ぽぽぽぽいぞなぁ!~物騒すぎるジョブになっちゃったので、私、スローライフは諦めます~

藤原キリオ

文字の大きさ
39 / 171
第一章 毒娘、冒険者になる

32:元村娘ですがやっと王都に着きました

しおりを挟む


「……弱くね?」

「うそっ! 攻撃+50だよ!? 超強いじゃん!」

「いやいや、魔剣って普通もっと強いから。50ってあれだぜ? ミスリルのちょい上くらい。せめてアダマンタイトより上くらいでないと……だって魔剣だぜ?」


 うわぁ、そう聞くとしょぼい……。
 そう言えば私の敏捷も素で三桁だわ。
 あかん、超強くなったって浮かれてたのに凹んできたわ。


「まぁ武器が装備できたって事で万々歳じゃねーの? やっと攻撃できるんだし」

「そ、そうですよ、ピーゾンさん!」

「モグモグ」


 そうだ。これで物理ダメージ出せるようになったんだ。それは本当に喜ばしい!
 ポロリンもフォローしてくれてるし素直に喜ぼう。
 ただしネルト、おめーは何を食ってんだ。ジャーキー? ああ、まだ残ってたのか。それオヤツじゃねーから。


「しかし腰にぶら下げるの無理があるよな」


 完全に特大剣サイズの大鉈は、鞘もない。
 山賊の荷物にあった布で刃をぐるぐる巻きにして、紐を刃と柄の部分に括り付けて、たすき掛けにしている。
 私の前にも後ろにもニョーンと伸びている状態だ。邪魔なんだけどね。


「だって背負ったら背嚢が背負えなくなるし」

「にしたってその状態でも抜けないだろ。鞘は武器屋で発注するとして、背嚢も″魔法の鞄″とかにすればいいんじゃね? あれ腰に付けるタイプあるし」

「″魔法の鞄″なんて高いでしょう。私見たこともないよ」

「そ、そうですよ。うちでも扱ってなかったですし、オーフェンだと高級商店だけです」


 ポロリンが追従する。道具屋でお手伝いしてたから相場とか詳しいんだよね。
 ちなみにアレです。アイテムボックスの劣化版。
 容量制限あり、時間経過あり。それでも超高価らしい。


「王都は人もモノも集まるんだよ。【付与士】も結構いるからオーフェンよりは安くて種類も多いぜ? ま、それでも″魔法の鞄″だからそれなりにするがな。ピンキリだ」


 ほう、それじゃ色々と買うついでに探しましょう。
 買うものリストに鞘と魔法の鞄を追加。

 ポロリンの装備も見たいし防具も見たい。
 山賊の荷物にあったお金と宝石類で資金がどれだけになるかだなー。
 いやぁワイバーンと山賊に感謝だね。それで足りるか分からないけど。


「とりあえず柄の部分も布で巻いておけ。魔剣ってバレると狙われるぞ」

「えっ、盗まれる!? いや、ポロリンに渡しても装備できなかったし、私専用なんじゃないの?」

「お前専用だから、お前の命が狙われるんだよ。殺せば使えるだろうが」

「「うわぁ……」」


 ただでさえ固有職ユニークスキルだからって拉致られたのに、今度は魔剣欲しさに命狙われるのか……。
 村で平和に暮らしたい……。
 装備出来たから浮かれてたのに、どんどん気持ちが沈んでいくのは何でだ?





 そんなこんなで洞穴から王都へと四人で出発した。
 どうやらここは宿場町から少し離れて王都寄りの山中らしく、街道からは外れているとの事。案内なかったら絶対ムリだね。


「て言うか、おっさんはどうやってココ見つけたの?」

「おっさんじゃねーし。宿場町でお前らが行方不明って分かったんだけどな、どうしたもんかと悩んでたら近くにヤツらの見張りを発見したのよ。んで後をつけたってワケ」

「へぇ、よくそいつらが犯人だって分かったね」

「そりゃお前、勘だよ勘」


 怖いわ、このおっさん。
 それで違ってたら私たちに辿り着けないじゃん。
 むしろ見張ってた山賊に感謝だよ。


「つーかな、あいつら山賊じゃねーんだわ」

「「えっ」」

「お前ら関係者だから話すけど、あいつら固有職狩りユニークハンターっつって言わば外国の秘密組織だな」

「「秘密組織?」」


 おっさんの話だと、レアな固有職ユニークジョブをジオボルト王国から攫い、自国の戦力にする外国の人さらい集団があるそうだ。

 固有職ユニークジョブには当たり外れがあるものの、当たりであれば極めて強力な武力と成り得る。
 王国の戦力を削ぎ、自国の戦力を増やす、手っ取り早い方法が固有職狩りユニークハンターなのだとか。

 毎年この時期になると全国から王都へと『職決め』で固有職ユニークジョブとなった十歳児たちが集まる。
 だから狙われやすいと。


 じゃあなんで易々と拉致られてんの、って話なんだけど、ここ十数年くらいは固有職狩りユニークハンターは現れなかったらしい。
 それ以前に捕らえまくって撲滅したかと思われていた。
 それが今年になって復活……まじか。間が悪い。


「昔のヤツらはお隣の帝国だったんだけどな、今回のヤツらがまた帝国なのかどうなのか……まぁ王都の取り調べ次第だな」

「あいつら″本隊と合流″って言ってたよ? 後から来た五人が″本隊″なのかと思ったけど……そうだ″明日に本隊と合流″って言ってたわ。じゃあ違うのか」

「マジか! うわぁ……昨日じゃん。取り調べで吐いててくれるのを祈るしかねぇか……」


 念の為、おっさんも情報を伝えたいと、私たちは少し早足で王都に向かう事にした。
 森の山中をひたすら進む。
 私とポロリンは大丈夫だけど、ネルトは平気だろうか。
 やっぱ戦闘職じゃないとキツイだろうなぁ。


「ネルト大丈夫?」

「ん」かっくん

「ネルトは王都行ったら学校行くの?」

「んー……まだ分かんない」

「行って見てからから決めるって事?」

「ん」かっくん

「王都ついたら俺がネルトを連れて行くわ。管理局で案内してもらった方がいい」


 おっさんがそう言う。
 大丈夫かな、ネルト一人旅で拉致られちゃう系少女だし。
 変質者に任せていいものだろうか……少し心配。


「誰が変質者だ誰が」


 おおう、考えが漏れていたらしい。でも否定はしない。





 歩き続ける事数時間。
 森を抜け、平原を進み、丘を越えるあたりで王都が見えた。


「うわっ! デカッ!」
「うわぁ~! すっごいですねー!」
「おお」


 私、ポロリン、ネルトの反応である。二番目が一番女の子っぽいのはなぜか。
 見下ろすほど高い丘ではないが、城壁に囲まれた王都の広さが分かる。

 オーフェンよりも高く立派な城壁と、その向こうにある家々の屋根。
 オーフェンは二階建てばかりだったが、おそらく三階建て以上の建物がゴロゴロあるだろう。
 色とりどりの尖った屋根が乱立しているのが分かる。
 所々にそれより高いマンション級の建物や塔みたいのも見えた。

 さらに奥には一目で分かる王城だ。
 白い尖塔が束になったような立派な城。
 それらが城壁で一つにまとまると、とてつもない広さ。
 端を確認するのも億劫になるほどだ。


 前世で言えば『町』くらいの規模の土地に『都市』くらいの人口と家を密集させた状態か。
 普通に歩くだけでも大変そうだ。


「早く行くぞ。感動するのは入ってからにしとけ」
「はいよ」
「はいっ」
「ん」


 そうして、見えているのになかなか着かない王都へとやっと着いた。
 時間は昼過ぎか、だいぶ早く歩いたと思う。

 南門と呼ばれる城門に入場する列があり、そこに並ぶ。
 中途半端な時間だけど王都はやはり出入りする人が多いらしい。五〇人くらい並んでいた。
 携帯食をモグモグしながら列に並び時間をつぶす。


 ネルトはギルド登録などもないらしく、仮証明の手続きを行ってから入都するそうだ。
 おっさんもそれに付き添い、衛兵に固有職狩りユニークハンターの言伝をしてから一緒に管理局に行くとの事。

 ネルトにはくれぐれも気を付けるよう、強く言っておいた。
 首をかっくんしていたから多分大丈夫だろう。


「じゃあネルト、そっちも頑張ってね」

「ネルトさん、またどこかで会いましょう」

「ん。ありがと。また」


 こうしてネルトとおっさんと別れ、私はポロリンと入都する。

 門をくぐると見える王都の街並み。
 広い大通りと立ち並ぶ建物。行き交う人の波。
 前世の渋谷とか知ってる身だけど、これはこれで感動するもんだ。
 思わず「おお」と言ってしまう。


「ようこそ王都セントリオへ」


 衛兵さんの言葉がなぜかよく聞こえた。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?

八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ 『壽命 懸(じゅみょう かける)』 しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。 だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。 異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?

政治家の娘が悪役令嬢転生 ~前パパの教えで異世界政治をぶっ壊させていただきますわ~

巫叶月良成
ファンタジー
政治家の娘として生まれ、父から様々なことを学んだ少女が異世界の悪徳政治をぶった切る!? //////////////////////////////////////////////////// 悪役令嬢に転生させられた琴音は政治家の娘。 しかしテンプレも何もわからないまま放り出された悪役令嬢の世界で、しかもすでに婚約破棄から令嬢が暗殺された後のお話。 琴音は前世の父親の教えをもとに、口先と策謀で相手を騙し、男を篭絡しながら自分を陥れた相手に復讐し、歪んだ王国の政治ゲームを支配しようという一大謀略劇! ※魔法とかゲーム的要素はありません。恋愛要素、バトル要素も薄め……? ※注意:作者が悪役令嬢知識ほぼゼロで書いてます。こんなの悪役令嬢ものじゃねぇという内容かもしれませんが、ご留意ください。 ※あくまでこの物語はフィクションです。政治家が全部そういう思考回路とかいうわけではないのでこちらもご留意を。 隔日くらいに更新出来たらいいな、の更新です。のんびりお楽しみください。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

寿明結未
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

処理中です...