藍』があるのか分からない。
 あっても『〇〇草』みたいなこの世界特有の独特な名前になってそう。

 これほどの大都市で、これだけの人数が居て、それでもお目に掛かれないって事はパステルカラーとか自体が存在しないのかもしれない。

 うーん、いざとなれば白一色でオーダーメイドするしか……。
 いや、ゲームじゃあるまいし白とか汚れが目立ちすぎるでしょう……。
 いや、魔法技術による防汚加工でワンチャン……。


 そんな悩みを抱えながら大通りを歩き、冒険者ギルド近くの道具屋へとやって来た。
 ここは最初に初級ポーションを買ったとこだね。
 初級解毒ポーションもここで買ったんだけど、どうやらFランクの初心者で解毒ポーションを買う冒険者とか居ないらしく、だいぶ驚かれたんだよね。

 店の中には数人の冒険者、受付には恰幅の良いおばちゃんが居るので突撃する。


「おや、またポーションかい?」

「覚えてたんですか?」


 そりゃ昨日来たばかりだけど、結構冒険者が入っている店なのに、よくこんな小娘一人を覚えているもんだ。
 店員の鑑だね……と思ってたらどうも違うらしい。


「ははは、そりゃ最初からあんだけポーション買うんだ。忘れるわけないだろう?」

「はは、えっと、今日は腰に付けるタイプのポーションホルダーと、初級ポーション三本、初級解毒ポーションを五本下さい」

「五本!? あんた昨日も五本買ってただろう? そんなに買っても使いやしないよ?」

「念の為ですよ、念の為。採取も安全にしたいんでね。はははっ」


 昨日も同じような言い訳をしたんだけどね。
 薬草採取で間違えて毒草を切っちゃうと毒るらしいし。
 まぁ<毒感知>で毒草の選り分けは大体出来るんですけど。


「はぁ……まあ初心者が安全にってのは悪い事じゃないからいいんだけどね。初心者らしからぬ用心の仕方って言うか、とても十歳には見えないよ、あたしには」


 ははっ、やだなぁ、十歳の少女ですよ、私ピーゾンよろしく、ははっ。

 ……愛想笑いのまま店を出た。


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