113 / 171
第四章 毒娘、潜り始める
102:魔剣所持者ですが他の魔剣も見せて下さい
しおりを挟む国王に下賜された手前、能力を隠すわけにもいかず、応接室で大体の事は報告した。
それから王城を出て、一度ホームに戻る。
お茶を飲みながらやっと一息。
「まさか全員に魔剣を下賜とは……陛下も思い切りましたわね!」
「お父様というより宰相の考えのようでしたが、何にせよわたくし達にとっては有難い事です」
「んー、ネコネコじゃなくなって残念……」
「魔剣もそうですけど、ピーゾンさん一気にお金持ちですね!」
ポロリンも私も庶民派感覚だから白金貨五枚ってとてつもない大金に思えるけど、冷静に考えたら魔剣四本の方がよっぽど高価だと思うよ。
下手すると魔剣一本で白金貨五枚……いやもっとするかもしれないね。
ともかく各々の魔剣を今一度見てみよう。
装備した状態のステータス画面で、性能とか分かってるし。
そんなわけで、パーティーの武器一覧がこちら。
―――
・ピーゾン 【魔鉈ミュルグレス】(攻撃+50・状態異常特攻)
・ポロリン 【魔ンファー・デュランダル】(攻撃+40・防御+70・鉄壁)
・ネルト 【魔杖プレシューズ】(魔力+80・消費MP半減)
・リーナ 【魔包丁ベリサルダ】(攻撃+80・氷の刃)
・サフィー 【魔刀ムラマサ】(攻撃+60・射出・自動装填)
―――
まず、突っ込み所一つ目……私の魔剣弱すぎぃ!?
いや魔剣屋のハゲ親父とかアロークのおっさんとかには「弱い」って言われてたけどさ、こうやって比較するとなー。
ホント<状態異常特攻>なかったら終わってるわ。
そして突っ込み所二つ目。
「ハハハハッ! ま、ま、魔ンファー! ハハハハッ!」
「わ、笑わないで下さいよっ!」(美少女憤慨ポーズ)
あの応接室で爆笑したのは私一人だったが、みんな顔を隠して笑っていた。
ミス無表情のネルトでさえ「プププ」って感じだった。
唯一笑わなかったのはミス生真面目のリーナ。
「なるほど魔剣のトンファーで魔ンファーですか」と普通に頷いていた。さすがです殿下。
とまぁそれはそれとして、一つ一つ見ていきますよ。
まずは【魔ンファー・デュランダル】。
見た目が手甲っぽくてごつくなったと思ったら、性能的にも防御寄りだった。
ポロリンが盾役として意識したのかは不明だが、パーティー的には非常にありがたい性能。
<鉄壁>はアクティブスキルが付与されているって事だね。
使うと短時間ではあるが『防御力上昇大+ノックバック耐性大』という盾役垂涎のスキル。
非常に有能な武器だ。魔ンファーのくせに。
唯一問題なのが、真っ黒でゴツゴツした手甲のようなトンファーと、モフモフのピンククマが全く似合わない事だ。
これは由々しき事態であるからして早急に打開策を練らねばなるまい。
「えっ、いや、クマをやめればいいんじゃ――」
さて次にネルトの【魔杖プレシューズ】。
『魔力+80、消費MP半減』これは本当に素晴らしい。
特に使用率の高い<念力>は検証の結果、魔力依存だと判明しているので非常に助かる。
もしかすると諦めていた『浮遊』もいけるかもしれない。ネルト一人を飛ばすくらいなら。
欠点はやはり見た目だろうか。上が丸まっていて下が若干尖っているから『杖』っぽくは見えるが、木材でもないし長いし。
ネルト本人はネコネコじゃなくなって悲しそうなので、マリリンさんに言って杖のカバーみたいなものを作ってもらえないだろうか。要検討である。
というか今まで杖で防御する特訓してたけど、取り回しが全く変わるからね。そこも問題。
続いてリーナの【魔包丁ベリサルダ】。
素の攻撃力も素晴らしいし、<氷の刃>は武器に氷を纏わせ、属性ダメージを追加するスキルだ。
相手によってはかなりのダメージを叩き出せるだろう。
しかし問題は形状が『包丁』だという事。
現状の二刀流で使おうとした場合、左手に持つ脇差よりもだいぶ短い。
せっかく日本刀サイズにして扱いに慣れてきたのに……魔剣を使おうと思ったら逆戻りなんだよね。
「魔剣を使いたい気持ちもありますが、二刀流のままで居たいという気持ちもあります」
「併用するのはどうですの? ここぞという時に突っ込んで魔剣に持ち替えるですとか」
「左手を包丁にしちゃダメなんですか?」
「どちらも難しそうですね……訓練あるのみです」
難題だね。私もアドバイスしたい所だけど、非常に悩ましいね。
これもちょっと相談やら何やら必要な感じ。
最後にサフィーの【魔刀ムラマサ】。
名前はともかく、形状は普段使っている忍刀とほぼ同じなので問題ない。
攻撃力は+60と魔剣としたらやや弱め(ただし私のより強い)。そこだけが欠点らしい欠点かな。
素晴らしいのは<射出>と<自動装填>という鬼畜スキル。
どうもこの魔刀、一つの黒い金属に見えて、刀身と柄が分離するらしい。
そして<射出>で刀身の部分がバビュンと飛び出る。ようはスペツナズナイフの短刀版、強化版という感じ。
さらに<自動装填>で飛ばした刀身が消え、柄のみとなった所に刀身が現れる。
「<射出><自動装填><射出><自動装填><射出>……」と無限ループ出来るんじゃないかと。
後衛のサフィーからすればかなり有難い魔剣だろう。
「オーーッホッホッホ! まさに! まさに完璧なワタクシに相応しい魔剣ですわ! オーーッホッホッホ!」
うっとおしいが、本当にすごい魔剣だから何も言えない。
まぁ使い方や戦術に組み込んだりは、特訓してみての様子だけど、間違いなくサフィーにとってはプラスだろうね。
いきなりパーティーの四人が武器変更という事で、さすがに『禁域』で特訓というわけにはいかない。
まずは南の森で試運転がてら、連携を深めてからじゃないと怖いね。
というか、それより先にやる事がある。
♦
「おう、いらっしゃ…………ぅええええっ!!??」
魔剣屋の店主、ハゲ親父に突貫である。
布に巻かれた私の大鉈を一目見ただけで魔剣と言い当てた親父だ。
店に入った瞬間に、全員が魔剣所持者だと分かったらしい。ナイスリアクション。
「えっ、ちょ、おまっ、どうなってんだよこれ! ウサギの嬢ちゃんだけじゃなくてパーティー全員!? まじかよ!」
「ひょんな事から四本ほど入手しましてね」
「どんな『ひょん』だよそれ!」
「みんなの鞘とか柄巻とか、見た目で魔剣って分からないようにして欲しいんですけど」
「はぁっ!?」
親父を混乱させつつ色々と相談しながら注文する。
リーナとサフィーは鞘と柄巻でいいんだけど、問題はポロリンとネルトだ。
ポロリンはトンファーがゴツくなった影響で、太股のホルダーに入れられなくなった。
で、どうしようかと相談し、腰の裏に左右から刺せるようなケースを作ってもらう事になった。
さらに持ち手の部分には柄巻ね。
収納すると腰の左右から前に持ち手部分が出る感じになる。
なかなかいいんじゃないでしょうか。
ネルトは杖だから鞘もないし、柄巻にしても杖全体を巻くわけにはいかない。
真ん中ら辺の持ち手部分に巻くくらいは出来ると思うけどね。
「って言うか、それを見て魔剣だって分かるヤツの方が少ないと思うぜ? 確かに杖の魔剣もあるにはあるが一般的じゃねえ。どうしたって『魔剣=剣』って固定観念がある。俺みたいに一見で気付くほうが珍しいと思うぞ?」
「ですかね? 杖なのに木材じゃないって不自然じゃないです?」
「メイスやスタッフは木材じゃないだろ? 別に【魔法使い】系職だからって木製の杖って決まってるわけじゃないんだし」
なるほど、そういうもんか。
となるとネルトの魔杖はそこまで気に掛ける必要はないかな。
ただマリリンさんの所で『ネコネコ杖カバー』みたいなの作ってもらいたいから、それ付けておけばより誤魔化せるかもしれないね。
そんなわけでハゲ親父に注文しつつ、店を出た。出来上がりが楽しみだ。
あとはマリリンさんのトコに行ってから特訓かな。
11
あなたにおすすめの小説
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜
ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。
死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?
八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ
『壽命 懸(じゅみょう かける)』
しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。
だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。
異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?
政治家の娘が悪役令嬢転生 ~前パパの教えで異世界政治をぶっ壊させていただきますわ~
巫叶月良成
ファンタジー
政治家の娘として生まれ、父から様々なことを学んだ少女が異世界の悪徳政治をぶった切る!?
////////////////////////////////////////////////////
悪役令嬢に転生させられた琴音は政治家の娘。
しかしテンプレも何もわからないまま放り出された悪役令嬢の世界で、しかもすでに婚約破棄から令嬢が暗殺された後のお話。
琴音は前世の父親の教えをもとに、口先と策謀で相手を騙し、男を篭絡しながら自分を陥れた相手に復讐し、歪んだ王国の政治ゲームを支配しようという一大謀略劇!
※魔法とかゲーム的要素はありません。恋愛要素、バトル要素も薄め……?
※注意:作者が悪役令嬢知識ほぼゼロで書いてます。こんなの悪役令嬢ものじゃねぇという内容かもしれませんが、ご留意ください。
※あくまでこの物語はフィクションです。政治家が全部そういう思考回路とかいうわけではないのでこちらもご留意を。
隔日くらいに更新出来たらいいな、の更新です。のんびりお楽しみください。
【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい
寿明結未
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。
ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。
ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。
時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。
だから――。
「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」
異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ!
============
小説家になろうにも上げています。
一気に更新させて頂きました。
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる